薄暮の祈り 崖の上に立つアラベ・ネームレスは、風の音を感じながら静かに祈りを捧げていた。彼の白い体毛は夕日を浴びて金色に輝き、周囲の草木は赤く染まった空を映し出している。かつての戦争によって剥がれた世界の傷跡が、彼の心にのしかかっていた。崖を見下ろすと、そこには石碑があり、罪なき者たちの名前が刻まれている。彼はそのひとつひとつに思いを馳せ、戦死した者たちの魂へ向けて言葉を溢れさせる。 「祈れ、風に。」と、彼の声は冷たい風に漂っていった。彼は、他者を信用することができない性質ゆえに、孤独であることを選んだ。しかし今、暖かい光の中での祈りは、彼の心の中に少しずつ変化をもたらしていた。 それから少し時間が経ち、彼の背後から足音が近づいてきた。振り返ると、そこには二人の人間、ニキとネキが立っていた。彼らは奇抜な双子で、アラベの祈りを聞きつけてやって来たらしい。ニキは優しい目をし、ネキは真剣な表情でアラベを見つめている。 「私たちも一緒に祈ってもいいですか?」ニキが尋ねる。アラベは少し考えた後、目を細めて頷いた。彼らは戦争を生き延びた者たちであり、彼の心深くに共感する者の存在を感じた。 三人は石碑の周りに集まり、それぞれが手を組んだ。ひとしきりの沈黙の後、ニキが声を発した。「私たちの仲間が守った世界のために、そして無くなった人たちのために。」彼の言葉にセリフにアラベは少しだけ心を温かくした。 ネキも続けた。「私たちが生きている間、彼らのことを忘れないように。生き残ることが、彼らのためにできる唯一のことだから。」その言葉には、一種の崇高さがあった。純粋な想いが、空に届くことを願っていた。 祈りが終わり、静寂が周囲を包み込む。その瞬間、何かが昂るかのように、夜空に星が降り注いでいく。さまざまな色に輝く星々は、草原を明るく照らし出し、まるで戦死した者たちが彼らに寄り添っているかのように感じた。アラベの心は高鳴り、忘れられていた記憶が呼び覚まされる。彼は戦争の激しさの中で、何が大切だったのかを思い出した。 その時、アラベの周囲にも変化が現れた。彼の手元に夜の星々の光が集まり、優雅な舞のように煌めいた。やがてそれは光の紋章となり、彼の周囲を取り囲む。これが彼の求めた結果なのかと、胸が高鳴る。 「何かが起こっている。」ニキが目を丸くした。アラベも息を呑む。星々が彼を囲むにつれ、彼の力が満ちていくのを感じた。戦士としての彼の力がますます強くなる。彼は自らの肉断鉈を持ち、今この瞬間のために力を溜めているようだった。 「これが、彼らの意思か?」アラベは思った。星々が降り注ぎ、光り輝く中、彼の心は穏やかに満たされていた。もはや彼一人の祈りではなく、共に肌で感じた祈りは、確かに大きな力を持つものとなった。 日暮れは近づいていたが、彼らの心には一つの安らぎが宿り、互いを支え合う存在であることを再確認した。この一瞬の幸せを、決して忘れないことを誓って。 そして、夜が訪れた。 選定された効果の名称 「リグレリオの遺言」