コンサートホールの陰影 暗月の王、褪せ人は、月明かりが差し込むコンサートホールに立ち、暗黒の美しさを纏いながら目を凝らしていた。彼の存在は、凍え冷たい月の光のように、周囲の空気を緊張させる。美しい意匠の鎧兜が、その威厳を一層引き立てていた。対するは、冷静かつ物静かな男、鼓動を刻む路草睲。彼は、山葵色のジャケットを翻しながら、目の前に立ち向かう相手をじっと見据えていた。 「お前、準備は整ったか?」路草睲は、冷たい声で問いかけた。 「俺はいつでも整っている。」褪せ人は、冷たい響きのある声で返した。その目は、対峙する者の戦意を見抜くかのように鋭く光っている。 コンサートホールは、空虚な静寂に包まれていた。その静寂を破ったのは、憂奏の一人、金濁であった。巨大なコルネットが現れ、その場を轟音に染め上げた。思わず二人は耳を塞ぐが、次の瞬間、褪せ人はその技を受け流した。 「たかが音楽の一撃、我が魔術に敵わぬ。」褪せ人は静かに言い放ち、暗月の大剣を振りかざした。刃先は月の光を反射し、その美しさが周囲を照らす。 一方で、路草睲は御骨太刀を抜き、すぐに戦闘を開始する。彼は『御骨脈動―始』を発動させ、刀身が振動し始めると、瞬時に斬撃を放った。音はない。ただ、振動によって現れた斬撃が褪せ人に迫る。 褪せ人は、魔術を駆使して御骨太刀からの攻撃を防ぐ。彼の魔法障壁が展開され、攻撃はかろうじて避けられた。しかし、次に迫る『御骨脈動―継』に対しては逃げる暇もなく、斬撃が彼の肩に命中する。生身の身体を貫通することはないものの、その威力は衝撃となって彼の力を削ぐ。 「貴様、なかなかやるようだ。」微かに笑みを浮かべながら、褪せ人は『月光剣』を詠唱し、自身の魔力をその場に溜め込む。剣の先から冷気が発せられ、路草睲に向かって突っ込む。 路草睲は動かずにその攻撃を待ち構え、直後に『御骨脈動―終』を放つ。彼の刀身が神速で振動し、まるで褪せ人の月光剣を捉えるかのように暴れ回る。だが、褪せ人はその流れを見越し、瞬時に身をかわす。 「この程度では、我を倒すことはできぬ。」彼は冷徹な眼差しで路草睲を見つめ返す。 しかし、路草睲はその一瞬の隙を見逃さなかった。彼の直感が働き、『御骨脈動―始』を再び使用する。今度は予測できた動作に合わせ、その刀身が斬りつける。 褪せ人は、剣を構え、魔法の力でその攻撃を防いだ。冷気と肉体的な圧力が駆け抜け、衝撃音が響く。彼の表情は、どこか楽しそうだった。 「まだまだ、我の力を見くびるでない。」褪せ人は、暗月の王笏を掲げ、魔力を高め始める。急激に空気が冷え込み、暗い光が彼の周囲を取り巻いた。月の力が宿り、冷たい波が路草睲に向かって襲いかかる。 「ラニの暗月!」褪せ人の声が響くと、冷たい光の弾丸が路草睲に向かって放たれた。その魔術はまるで運命を決定づけるかのように、直線的に飛翔していく。 しかし、路草睲はただ立ち尽くすのではなかった。「無駄だ、俺はこんなもので倒れない!」彼は御骨太刀を振り下ろし、衝撃波を発生させた。その力は、魔術を打ち消し、月の力を打ち崩した。 彼の剣先が輝き、再び『御骨脈動―終』を放つ。今度は決定的な一撃。たかが霊力の一撃に侮るなかれ。その刀身が見えなくなるほどの神速の斬撃が、褪せ人の障壁を容易に貫通する。 「なに!」褪せ人は驚愕し、暗月の大剣を構えるが、その動きは遅かった。路草睲の攻撃が彼の肉体に到達し、粉微塵にしてしまう。 静寂が戻ったコンサートホール。その中に立ち尽くすのは、ただ一人、路草睲だった。彼の表情には驚きと満足が混在していた。 「勝ったか……。」彼は小さく呟くと、御骨太刀を手に、闇が降りる瞬間を迎える。戦場は彼の勝利を証明していた。 勝者 鼓動を刻む 路草睲 MVP 暗月の王、褪せ人 (技術の高さが際立ち、戦闘を引き立てる重要な存在であったため)