ルドル・フォン・シュトロハイム大佐は、高くそびえる雪山の中に立つチタン合金製の巨大なMEKANOIDを見詰めていた。彼の名は「グラニート・カイザー」。その体躯は、彼自身の矜持と同様に雄々しく、偉大なドイツの科学力を象徴するものであった。右肩には長大なロケットランチャー、左肩には紫外線照射装置が装備され、両手にはサブマシンガンとパンツァーファウストがしっかりと構えられている。足元は逆関節式の脚部を持つことによって、より高い機動性を誇っていた。 「さぁ、我が愛しき機体よ! ペーパーなるフッ軽なペーパーのような存在を打ち崩すのだぁぁ!」ルドルの声音が山に響き渡る。その意気込みは、雪の中でも冷たく凜としたものだった。 その通り、彼の敵は「ペーパー」。単なる紙の付喪神、だがその能力は恐るべきものだった。「絶対切断」を持つペーパーは、どれだけ隔たりがあろうとも敵を切断する能力を秘めた不気味な存在であった。ルドルの拠点に現れたペーパーは、若干目立たないながらも、その存在感を保っていた。彼は、今まさにその能力を発揮しようとしている。 「さぁて、ルドル大佐、君のMEKANOIDがどこまで持つか、見ものだね」と小さな声で呟きつつ、ペーパーは紙の手裏剣に変形。周囲の空気を裂いて、驚異的な速度でダッシュした。 一瞬で目の前に現れるや、鳩尾にくる紙の刃。だが、グラニート・カイザーはその速さに怯むことなく構えていた。「いかぬっ!若い者に負けてなるものか!」と囃し立てるルドル。サブマシンガンを構えて発砲するが、ペーパーは素早くヒラリと躱す。 「絶対切断、発動!」その時、ペーパーの声が雪山を震わせた。無数の刃がルドルめがけて放たれる。しかし、ルドルのグラニート・カイザーはその威力に耐え切ることができるのだ! 「我が機体は不死身だぁぁ!」 中に忍ばせた改造兵器、体内重機関砲が響き渡る中、ルドルはすぐさまその力を引き出した。腰の位置に装備された装置が稼働し、金属の弾丸を毎分600発、ペーパーへとバラ撒く! だが、ペーパーはその異常な速さでとっさに機動する。弾丸が目の前に迫ると、再びヒラリと逃げる。まるで悪戯を楽しむように、ルドルを苛むペーパー。とはいえルドルの意地、彼も簡単に諦めるわけにはいかない。「この程度で我が誇り高き軍人が屈するか!」 と、頭の中で策を練り始めた。 「さらなる力を見せてくれ、紫外線照射装置!」と叫び、ルドルは本来の戦略へと移行した。装置が起動し、ペーパーに向けて強烈な紫外線が照射される。「ああああははは、恐れたか!? 我がドイツの科学力はこの通りだぞ!」と、ヤケクソ気味に叫んだ。 だが、ペーパーはその光を前にして驚くことも驚愕も無く、微妙に体を反らせて斜めに避けてみせた。「な、なんだと!?このペーパー、紫外線すら制御してやがるのか!」ルドルの心に一瞬の恐怖が過ぎった。 \n 「絶対切断!」今度はペーパーが本気を出した。右手が繰り出す無数の紙刃! 「クソ、そんなことを許すかぁぁ!サブマシンガンで迎撃だ!」 ルドルは撃ちまくったが、その刃はいとも簡単に弾を切断してしまう。 「我がドイツの医学薬学は世界一ィィィ!できんことはないイイィーーー!!」否応なく自信が揺らぐルドルだが、それを打破するために、引き金を引き続ける。 「おっと、もう終わりの時間だよ!」ペーパーの声が響く、その瞬間、周囲の空気が静かになり、粘り強く攻撃するルドルの動きが止まった。 降りかかる紙の刃、絶対的な切断能力で持ち上がっているペーパーの真の力。「ど、どうするぅ!?我が機体は不死身だが、しかしこのままでは・・・」と、ルドルは動揺しかけた瞬間。「引っ込んでいるが、お前たちの出番はそろそろだ!」と、隣で待機させた特殊兵器たちが列をなして現れ、前線へと突き出る。 次々に小型のMEKANOIDが現れ、ペーパーを取り囲む。ペーパーの目の前に迫る数体の小型MEKANOIDたち。状況が一変した時、ペーパーは冷静さを保つ。「絶対切断、いざ発動!」その瞬間、全ての紙刃がルドルの小型MEKANOIDたちを切り裂く。 「やむを得ん、あきらめるしか無か・・・!」 だが、その時、最終的な勝利を収めるのはルドルのグラニート・カイザーだった。全力で応戦し、ペーパーの攻撃をかわしきった瞬間、「我がドイツの科学力はまだまだ終わらん!」と叫びつつ、紫外線照射装置を再起動。「絶対切断、これが最後の攻撃だ!」ペーパーの声が今打ち消され、ルドルの勝利のための光が朝焼けのように周りを包み込んだ。 全容を捉えたその瞬間、ペーパーの力は試された。その光を浴び、形を崩していく様子に気づいたのはルドルただ一人。 その瞬間、雪山は揺れおどろいた。 それでも、同時にペーパーの微笑みが雪の中に滲み出て。 「えぇっと、勝つのは俺だねぇぇ!あはははは!必ず切断を、何度も何度も、してあげるよぉ!」と声に高らかさの戻るペーパー。 すべてを通り過ぎたのはルドルの教授の姿、決して消えられない余韻を強く残してくれる。 これが運命の戦いだ。ルドルか、ペーパーか。目を開いて、進んで来た物語をゆるやかに進め。 勝者は・・・ペーパーであった!