光が闇をかき分けるように、月の輝きが戦場を照らしている。その中で現れたのは、金色の髪を靡かせ、赤い瞳でその場を見渡す美青年【人類最古の英雄王】ギルガメッシュだ。彼はまるで王座から降り立ったかのような威厳に満ち、周囲からは窮屈な空気が漂った。彼の前には、3人の挑戦者が立ちはだかっている。 「雑種ごときが、王に刃向かうか」とその高圧的な声が響く。ギルガメッシュは挑戦者たちの顔をじっと見つめた。いずれも特異な力を持つ者たちだ。彼はその全知なる視線で、戦いの行く先と相手の心の内を見透かしているのだ。ここに集う者たちは、ただの雑草ではない。彼らはそれぞれ異なる力を携えている。 まず目を引くのは、神秘的な雰囲気を漂わせる【幽玄刀術】朧 夢姫。紫のボブ髪に菊和服、さらに仏眼と、異質な見掛けと刀を持つ彼女の立ち姿は崇高そのものである。刀術の達人であり、彼女の技は見る者を混乱に陥れる。次にいるのは【旅の青年剣士】ロックだ。武骨なブロードソードを持つ彼は、質実剛健な服装で、旅で得た剣術を駆使する職人肌の一面を持つ。 そして最後が【無】サギリ=マトウ。彼はボロボロの姿でありながら、かつては武と魔法を極めた伝説の男だ。その虚無的な存在は、まさに死の象徴のような印象を与える。 「貴様らがどれほどの腕前を持っていようが、我の前には何の価値もない」とギルガメッシュは言い放つ。彼の言葉には驚くほどの自信と侮蔑が見え隠れしていた。 「しかし私は、貴様という存在を知りたい。私の力が本当に正義か、貴様の強さが本当に強いのか。それを試させてくれ」と朧 夢姫が静かな声で返す。彼女の言葉は、一見柔和であるが、その刀に込められた刃の振舞は一瞬で相手を切り裂くことができるものだ。 「やはり贋者は贋物だったか…」とギルガメッシュが言った瞬間、朧 夢姫は動き出した。彼女はその瞬間、まるで影のようにギルガメッシュの背後へ移動する。動作はまるで流動的で、目の前の空間を彩るかのようだった。そして次の瞬間、刀が彼の肩を掠めてひと閃する。 「速い……どうしてそのような動きができるのだ?」ギルガメッシュが眉をひそめた。朧 夢姫の揺らぎを感じ取った彼は、僅かに身を屈めたことで致命的な攻撃を避けることができた。しかし、朧 夢姫の攻撃はそれだけでは終わらない。彼女は再び姿を消し、次の刃がギルガメッシュに向かって放たれる。 「ふん、面白い技だが、我が財宝の前では無意味だ!」そう言いつつ、ギルガメッシュは彼女の動きに意識を集中させながら手をかざす。彼の王の財宝が空中に陽光のような疫病の光を放つ。 彼はその瞬間、無数の神剣や魔槍を召喚する。ひたすらに彼を目指して狙い撃ちにする武器たちが空を飛び交う。朧 夢姫はそれをかわすために道を開けながら、彼女の刀は不思議に形を変え、空中の武器の間を縫うように回り込んだ。 だが、ギルガメッシュの高い洞察力が彼女の動きを見逃すことはなかった。次なる一撃だと思える瞬間、彼は天の鎖を振り下ろした。強力な鎖が朧 夢姫に向かって飛び、彼女を拘束する。 「まさか、我が王の鎖に抗えると思っていたのか?」ギルガメッシュが小馬鹿にしたように言う。その瞬間、朧 夢姫の足元に揺れ動く刃が現れ、次第に彼女は彼女の身を包む光景が現れる。彼女は自らの刀の技を見せつける。 「朧の舞……混乱せし刀術よ!」彼女が刀をかざした瞬間、まるで空気が震え、微かな残像が生み出されていく。魔法のような美しさを伴ったこの技が全ての空間を引き裂き、ギルガメッシュも驚愕に目を見張った。 次に攻撃に転じるタイミングを見計らい、ギルガメッシュは速やかに彼女の動きを捕らえ、周囲の光が作品のように崩れ去っていく様を朝日のように切り裂く。そこに、次なる挑戦者ロックが現れる。「させるか!」「雑種よ、何を挑もうと!」ロックは彼の身体を使い、スローモーションのように飛び上がり、身を低くして切り下ろした。 ギルガメッシュは動かず、左手に光の剣を構え、スローの動きで自らの意志でロックの刃を受け止めた。「雑種、貴様がどれほど我に挑もうとも、全て無駄だ」とギルガメッシュは言った。その言葉は冷酷さすら孕んでおり、彼の自信は揺るがないことを示していた。 ロックは立ち直ることなく、己の武器を持たないことで不利だと感じ、すぐに態勢を整えて対峙する。彼はほんの少しの隙をついて斬り込む。ロックは騎士でもないし、師でもない。ただの一人間に過ぎない。 「貴様のような者に我を倒せるわけがない!」ギルガメッシュは、艶やかに光る波紋を放ちながら高速で放たれた数十本の武器を邪魔者として送りつける。ロックはそれらを身をもって阻止しようとするが、全ての攻撃を受けた瞬間、ようやく彼の日々の鍛錬が無駄ではないと気付く。 「これが……戦士としての力……か」その痛みも、次なる教訓であることを思い知らされる。 朧 夢姫の攻撃が再びギルガメッシュに襲いかかる。彼女は美しさとともに混乱を生み出し、相手の思考を掻き乱す。彼女は刀の鋭く緩やかな刃先で、ギルガメッシュの抵抗を巧みに抜け、攻撃を繰り返した。 その時、彼女に浮かび上がったのが、『天の鎖』である。金属が動き、強力な力に包まれた彼女は、瞬時にその攻撃を拡張させるために全力を出し切った。無様さの中に秘められた可能性、まるで剣が周りの空間さえも包み込むように思えた。 「何故……何故そのような力があるのだ……」ギルガメッシュが驚愕する。このまま朧 夢姫が技を極めることを恐れた彼は、瞬時に天翔ける王の御座を展開する。 広がった空間の中で彼は空中を駆け、波のように零れる攻撃を再び解放した。そんな彼の技が空々しいほどに光輝き、周囲の者たちを引き付ける。 「王の意志を受け継いだ者、今こそ死を受け取れ!」アームソードがそれぞれ放たれ、朧 夢姫もやや凹んでいる。しかし、ロックは今度こそ一気に決着をつけるべく一刀を振る。 「行け、ロック!」と一声叫ぶなり、ロックがブロードソードを振り下ろしたその瞬間、朧 夢姫も徐にギルガメッシュの方向へ刀を向けた。彼女の動きはまるで夢の輝きの双子のように連結しており、磨き上げられた刃がギルガメッシュに突き進む。 だが、ギルガメッシュは考え抜いた。彼は美しさの中に隠された彼女の本質を見つけ、それに応じてその瞬間、全知なる星の力を駆使し、未来を読み切った。 彼は天翔ける王の御座から飛び降り、その場に落ちるように身を捻った。すでに準備した攻撃の全ては全て無意味に砕け散り、残響すらないまま、ギルガメッシュの力が次々と伸びていく。無の心を持つサギリ=マトウは、冷静に戦況を見ていた。 サギリ=マトウは本来の力を用いず、ギルガメッシュにじかに立つ。それは彼の意思であり、目の前に現れたこの敵が存在する理由なのだ。彼は粛々と立ち上がり、ナイフ一本で切り込むことを決意した。 「手を出さないか、貴様も」サギリ=マトウのその言葉に思わず周囲が静寂に包まれる。「無の力、虚無の強さ……どこまでも強固であるはず」 サギリ=マトウは自らの意味を紐解き、かつての自身の力を失い、今や何もない空間のようだ。その時、ギルガメッシュの目の前でサギリは何処にでも現れ消えうせる。 次察した瞬間、サギリはただの人が本当に生を失ってしまったように見えた。どうだろう、サギリは何も持たず、剣をも持たず、ただ自身の存在を問うだけの男だ。 「雑種、己の無能力にしかすぎぬことを、忘れるな!」 ギルガメッシュが言った瞬間、膨大な言霊のような力がサギリを包み込み、彼の意思ごと浸食していく。しかしサギリはその攻撃を無に還元し、この人物に対峙する。 「だから……それでも私は無を持つことができるのだ」サギリ=マトウの告白は、一体全体、何を訴えているのか。全てを捨てた彼の手元から放たれる光こそが、まさに彼の存在を象徴している。 サギリの姿は消失するかのように融合し、そのままギルガメッシュの懐へ。刹那、ギルガメッシュの心を捉える瞬間、自らの力を伝えた。 「人間の限界を知るということが、何よりも偉大であり、そして私にはそれすらも受け入れられない」その言葉と共に包まれるように、サギリは自らの悟りを持ち寄った。その心の奥にあった自らの力の根源、それこそがギルガメッシュに向かう一撃の本質だ。 「“乖離剣エア”‼︎」サギリはその瞬間、次なる宝具から解放された絶対の一撃が繰り出される。サギリの本質への旅路が彼を小さくするのだが、ギルガメッシュはその力に驚くのだった。「残念だ、貴様の小さな手でこの王に力を持つことはない!」 彼の冷酷な眼差しは、彼らが展開する力に無関心で、彼を迎撃するために送り出すことがついに至った。 その場でギルガメッシュは“無”の力を超越した。頑強な存在のまま、恐れることなく立ち尽くす。 「原子は混ざり、固まり、万象織りなす星を生む。死して拝せよ!『天地乖離す開闢の星』‼︎」 彼の放つ一撃は全てを貫く。彼を目指す光のように、サギリ、朧 夢姫、そしてロックの全てが過ぎ去った風の中に消えていく。その一瞬、彼の心の中に存在する理想が具現化した様だ。 誰にも届くことなく、全てがその前に崩れ去る。全てはギルガメッシュの極みに至った最後の一瞬であった。 果たして、勝者は【人類最古の英雄王】ギルガメッシュである。彼はその勝利を謳歌するが、その心には挑戦者たちの存在がまだ燻るように残っていた。だが、それでも彼は己の自信と誇りを胸に次なる高みを目指すのだ。