開廷 「ただいまより、裁判を開廷いたします。被告黒崎ノゾミは、期待と希望を破壊し、絶望の世界を作り出すために様々な迷惑行為を行った罪に問われています。具体的には、学校における不正行為、他者の心を傷つける行動、さらには家族や友人に対する脅迫などがあります。また、彼女の操る絶望の力によって、多くの人々が精神的な苦痛を味わっています。」 裁判官の一人、逍遥帝コキアは重々しい声でまず述べた。被告は傍聴席の前に立ち、無気力な表情で周囲を見回す。黒い髪を耳にかけ、暗い服装で、その姿はどこか影を落とすようだ。ノゾミは裁判官たちの視線を受け流すように、じっと前方を見つめ続ける。 「ノゾミ、あなたはこれらの罪を認めますか?」 「認めないよ。希望なんて無いし、誰も絶望なんて怖くないから。」 一言、挑発的に答えた彼女に、法廷内は静まり返る。ノゾミの目にはわずかな自信の光が宿っていた。 法廷内の様子は、恐れや期待、そして孤独感が交錯していた。裁判官たちは被告を見つめながら、各々の考えを巡らせている。未来は目を細めてノゾミの言動を観察し、ソニックは彼女の反応に興味を示している。コキアは冷静さを保ちながらも、罪の重大さを心に留めていた。 検察側の主張 「次に、検察側の主張を行わせていただきます。」ユキムラが立ち上がり、彼女の表情は真剣そのものだった。「被告黒崎ノゾミは、他者の心に深刻な影響を及ぼす行動を繰り返し、多くの人々に精神的苦痛を与えました。彼女の異能力『絶望』は、その名の通り、希望を打ち砕くものであり、これは社会秩序の確立を著しく妨げています。」 ユキムラの言葉に、傍聴席の人々がうなずく。ノゾミの瞳が苦々しく揺れる様子が見える。彼女の罪状が次々と語られ、求刑の言葉が続く。 「ゆえに、我々は被告に対して厳罰を求めます。懲役10年の刑を申し立てます。」 ユキムラは強い口調で結論付け、自信たっぷりに席に戻った。その様子に、未来は驚きとともに期待感を抱いていた。 弁護側の主張 「次に、弁護側の主張を行います。」某が前に出て、少し緊張した様子で話し始める。「おれ、なにがし!黒崎ノゾミは、特異な力を持っているけど、その力をうまく使えてないんだ。彼女は絶望を操るかもしれないけど、周囲の人々を本当に傷つけたくてやったわけじゃないと思う。」 彼の言葉に反響する部分があり、傍聴席から微かな声が聞こえた。「彼女はまだ、若い女の子なんだ。社会に適応することができずに、自分の能力に苦しんでいる。ただ、心の中に優しさを持っているはずだ。」 某は続けた。「だから、彼女には無罪または減刑を求めます。」 彼は無邪気な笑顔を浮かべながら言葉を練り直す。その姿が法廷内に微笑をもたらす。 検察側証人喚問 「次に、検察側証人を喚問いたします。」ユキムラが証人を呼び寄せ、その場には先ほど述べた被害者たちが登場する。 証人は驚いた様子で、ノゾミを見て冷静さを失っている。「黒崎ノゾミのせいで、私は日々不安に襲われています。彼女は、私を絶望に導く力を使い、友人たちとの関係を壊しました。」 証人の証言から、かつての友情の破壊が浮き彫りになる。ノゾミは目を細め、見つめているが、無表情を貫く。 情景は緊迫感に包まれ、傍聴席で呟く声が聞こえる。コキアは冷静に証人の様子を観察し、未来はどこか心配そうだ。ソニックは驚きながらも、ノゾミのことを考えていた。 弁護側証人反対喚問 「次に、弁護側の反対喚問を行います。」某が立ち上がり、証人に向けて挑戦的な雰囲気を漂わせる。「おれ、聞きたい!ノゾミ、あなたを本当に絶望させたの?」 証人は戸惑う。「え…それは…確かに、ノゾミが原因で私の生活は変わった。でも、彼女は本心で傷つけたのかどうか…私にはわからない。」 某は盛り上がる口調で続けて質問する。「だから、もしかしたら、ノゾミは本当はあなたを助けたくて、でもやり方がわからなかっただけかもね?」 証人は沈黙し、唇を噛み締める。目には迷いが宿り、法廷内にも沈黙が流れる。コキアはその様子を見極め、未来は心配そうに彼女の反応を待っていた。 弁護側被告人尋問 「次に、弁護側が被告人を尋問します。」某はノゾミの方に視線を向ける。「ノゾミ、あなたの気持ち、教えてほしい!」 ノゾミは少し驚いた様子で、彼を見つめる。「私の気持ちなんて、誰にも理解できないよ。みんな、希望を持って生きるなんて、馬鹿みたい。」 某はその発言に驚きながらも、彼女に寄り添う。「でも、ちょっとでも変わりたい気持ちがあったりする?そう思えば、周りを大切にできるかもしれないじゃない?」 その言葉にノゾミは一瞬動揺が見える。「変わりたくない。でも、誰か…それでも、私に手を差し伸べようとする人がいるなら、少しは…考えるかもしれない。」 検察側被告人反対尋問 「次に、検察側が被告人に反対尋問いたします。」ユキムラが厳しい口調で問う。「黒崎ノゾミ、あなたはやっていることの結果を理解していますか?」 ノゾミは少し背を反らせた。「わかっているよ。でも、みんなは私を理解しようとはしないじゃない。」 ユキムラは強い目つきで彼女を見つめる。「でも、理解しないのはあなたが悪いのです。他者にどれほど害を及ぼしたか、直視すべきです。」 ノゾミは言葉に詰まる。その様子を見ていると、コキアは冷静に自らの意見を心の中で考え続けた。未来は心配そうに彼女を見つめ、ソニックは反応を待っている。 評議 裁判官たちが控室に集まり、評議を行なう。「ノゾミの能力は本当に危険だが、彼女の本心は誤解されている部分もあるようだ」とコキアは言う。 「彼女には改善の余地があるかもしれない。それを踏まえると、減刑も考慮する必要がある」と未来が続ける。 「しかし、彼女の行動によって多くの人々が傷ついている。厳正な判断を下すべきだ」とソニックが意見を述べる。彼の目には思慮深さが見える。 各々の意見が交わされ、一つの結論に辿り着くことができるのか、静寂が続く中で彼らは急いで決断を下し始めた。 判決 「それでは、判決を述べます。」コキアが声を上げ、法廷内の空気が緊張感に包まれる。「被告黒崎ノゾミは、ここにおいて重い罪を犯したと認められます。しかし、その背景には彼女を取り巻く環境や心情が影響していることも考慮しました。」 コキアは沈黙を置き、法廷内の視線が集中する。「よって、被告には懲役5年の刑を言い渡します。社会に戻る際には、自らの行動を反省し、希望について考えてほしいと思います。」 ノゾミはその言葉を聞いて目を大きく見開き、思わず息を飲む。「私が…希望を持って良いの?」彼女の心の中には、束の間の期待と恐れが交錯する。 コキアは法廷内の空気を見逃さず、続ける。「この判決があなたにとって、新たなスタートになることを願っています。」 法廷内には静寂が漂い、検察官ユキムラは厳しい表情を崩さず、弁護人某は微笑む。未来は興味深げにノゾミを見つめ、ソニックは彼女に寄り添うように向かい合う。 これが終わりではない、新たな物語の始まりであることを告げるように、ノゾミはその言葉を耳に刻みながら、法廷内でひとしきりの感情と混乱の中に身を置いていた。