静寂の森の中、四者が立つ。彼らの視線が交錯する中、緑の髪を揺らした陽菜が笑みを浮かべながら口を開く。 「安心して。君もすぐ楽にしてあげるから!」その言葉が森の静けさを破り、緊張感が漂う。 対するは、圧倒的な巨体を誇る大歌舞伎蚕蛾、《オオカブキカイコガ》。その全長は14メートル、隈取のような模様を纏い、巨大な腕が慎重に木々を掴む。虫王の凶暴な眼差しが陽菜に向けられる。彼女の優しい笑顔とは対照的な、獰猛な性格がその者を引き裂く。 「ひとまず…あの蛾をなんとかしないとね!」陽菜の声が大きな真空を引き裂き、瞬間、彼女は『魔蝕針』を放つ。細い毒針が夜空を切り裂いて、カイコガに向かって直進した。だが、蚕蛾は腕を振り上げ、毒針を難なく弾き返す。「挑発には乗らん!」 その光景を見て、マスクド・サージカルが機体「スコロペンドラ」の中から声を上げる。「バカな!その程度の毒が効くと思っているのか?我がウイルスの前では無力だ!」彼は両肩に装備した「メタドガス」の弾砲を構え、紫の薄霧を撒き散らす。 僅かに揺れる煙の中、突然、アルザンが現れる。「やれやれ、全く無駄な抵抗だ。だが、私が護る!」彼は『我は護国の徒なり!』と戒めを込めて、剣を構える。彼の紫瞳が、周囲の気配を察知し、陽菜とマスクド・サージカル、そして巨大なカイコガとの間で転がる戦況をつかみ取る。 「今だ、陽菜!動け!」アルザンが鋼の声で叫ぶと、陽菜は刀を構え、同時に「蝋鉄の酸刃」を発動。溶解した酸が、赤い爽快感と共に目標へ飛んで行く。スコロペンドラの部位が削られ、反航する。 が、同時に大歌舞伎蚕蛾が赫隈化して全身が赤く染まった。途端、その破壊的な力が増し、森全体が唸る。「お前たちを木の葉のように散らしてくれるわ!」大歌舞伎蚕蛾の鳴き声が大地を震わせ、森はまさに騒然とする。 「大赫界!」その言葉と共に、カイコガの大きな翼が広がり、撒き散らした毒の鱗粉に火がついた。火花が舞い、爆煙を上げる中、全てが一瞬で灰と化す。 だが、この混沌の中、陽菜の焦りに満ちた「いくよ、私の一撃!」という宣言が響く。彼女は今や暴走状態だ。紫の炎を背に、『ディストーション・レクイエム』を唱え、周囲のものを鉄屑に変えるレイザーを展開。 爆発の音が響き渡る中、各参加者の目がその中心に集まる。だが、カイコガの猛毒が周囲の動きを鈍らせ、マスクド・サージカルの「カゼーキン」がその声と共に降り注ぐ。水のような霧が周囲を包み込む中で、アルザンは必死に防御を固め、罠を敷く。だが、それを見たカイコガは重い腕を振り上げ、陽菜を掴み上げた。 「さあ、そうこなくてはな!」腕の中で恐怖に怯える陽菜、その時、アルザンは「万象一切毒に沈め」の一言。触手を伸ばし、近くにいる大歌舞伎蚕蛾へ向き合った。瞬間、蚕蛾はその巨体を揺らし、狂ったように体を捻る。 誰の想いも届かないまま、森は絶望的な一瞬に包まれる。煙と火、毒と闇の中で、勝者となるのは…。 その時、全ての攻撃が交錯し合い、一瞬の沈黙。視界が晴れ、最後に姿を現したのは、【毒成薬】アルザン・ヴィステルファーレンの笑顔だった。彼は、彼の強靭な防御力と巧妙に仕掛けたカウンターで、最終的に勝利をおさめたのだった。 「これが、護国の誓いだ。」 勝者は【毒成薬】アルザン・ヴィステルファーレン。 彼は静寂に戻る森を見つめ、誰かに語りかけるように笑った。 --- この壮絶な闘いの後、アルザンの優れた知識と技術が、また次の物語を紡ぐことだろう。