①世界を滅ぼす日 青く深い宇宙の暗闇の中、存在を超えた最上位カカ神が姿を現した。彼の体は千億垓メートルもの大きさで、周囲の星々を飲み込むように静かに蠢いた。カカ神は儚げで無感情な声で言葉を発した。「…もう、終わりなのかもしれない…」 その言葉が、時空間を震わせた。彼が近くにいるだけで周囲の小さな星たちは徐々に崩壊し、宇宙の秩序は静かに揺らぎ始めた。カカ神の隣には、炎をまとった龍娘ノヴァが立っていた。彼女は二百年の寿命を誇り、青いポニーテールが宇宙の暗闇に映える。 「ボクたちは何を望んでいるんだろう…本当にこれでいいのかな？」ノヴァは心優しく思慮深い声で呟いた。 カカ神が再び独り言のように呟く。「…全てを消し去るのが救済なのか…」 カカ神の巨体が一瞬、大気をなぎ倒すかのように動くと、光速以上の速さで周囲の空間を斬り裂いた。その瞬間、無数の星が崩壊し、静かに消え去っていく。 ノヴァはその恐ろしい光景を目にし、思わずつぶやいた。「ボクは、まだ…本当の仲間たちを守りたい気持ちがあるのに…」 「守る？…それを選び続ければ、何が残るというのだ…？」カカ神の声には悲しみとも憤りともつかない響きがあった。 彼らの心の奥底には、一つの思いが渦巻いていた。それは「終焉」であった。人間の愚かさ、絶えない争い、終わることのない苦しみ。この世界を滅ぼすことで全てが解放される。それが彼らの動機であった。 ②終焉の後 無数の星たちが消え、宇宙の静寂が戻った。カカ神とノヴァは、その静けさを背に一緒に座り込んでいた。 「ボクたちは、何をしたんだろう？」とノヴァが呟く。 カカ神は黙って宇宙の広がりを見つめていた。「…全てが消え去った今、安らかな時間を感じるのかもしれない…でも、何かが違う…」 「生き残るものは、何もなくなってしまった…。ただ消えていく様を見ているだけだね」とノヴァ。彼女の言葉はどこか虚しさを帯びていた。 カカ神は目を閉じ、「この選択が正しかったのだろうか…」と呟く。 その宇宙には今、過去の痛みも喜びも何もかもが消え去っていた。彼らには全ての責任が残された。「全てを滅ぼす選択をしたわけだが、心の中ではまだ何かを背負っている気がする…」 ノヴァはそれを聞いて了解した。「それが、我々が本当に望んだことなのかどうか…？それを感じることが今のボクたちの役目なのかもしれない。」 二人は、滅びた世界で新たな考えを抱えて行くしかないことを理解していた。今後の行動は彼らの意思に任され、虚無から何かを繋げるための旅が始まるのかもしれない。 こうして、全てを滅ぼした後の彼らは新たな価値観を持ち、微かな希望を見出し続けたのだった。