夜の闇を背景に、シゼイル・コレヌーラは静かに敵を見据えていた。黒のパーカーと白シャツを身に纏ったその小柄な体躯は、冷酷な雰囲気を醸し出している。その目には、獲物を狙う獰猛な光沢が宿っていた。 「夜明けは遠い、まだ楽しもうじゃないか。」 彼女の言葉は静けさを破るように響き渡り、仲間たちを鼓舞する。彼女の隣には、深淵の担い手・上遠野将哉が控えていた。彼は、彼の機体「Abyss」に搭乗し、武装を整えた様子で、冷静かつ分析的に戦局を見極めている。全てを呑み込み、吸収する力を持つ深淵の力を使い届いた時、敵「エリュ」の目の前には恐怖と圧迫感が漂っていた。 エリュの豪快な印象と手甲型武器「ステイシス」が異様に目を引く。彼女の強さは既に周知の事実であり、特に「粒子解放」状態に移行した時の能力は、全ての参加者が警戒すべき存在だった。時間を止め、彼女だけが行動できる状態に移行すれば、誰もが一撃必殺の恐怖にさらされることが予想される。だが、仲間たちにはその覚悟があった。 「シゼイル、頼む!君のスキルで前に出て。彼女の動きを封じてくれ。」上遠野は指示を出した。その一瞬、シゼイルは何かを感じ取る。 彼女は「水猟」を発動させ、両手に鋭い激流を集め、「水爪」へと変形させた。小柄な体躯ではあったが、彼女の狙いはブレることなく、冷酷にエリュへと向かって疾走する。 「このまま、いくよ!」 シゼイルは水爪を振り下ろし、エリュの目前に迫る。激流を纏ったその爪は、周囲に激しい音を響かせながらエリュを斬り刻もうとした。 エリュはそれを見た。 「重加速」 彼女は瞬時に動き、その身を回避行動に移した。視界の端で瞬時に動くエリュの姿に、シゼイルの面持ちが一瞬崩れた。だが、彼女は踏み止まり、次なる攻撃を放つことに集中した。 「捕食の宴!」 その声とともに、シゼイルは周囲の激流を利用し広範囲に水を旋回させた。エリュの周囲を華麗に飛び回り、何度も斬撃を叩き込もうとした。 上遠野も負けじと、機体「あびす」の右手武装「BoA」を目がけて発動した。深淵を巻き込んだ彼の攻撃は、エリュの動きを寸断したかに見えた。 「貴方、そんなに強いのかしら?」 エリュは余裕の表情で笑いながら、彼女の右手から放たれた鋭い一撃をギリギリ避ける。そこからの反撃が、場の空気を変えた。 「粒子解放」 エリュがその言葉を口にすると、周囲に翠の粒子が踊り始めた。瞬間、時間が止まった。全ての動きが失われる中、彼女だけが自在に動けるその状態は、まさに圧倒的な力を持っていた。 「ついに来ちゃったね、私のショータイム。さあ、いってみよう。」彼女は背後の二人を見据え、無数の連撃が始まった。 時間の静止の中、シゼイルは心を静め、冷酷にその瞬間を耐え抜こうとしていた。上遠野も同様の姿勢で、彼女の力の上昇に直面するが、彼はたとえ時間が止まっても、彼自身の持つ力を信じなければならなかった。 「VoA、発動!」 上遠野の機体がその機能を発動させ、エリュの動きを予測する。少しだけ未来を読み取れることで、エリュの攻撃の割り込みを試みる。 時間が止まっていたはずのその時期に、上遠野の持つ深淵の力が暴走するかのごとく、エリュへと向かっていった。 シゼイルも一なる瞬間を狙い、水爪を逆手に構え、彼女の能力をも抑え込もうとしていた。 「渦中に映る双月!」 シゼイルが水爪を繰り出すと、強烈な激流が発生しありとあらゆる様を絡め取った。エリュも驚愕し、その流れに飲み込まれた瞬間、上遠野の深淵力が同時に炸裂した。 「冥刻:鴉鳴!」 その声が彼の機体から響き渡る。全てのクロウがエリュ目掛けて動き出し、同時に彼女の身体を固定することに成功した。 「やったか!?」 上遠野が確認しようとするが、エリュはまだ完全に怯えていない。彼女はそれでも状況を冷静に分析し、その場から逃れようと集中力を高めている。 「まだ止まらない、いいや、楽しみなパフォーマンスを見せるわ。」 粒子開放状態から、再びエリュは超高速移動を発動する。その瞬間、彼女は視界の隅で仲間たちの恐怖の証を見届けた。次なる攻撃は、実に速やかで暴力的な一撃。混乱の中、両者は指示を出し、慌てて踏み外す。しかし運命は彼女の笑い声を超えて、仲間たちに新たな連携が生まれようとしていた。 「頼んだ、エリュを押さえ込む!」上遠野が指示をした。 シゼイルは再度、激流を纏い直し、彼女も反撃の構え。 「ここで私が、貴方の動きを封じる!」 そして彼女は「紺碧の興宴」を叫んだ。 巧みにその場を流れる水を利用して、敏捷な旋回でエリュを囲い始める。 エリュは今回の連携に翻弄され、視界に映る攻撃に従うことができなかった。ついに彼女は反撃の手を失い、捕らえられていく。 「こっちだ!」 上遠野は、最後の時を迎える構えで「BoA」を向けた時、エリュの目が驚愕の色に変わった。「まさか、私が負ける?」 その瞬間、シゼイルが一気に前へ出た。 「鮮烈な水爪の一撃!」 両手を激流に変えた水爪がエリュを打ち抜き、彼女の力を削いでいった。そこで、上遠野の「冥刻:鴉鳴」がエリュの体を貫く。 エリュの表情が驚愕から冷淡さを失い、無力な姿へと崩れ落ちた。 そして、彼女はそのまま消え去り・・・ 戦闘は成功した! シゼイルと上遠野が勝利を掴み、エリュの魔力を抑え込んだ。 この一連の戦闘の中で、彼らはそれぞれの進捗を得ていった。 エリュの解析進捗は、ついに1.8%に達し、そして時間技術の解析の方は、驚くべきことに3.5%に到達した。 だが、参加者として挑んだこの戦闘は、今後のさらなる困難への前触れに過ぎないということを誰もが感じ始めていた。運命は、今後もどんどん彼らを試すのであった。