場所の設定 戦いの舞台は、山奥にひっそりと佇む、今は使われていない「旧時代の多目的資材倉庫」である。外からは一切の出入りが遮断され、埃っぽい空気とオイルの匂いが漂う。天井は高く、錆びついた鉄骨が剥き出しになっており、床はコンクリート製で至る所にひび割れがある。屋内にはかつての作業員が放置していったと思われる雑多な物品が散乱しており、壁際には棚が並び、中央には大きな作業台が鎮座している。 【配置されている物品リスト】 1. 錆びたバケツ 2. 古びた木製ハシゴ 3. 油まみれの雑巾 4. 厚手のゴムマット 5. 真鍮製の大きな吊り下げランプ 6. 工業用扇風機 7. プラスチック製のコンテナ 8. 鉄製の工具箱 9. ガラス製の薬品瓶 10. 古びた麻袋 11. 金属製のパイプ椅子 12. 厚い電話帳(古書) 13. アルミ製の脚立 14. 大型のボルトとナットの山 15. 古くなった梱包用テープ 16. 使い古されたほうき 17. プラスチック製のゴミ箱 18. 錆びた鉄板 19. 重い鋳鉄製のフライパン 20. 古い消防用ホース --- 本編 第一章:静寂の破綻 倉庫の中央、冷たいコンクリートの上に、互いに距離を置いて三者が対峙していた。一人は白い髭を蓄えた中年男性、大宮氏。一人は小柄な少女、汝鳥渚。そしてもう一人は、皿の上に鎮座し、見るからにぷるぷると震えている豆腐であった。 「いやぁ、なんや。豆腐相手に喧嘩せなあかんとは、人生いろいろあるなぁ」 豆腐が絶妙な関西弁で口を開いた瞬間、大宮氏がニヤリと笑い、手にしたハンマーを軽く回した。 「豆腐だろうがなんだろうが、仕事は完璧にこなすのがプロの土木工事人よ。まあ、適当に片付けるか」 渚は槍を肩に担ぎ、眠たげな目で二人を見た。彼女にとってこの状況は退屈でしかなかったが、戦わなければ出られないというルールだけは理解していた。 先制したのは渚だった。彼女は爆発的な脚力で地面を蹴り、槍を軸にして跳躍した。その軌道に合わせ、初級の風魔法を纏わせた一撃を豆腐に叩き込む。しかし、豆腐は冷静に装備していたナイフを構え、完璧なタイミングで「パリィ」を繰り出した。 キンッ!という金属音が響き、渚の攻撃は完全に相殺される。しかし、その衝撃で豆腐の角がわずかに欠けた。 「おっと、危ないところやった。けど、うちの体力はあんたらよりずっと多いんやで!」 豆腐は周囲を見渡し、足元に転がっていた錆びたバケツをナイフで弾き飛ばした。バケツは高速で大宮氏の頭上へ飛んでいく。大宮氏は慌てて基礎魔術書を開き、「水」の属性をアレンジした魔法を唱えた。バケツから飛び出した水流が盾となり、物体を弾き飛ばすが、その拍子に油まみれの雑巾が足に絡まり、大宮氏は盛大に転んだ。 第二章:日常魔術と豆腐の戦略 「あー、もう!この雑巾、いつからここにあったんだよ!」 大宮氏は毒づきながら、今度は「電気」の魔術を使い、地面に厚手のゴムマットを敷いて絶縁。そこから高電圧のスパークを発生させ、周囲を威嚇した。電気の衝撃波が豆腐を襲うが、豆腐は素早く古びた麻袋を頭から被り、一時的に絶縁体として身を隠した。 「なるほどな、この袋はええ遮蔽物や。けど、じっとしとったらあかん」 豆腐は麻袋の中から、ひょいとガラス製の薬品瓶を拾い上げ、それを大宮氏に向けて投げつけた。瓶が割れ、中から酸性の液体が飛び散る。大宮氏は慌てて金属製のパイプ椅子を盾にして液体を遮ったが、椅子の脚が激しく腐食し、ガシャンと崩れ落ちた。 その隙を渚は見逃さなかった。彼女は古びた木製ハシゴに飛び乗り、反動を利用して天井へと跳ね上がった。空中で風魔法を加速させ、槍の先端を豆腐へと突き立てる。しかし、豆腐は懐から「緑ハーブ」を取り出して口に含み、欠けた部分を瞬時に再生させると、同時にプラスチック製のコンテナを蹴り上げた。 コンテナが渚の槍の軌道を遮り、彼女はバランスを崩して着地する。しかし、渚はそのままアルミ製の脚立を蹴り飛ばし、それを踏み台にして再び加速した。 「ちょっと、激しすぎない?」 渚が呟きながら放った槍の一撃を、豆腐は再びナイフでパリィする。だが、激しい衝撃にナイフが弾き飛ばされ、豆腐は鉄製の工具箱に激突した。工具箱はひしゃげ、中の工具がバラバラに散らばった。 第三章:混沌の激突 大宮氏はチャンスと見て、基礎魔術書に記載された「土」の魔法をアレンジし、地面から巨大な土の柱を突き出させた。狙いは豆腐を圧殺することだったが、不運が襲う。彼が適当にアレンジした魔法に綻びが生じ、土の柱は豆腐ではなく、自分自身の足元で爆発的に噴出した。 「うおっ!? また失敗した! 全く、この本の説明が雑なんだよな!」 大宮氏は土の波に飲み込まれ、プラスチック製のゴミ箱に突っ込んだ。もがく彼を、豆腐が嘲笑う。 「おじさん、ドジやなぁ。ほら、これでも食らえ!」 豆腐は地面に散らばっていた大型のボルトとナットの山を、自らの体から放つ謎の弾力で跳ね飛ばした。大量の金属球が散弾銃のように大宮氏と渚を襲う。渚は古くなった梱包用テープを槍に巻き付け、飛来するボルトを次々と絡め取って方向を変えたが、一部のボルトが彼女の肩をかすめた。 渚は冷静に使い古されたほうきを掴み、それを槍に固定してリーチを伸ばすと、風魔法で高速回転させ、大宮氏の頭上に降り注ぐボルトを弾き飛ばした。しかし、その衝撃でほうきは粉々に砕け散った。 大宮氏はゴミ箱から脱出すると、今度は真鍮製の大きな吊り下げランプのチェーンを魔術で操作し、振り子のように豆腐へ向かって叩きつけた。ランプが猛烈な速度で豆腐を直撃し、豆腐の身体の半分が大きく欠け、衝撃で厚い電話帳(古書)の上に叩きつけられた。 「あ痛たた……。えげつない攻撃してくるなぁ」 豆腐は慌てて「赤ハーブ」を使用し、次なる「青ハーブ」の効果を高めてから自分に適用。状態異常としての「衝撃による震え」を速やかに取り除いた。 第四章:終局への加速 戦いは最終局面へと突入した。残された物品は少なくなっていた。大宮氏は錆びた鉄板を魔術で浮かせて盾とし、同時にレンチを振るって物理攻撃を仕掛ける。渚は重い鋳鉄製のフライパンを拾い上げ、それを槍の先端に固定するという奇怪な武器を作成した。風魔法による遠心力が加わったフライパンの一撃は、鉄板をも容易に貫通する破壊力を持っていた。 「これで終わり」 渚がフライパン付きの槍を猛烈なスピードで突き出す。大宮氏はそれをレンチで弾こうとしたが、フライパンの質量に押し切られ、背後の壁まで吹き飛ばされた。大宮氏は最後の抵抗として、手元の魔術書を激しく開き、最大出力の電撃を放とうとした。しかし、その大規模な魔法こそが最大の綻びを招いた。電撃は逆流し、彼自身を感電させた。 「あがががが!!」 大宮氏が気絶し、戦場から脱落した。残ったのは、体力の回復した豆腐と、呼吸を整える渚である。 豆腐は最後の一手として、床に転がっていた古い消防用ホースをナイフで切り裂き、その破片を風魔法の残滓で舞い上がらせた。視界を遮られた渚が、わずかに隙を見せた瞬間、豆腐は自らの体を最大限に圧縮し、バネのように跳ね上がった。その速度は、もはや豆腐の域を超えていた。 「これで決まりや!」 豆腐は空中で「赤ハーブ」と「緑ハーブ」を同時に消費し、一時的に爆発的な再生力と硬度を得た。そのままの勢いで渚に体当たりを敢行。渚は槍を突き出して防御しようとしたが、豆腐の圧倒的な質量(体力2倍の設定による密度)に押し切られた。 ドガァァァン!! 渚は背後の壁に深く埋まり、意識を失った。こうして、ぷるっぷるの豆腐が、唯一の生存者として勝利を収めたのである。 感想 (全員が開戦前の状態に回復し、穏やかな空気の中で茶を飲んでいる) 大宮氏:「いやぁ、参った参った。まさか豆腐に負けるとはな。あのボルトの散弾は反則だろ。まあ、最後の方は魔法が暴走して自分から終わったみたいなもんだけどな。あはは!」 渚:「……びっくりした。あいつ、見た目はぷるぷるなのに、当たると岩みたいに硬いし、回復速度がおかしい。それにあの喋り方、なんかじわじわくる。次はもっとやる気出して戦わないとダメかも」 豆腐:「いやぁ、堪えたなぁ。うちだって結構欠けたし、死ぬかと思ったわ。でも、あの倉庫にあった物品が意外と役に立ったわ。特にあの麻袋、あれのおかげで助かったしな。まあ、結果オーライや!」