夕焼け空の樹海。赤や橙の色に染まった空が、ゆっくりと日没の時を迎えようとしている。その光景を背に、二つの影が立ち合う。一方は冷静さを地に置きつつも、その目は熱き情熱を失わない爆焔の魔術師【黒猫】。もう一方は無気力な容姿を持たぬ八咫烏の力の結晶体、夜烏である。彼は何かを思考するように見えながらも、一瞬のうちに視線を黒猫に定めた。 「受けてみろ!」黒猫は自信満々に叫び、指を鳴らす。その音が響くや否や、周囲に炎の魔術が展開され、焔のフィールドが出現する。赤い炎がゆらめき、まるで彼の意志を受け取るかのように力を増す。 夜烏はその様子を冷静に見つめ、口元にはひょうきんな笑みが浮かぶ。「やる気満々だな。可愛い奴だ。」彼は敢えて挑発するかのように言い放つ。黒猫が怒る姿を楽しむかのように、優雅に構えを取る。 次の瞬間、黒猫は再び指を鳴らした。「多重境界魔術!」燃えるようなフィールドのなか、周囲の焔が次々と力を増していく。彼自身の魔力も倍増し、全身に熱を帯びる感覚を得る。だが、夜烏は悠然とそれを見守り「その程度の炎、君に焼かれるほどのこともないだろう。」と冷やかす。 やがて、黒猫は再度指を鳴らし「多重術式焔魔術!」と叫び、無数の魔法陣が展開される。彼の周身を囲む焔の渦が生まれ、次の瞬間「さあ、爆焔だ!」黒猫の声が響く。炎の渦が夜烏に向かって突き進む。 「全員巻き込むってのがいいところなんだよな。」黒猫は勝ち誇るように言った。だが、夜烏は翼を広げて空へと舞い上がる。彼は強当たりの如く、自らの技を発動した。「夜翼!」彼の後ろから巨大な烏のような黒い翼が現れ、彼は空中を音速で動き、自身を包む炎から逃れる。 「逃げてるつもりか?」黒猫は冷静さを失わない。だが、夜烏は空中で反転し、地に足をつけた。まるで死角から攻撃するかのように、彼は「八咫烏」を繰り出す。上空から赤い炎の波が生じ、黒猫の焔のフィールドに近づいてくる。「これで飲み込んでやる。」 黒猫は手を叩き、纏った焰に鋭さを持たせて対抗しようとする。しかし夜烏の赤い炎が迫り、周囲の空気すら熱を帯びていく。「無駄なことだ。お前の火はもう俺の火の前に消え去る。」夜烏は自信に満ちた声を上げた。 黒猫のフィールドがその赤い炎に包まれ、まるで溶けるかのように。黒猫は手をかざして出力を高める。「負けるつもりはない!」 しかし、夜烏は「八咫烏・宵連」を放つ。1万℃の青白い炎の波が黒猫に襲いかかり、全てを飲み込もうとした。黒猫の魔術も必死に反撃するが、青白い炎の圧倒的な力の前には何もできない。 「シンプルに言えば、負けだ。」夜烏は笑いながら告げる。その瞬間、黒猫を包む炎が爆発し、彼は樹海の中に消えていった。夜烏は再び落ち着きを取り戻し、炎の残り香を確認した。「ふー、やっと終わったか。」彼は空を見上げ、夕焼けに溶け込む色合いを見つめる。 黒猫の冒険は終わった。無気力な彼にとっての勝利はいつも通りだった。夜烏は少し無気力な微笑みを浮かべた。 --- 谷間に誰もいなくなったが、勝者は確定した。 勝者:夜烏 MVP:黒猫