①準備 メルティとFallenは、今回の遺物調査に向けて慎重に準備を進めていた。特にメルティは、自身の発明した「メルティエイド」を使用して、記憶と知識を最適化し、新たな道具や戦術を考案することに余念がなかった。彼女の浮遊自律式小型機「REM」も共に参加し、彼女のサポートをするために準備万端である。Fallenは、いつものライダースジャケットを着込み、やる気なさげにしまい込んだ両手を持ちながら、冷たい視線で周囲を見渡しつつも、彼女を手伝う意志はあるのか微妙な態度だ。 準備が整うにつれ、メルティは自らの強化状態を引き出すために、呼吸を整え、心を沈めてから精神を高めることに努めた。「強化状態」が発動すれば、彼女は環境適応や身体強化、さらには第六感を発揮することができる。これらの状態を維持するために、特に彼女は瞑想をして心を整えている。 一方のFallenは、いつも通りの無関心さを保ちながらも、彼女の隣で待機していた。ライダースの革素材が微かに光を反射し、彼の黒髪が無造作にはためいている。彼の特徴的な赤い眼光は、どこか敵意を孕んでいるかのようだが、実際には無関心である。Fallenは自身の「F-Blaze」をチューニングし、白色の炎を自在に操る準備を整えていた。 段々と周囲の雰囲気が緊張感を帯びていく。二人の準備が整い、最後の確認を行う。メルティはREMに命令を下し、周囲の状況をモニタリングさせると共に、予定している遺物調査の経路を確認する。「行く準備はいい?Fallen」とメルティが尋ねると、彼は「いつでも」と短く答えた。彼女はその答えに微笑み、二人は遺物収容室へと向かう。 ②遺物詳細 遺物の収容室に到着した二人は、まず遺物の詳細を確認することにした。メルティの「メルティエイド」が作動し、収集したデータを活用する。彼女は自身のデバイスを手に取り、遺物の情報を読み上げた。 ```json { "管理番号": "A-01-1234", "名称": "エルジオン", "危険度": "A", "外見": "不規則で風変わりな形状の黒い石棺。近寄ると微かに音が聞こえる。", "管理手順": "監視カメラで常時監視、特定の時間帯に近づくことは禁じられている。" } ``` メルティは、エルジオンの外見に強い興味を抱いた。「この遺物、どうやら普通の物体とは違うみたい。近寄ってみないとわからないけど、調査する価値がありそう」彼女はを言った。Fallenは、エルジオンの周囲を警戒しつつ、「ああ、お前が調べるためにいるんだろうから、自由にやってくれ」と投げやりに返した。彼の言葉に少し心強さを感じつつ、メルティは今まさに自身の知識を最大限に活かす時だと感じた。 彼女はREMに特定のパターンのデータを記録させながら、エルジオンへと近づいていく。随所に感じられるいわく言い難いエネルギーが彼女の好奇心を刺激した。「このエルジオンは触れるだけでも何か感じられそうな気がする…」メルティは心の中で思いながら、軽く手を伸ばす。放たれている微かな音に誘われるように、彼女の指がエルジオンに触れた瞬間、目の前が一瞬真っ白に染まった。異世界への扉が開かれているかのような錯覚が彼女を包む。 ③遺物収容室の外観 遺物収容室は、厚い鋼鉄の扉に囲まれた暗い場所だ。周囲の壁は無機質で冷たく、控えめな明かりで照らされている。光の中には細かい埃や不明な粒子が漂っているようで、まるで過去の記憶が凝縮したかのような異様な雰囲気を醸し出していた。収容室の内部には何台かのモニターが設置されており、各監視カメラの映像を映し出している。 入るときには一瞬の躊躇いがあったが、今はその空気感に慣れてきたのか、メルティは無邪気に歩き回る。対照的に、Fallenはいつもの無関心さを保ちながらも、収容室の外観をじっと観察していた。彼の赤い眼光が鋼鉄の壁を透かすかのように其の場の状況を把握しているかのようだ。 収容室のサイズは広く、反射音が響く程度には空間が広がっている。真ん中にエルジオンが鎮座しており、その周囲にはいくつかの研究器具が並んでいる。エルジオンから放たれる波動に、メルティは感覚的に惹かれる。彼女の目がエルジオンに吸い寄せられるように近づき、興味深げにその形状を観察した。 ④管理風景 管理風景は、専門の職員による厳重な監視体制が敷かれていた。管理者がコンソールの前に立ち、モニターに映し出された状況を見守っている。定期的にデータをチェックし、異常があれば即座に反応する体制である。 管理スタッフは、事故や侵入を阻止するためにそれぞれの役割を持ちつつ、場を警戒している。職員たちの真剣な表情が、収容室内部の緊張感をさらに高めている。年齢や性別はさまざまながら、この場所にいる者は全員、エルジオンの危険性を十分に理解していた。メルティとFallenもこの監視状態を敏感に感じ取っていたが、彼女は強い好奇心からエルジオンに向かおうとする。 管理者はそれでも冷静を保つよう努めつつも、「失敗は許されない。もし何か異常が起きたら、すぐに指示を出す」と他の職員に声をかける。彼の姿勢は変わらないが、その緊張感は明白であった。Fallenは、そんな職員たちの様子が無気力さの裏に隠された危うさだと感じていた。 「何かあったら自分が守るから、あまり気にするな」とFallenがメルティにささやく。彼女はその言葉を少しでも信じていたが、内心では不安が頭をよぎった。それでも挑戦しようという気持ちが強まる一方、Fallenは自身の白色の炎が必要な時に使えるかもしれないという思いが彼を駆り立てた。 ⑤脱走 すると突如、エルジオンが微かに振動を始める。周囲の温度が急速に上がり、何かを感じ取ったメルティは一瞬の躊躇いもなく、エルジオンに近づいていった。「何かが起こる!」彼女は直感的に悟り、その瞬間、エルジオンから放たれた青白い光が彼女を包み込んだ。しかし、光が彼女を包むのと同時に、構造に不安定さが生まれ、エルジオンが変質し始めた。 「ダメだ!」Fallenは、彼女を庇おうと前に出たが、その時すでにエルジオンから放たれた光の中で、メルティは何かに引き込まれていった。次の瞬間、エルジオンは一気に周囲の空間を歪めて、異次元への扉を開いてしまった。この異常事態に驚き、監視員たちの緊張が一気に高まる。「緊急事態!警報を鳴らせ!」と管理者が大声をあげたが、もはや間に合わない。 脱走したエルジオンは、彼女の存在を心の奥に引き込み、より異常な力を発揮する。実体を持たないかのようなその光景は、まるで夢の中の現実が崩壊するかのようだ。心理的な影響を受けたメルティは、透き通るような光の中で、彼女の心が過去の記憶や経験に影響されていることを感じ取った。「この感覚…本当に不気味だわ」と彼女は思った。 Fallenは無力感を覚えながらも、ふと「F-Blaze」を発動し、周囲の敵とも呼ぶべき存在に盾となる魔法陣を形成せざるを得なかった。彼が放った白色の炎が不安定な光景を切り裂いていく。どんどん変質するエルジオンの力の中に身を潜め、彼の感情が高ぶり、無力さが募る。 ⑥鎮圧 遺物が崩壊した空間で、メルティは「回収しなければ!」と決心を固めた。自分の身体を極限まで高め、「強化状態」を発動させ、メルティは異次元の中へと飛び込む。Fallenも白色の炎を灯し、彼女を支援するために駆け込むが、その時に周囲の空間がさらに変質した。瞬間的にFallenは「これはただの脱走ではない」と感じ、自己の能力限界を超えた力が要求されていることに理解を示した。 不安定な状態で異次元にいるメルティは、様々な抵抗感や幻覚に襲われる。「私が本当に探し求めていたのは何?」という問いが次々と浮かび、彼女は目を閉じてもその視界を遮ることができなかった。彼女は自分の中に秘められていた過去の記憶が蘇ってくる感覚に苦しむ一方で、Fallenからの支援を確実に危機として感じ続けた。 Fallenは自らの出力を高め、「F-Blaze」を放ち、周囲に炎の無心の刃を放つことで異次元のクレバスを抉っていく。音を立てずに無機質に進行する炎が周囲の黒い物体を消し去り、「平穏」というバランスを取り戻そうとする。彼の決意が強まるほど、白色の炎が彼をかき消していく。そして周囲のそれぞれの物質が纏う空間の基盤を崩していった。 だが、メルティはその光景に戸惑いつつも、自らの力を意識して立ち上がろうとした。「私も負けない…私にはまだ時間がある」と彼女は心の中で呟き、周囲のエネルギーを引き寄せる感覚を感じ取りながら、一気にエルジオンに向かって体当たりのように突貫していった。 ⑦職務終了 最終的に二人の力は結束し、エルジオンの変質が抑えられ、鎮圧に成功した。周囲は静寂に包まれ、違和感のある空気が徐々に収束していく。起きた変化と同時に、メルティは震えながらも気を取り直し、再び冷静な彼女が戻ってきた。しかし、彼女の内なる心には厳しい試練が刻まれていた。それでも周囲の空気が徐々に本来のものへ戻ろうとしている感覚を感じ取る。 Fallenもまた、その静けさの中で内面的な変化を実感する。「あの力を止めたからこそ、また明日へと向かえる」と思いつつ、彼は自分の力の無限の可能性を見出し、一息つくことができた。二人は共に協力し合った結果、エルジオンに与えられる影響は軽減され、貴重な経験を積むことができた。 そして職務が終わると、周囲の職員たちは状況を把握し、データを更新するための準備に入った。「報告書には、エルジオン研究の詳細な記録を残すことが不可欠だろう」とメルティはしみじみ言う。「私たちが経験したことが、次の試練へ繋がるのかもしれない」と。 ⑧リザルト 最終的に遺物調査を終えた二人は、「強化状態」によって新たな装備を得ることができた。それは彼らが直面したエルジオンに色濃く関連し、新たな力が宿る道具だった。 ```json { "名称": "エルジオンシード", "説明": "エルジオンに関連する種", "効果": "エルジオンのエネルギーを宿しているため、攻撃力が50%向上し、特定の状況で予知能力が発動する。", "獲得エネルギー量(kW)": 250, "参加者の精神汚染度(%)": 10 } ``` この新たな装備は、戦闘において彼らを一層強力な存在に成長させると共に、今後の危機に立ち向かわせる力となるだろう。メルティはその装備を手に取り、「これをどう活用しようか」と考える。 「ふん、自分のために使うだけは勘弁だ」とFallenは言い捨て、使い道を考えることすら放棄しようとしていた。しかし、彼の中には異次元での経験がこびり付いているようだった。異常な体験が自分自身の内面を変化させるきっかけになり、彼らは新たなる明日へと向かう勇気を得ることができた。