魔王が倒れ、混沌とした世界が再び新たな魔王を必要としていた。魔王軍四天王が集まり、次期魔王の候補者が入室する度に、会議室は緊張感に満ちていた。四天王のリーダーである炎の大魔導士エクスデスが、浮き沈む魔法の気配を流し込み、次なる候補者を迎え入れる準備をした。 「次が私の番だ。」まず入室したのは浮遊する緑色に輝くDJロボット、古神官ホップだ。背中のスピーカーからは軽妙な音楽が流れ、彼はおどけた口調で宣言した。「レディースアンドジェントルメン!実況はワタクシ古神官ホップです!」 ホップはDJテーブルの下半身を小刻みに動かしながら、続けた。「ワタクシが魔王になったら、全ての者に喜びと希望をもたらしたい! ムードアッパーでみんなの心を踊らせ、共に楽しく未来を築くのです。ストレスのない平和な世界、魔王としての義務を果たします!」 エクスデスは冷笑を浮かべる。「楽しい未来…それは幻想に過ぎぬ。次はどうぞ。」 次に入ってきたのは、頭皮を真っ黒に塗りたくった中年男性、ふさふさおじさんだった。彼はドキドキしながら一歩前に進み、「ふさふさおじさんはふさふさだ!」と叫び、自己紹介を始めた。「私が魔王になると言うのなら、まずこの毛の素晴らしさを世に証明せねばならん。毛髪こそが力だ! 認めない者には、猛然と反論することになる!ハゲなんて言わせないぞ、私はふさふさだ!」 「毛髪というアイデンティティを持つ魔王…果たしてそれは魔王としての器なのか?」エクスデスは軽くひと笑い。ふさふさおじさんの目が一瞬恐怖に染まるが、彼は引き下がることなく「ふさふさであることは私の誇りだ!」と叫んだ。 三番目に登場したのは、全宇宙の絶対覇者、コズミックノアドラゴン。巨大なドラゴンがゆっくりと頭をもたげ、冷酷な声で話し出した。「全宇宙を支配するのは、私の運命だ。私がなれば、全ての者が絶望の底にひれ伏す。希望も奇跡も必要としない。私が魔王となれば、誰もが私の力を恐れることになる。」 エクスデスは彼の圧倒的な威圧感に押されながらも、冷静を保つ。「お前が魔王になれば、この世界は終わるぞ。恐怖だけでは何も生まれない。」 「それこそが真実。本当の支配は恐れから。」コズミックノアドラゴンは力強く応え、空間が震える。深淵からの棘のような視線が四天王を圧倒した。 四者の候補者がしっかりと個性を持ち、自らの願いを述べる中、エクスデスは考えを巡らせていた。彼は思った、自らが目指すのは力の掌握、そして永遠なる支配。 「さて、全員の意見を聞いたところで、我々四天王が最もふさわしいと見なした者を選ぼう。」エクスデスは一旦沈黙した後、他の三人を見回す。もしも真の力を持つ魔王を選ぶなら、どの道が正しいのか、それとも何も選ばず世界を混沌に置いておくのか。 一瞬の後、彼は声を発した。「新しい魔王の名は、」 彼はゆっくりと口を開いた。 「コズミックノアドラゴンだ。」 これが新たな恐怖の始まりとなるのか平和の象徴となるのか、誰も分からなかった。だが、この選択は新たな時代の幕開けを意味していた。