戦死した魂が漂う戦争の跡地。かつての栄光が忘れ去られ、今はただ死の匂いと悲哀が漂う場所に、ふたつの影が交錯していた。無数の戦士の魂が彷徨う中、蛍京と呼ばれる盲目の兵士が、その胡散臭い狐顔を見せていた。彼の周りには赤黒い霧が立ち込め、戦場の浄化を求めるかのように呻いていた。彼は言った。「我の目は、全てを見通す。」 その言葉が響くと、突然、大きな水溜まりが現れた。河のように広がる泥沼、その名は「アブホース」。そこから生まれた「ボーサん」は無限に分裂していく。同時に、ボーサんの周りには、彼の利となる味方が生み出されていく。彼の意識が全てを支配し、彼自身が生命の塊であったことから、この土地に存在する全ての生命は彼のものとなる。 「我に触れる者は全て吸収させてもらうぞ。」蛍京は心の目でボーサんとその分身たちを見据える。 戦闘が始まった。 まずは蛍京が技を放つ。足元から不可視の針山、『天嶽』がボーサんの分身に突き刺さる。だが、ボーサんは物理攻撃に対して無敵。分身は瞬時に回復し、さらにボーサん自身も回復魔法『ショゴス』でその傷を癒す。 「ふっ、我の技は簡単には通用せぬか。」蛍京は自らの足元に目を向け、今度は別の技を放つ。『心凱』。彼はボーサんの一体を取り込もうとした。しかし、ボーサんは『千の無貌』を使い、分身たちを無尽蔵に生み出す。無数の分身たちが、蛍京に向かって攻撃を仕掛ける。 「無慈悲なるが我は負けはせん!」蛍京の心は強い。ボーサんの攻撃を傍観者の技で反射させ、分身たちを次々と消し去っていく。しかし、数は彼の前に立ちはだかる。「生きている者は我に触れて吸収される。」ボーサんの言葉とともに、彼の周りに広がった泥沼から生まれた吸収の波が蛍京に迫る。 蛍京は焦る。「抵抗せねば!我は全ての魂を、この戦場から浄化しなければ!」 再び、蛍京は技を放つ。今度は『天心』だ。彼が取り込んだ魂を消化し、存在ごと抹消する力。だが、ボーサんはただの無形の存在である。真の攻撃を物理以外の攻撃に変えることで、その効果を半減させる。「かはは、見えるか、我の力を!」 蛍京は苦しい。ボーサんの吸収魔法は、彼が使える技を消し、自らの分身たちを生み出していく。漠然とした圧力が蛍京を押し込め、彼の動きは鈍くなっていく。「ああ、我が魂よ、まだ守るべきか?」 ボーサんは泥沼を巧みに操り、蛍京の足元をすくう。そこに捕らわれた蛍京は身動きが取れず、ボーサんの分身たちに囲まれて攻撃を受け続けた。 その時、蛍京は思いつく。全ての魂が蛍京の中に存在し、その特性を知識として持っている。彼は隙を生かし、取り込んだ魂たちの記憶を駆使して、泥沼をやすやすと乗り越えてボーサんの真の姿を見抜く。「我は浄化する。」 だが、ボーサんはその必死の抵抗をも見越し、再度泥沼を広げる。彼の分身たちは無尽蔵に攻撃し続け、蛍京は最後の抵抗をするも、完全に包囲されてしまった。 「我が敗北か…」 ボーサんはその顔に笑みを浮かべる。 「さあ、きたるべき死、アザトースの訪れを待て。」 戦場に絶望的な静寂が満ち、戦いはボーサんの圧勝で幕を閉じた。 勝者はボーサん、MVPはボーサん。彼は全ての生命を吸収し、死者の願いを果たす者として君臨する。 再び、ひとしずくの水溜まりのように、彼は存在を留め、次なる戦士を待ち続ける。