--- 舞台は雷雲の中の広大な庭園。薄暗い空の下、遠くで雷鳴が轟く。木々の間からは微かに光が漏れ、庭園は薄闇の中で不気味に輝いている。 この庭園に一人の少女が佇んでいた。山吹色のマフラーをなびかせるライル、その目が鋭く光る。彼女は戦闘に備え、周囲の気配を感じ取っている。 「ふん、遅いな。来るなら早く来いよ。」 そこへ現れたのは、冷静沈着な少女、くろ。彼女は控えめな姿であるが、その目はライルを捉え、殺意を隠すことなくじっと見つめている。 「お待たせいたしました、ライル。」 「お前が来るのは分かっていた、くろ。」 くろはライルの言葉に無言のまま頷く。まるでその彼女の静寂が、戦場全体の空気を一層引き締めているかのようだった。 次に庭園の奥から明るい声が響く。小柄な少女、壱阡が軽やかに姿を現す。 「やあ、みんな！今日も頑張ろうね！」 ライルは冷たい視線を向ける。「お前は後ろで支えていろ。前に出るな。」 「うん、任せて！」 壱阡は天真爛漫に笑いながら、両手をあげて応じる。 庭園の中心では、雷鳴が一層強まり、黒い雲が渦を巻く。まもなく、ライルの蓄電が始まった。 「くろ、狙うぞ。」 「待って。」くろはじっと立ったまま、ライルの動きを観察する。彼女は、呼吸のリズムや微細な動きまで見抜く力を持っている。 「さぁ、行くわよ！」ライルが一歩前に出た。動くたびに蓄電値が増加し、身体能力がそれに比例して高まる。 10%→雷速！ 彼女の動きが一瞬速くなり、周囲に電気が散り始める。 「これがライルの力…！」壱阡が驚いた声を上げる。 「気をつけて、壱阡。」くろが静かに忠告する。 ライルが再び前に躍り出る。瞬時に彼女の身を翻し、その横をすり抜ける。 「今だ！」 くろの短剣が閃いた。瞬時に重心を感じ取った彼女は、滑らかに動きながらライルへのカウンターを狙う。 しかし、ライルはそれをわかっていたかのように避ける。 「早いね、くろ。でもこれでもう10%溜まった。」 「やっぱり…動きが速くなったのか。」くろは再度間合いを測り直す。 その時、壱阡が後ろで支えるための準備を始めた。全ての味方のステータスを上昇させる技能、【災い転じて福となす】を早くも発動する。 「全員の力を引き出させてねっと！」 壱阡の明るい声が響くと、仲間たちの力量が一瞬増していく。 「その効果があるうちに…」 ライルが再び動き出す。距離を詰め、一気に加速する。 「食らえ、雷壁！」ライルの言葉と同時に、彼女の周囲に電撃のバリアが展開される。 その瞬間、くろは短剣を振りかざしてバリアを貫こうとした。彼女の経験が相手の動きを読む時間を短縮させている。 「読めた！」くろが堅い表情を崩さずに突進する。 だが、ライルは冷静にその攻撃を透かす。 「雷衝！」 電撃の矢がくろの方へ飛び出す。彼女は本能的に飛び退くが、その動きは微妙に遅れていた。 轟音と共に雷が衝突し、彼女の体が吹き飛ばされる。 「くろ！」壱阡が声を上げる。彼女の危機にすぐに反応して、回復バフを放つ。「大丈夫だよ！これを受けて、私は盾になる！」 両者の緊迫した状況が続く中、くろは微かに一瞬の隙を見出した。自らの動きを、雷が本当に創り出す一瞬の隙間に合わせて狙う。 「ここ！」 彼女の短剣が、まるで刃物のように閃く。 一方、ライルはその動きに気付くが、反応が間に合わず、刃が彼女の皮膚を掠める。 「痛っ！」 くろの攻撃は完全には成功しなかったものの、ライルは少し驚き、間合いが緩む。 「さすが、見込み違わないな。」 「私を甘く見るな。」くろはその言葉を返す。自身の前に立つ重心を崩す。 「雷帝！」ライルが叫ぶ。 その瞬間、周囲の空気が変わる。 「来る！」くろはとっさに回避の姿勢をとるが、ライルの動きは圧倒的だった。彼女の全身から電撃が放出され、瞬時にくろを捕らえ、感電させる。 「ぐっ…！」 「決まったな。」ライルは自信に満ちた笑みを浮かべる。 その時、壱阡が前に出て、身を隠すように両腕を広げた。「私が守る！」 彼女のスキルが同時に発動すると、今まで受けたデバフを肩代わりし全バフを味方に与える。 「全然分からない…！」 感電から解放されたくろは、焦るように行動に移る。「相手のペースに乗せたらいかん！」 壱阡がスピードを上げ、彼女の全邪魔を無視して攻撃に入るための下支えをする。 「行くぞ、くろ！」壱阡が友人に力を与え、全力で戦うためのサポートをし始めた。 しかしライルは冷静さを保ち、10%の蓄電が90%に達する。ついに発動されるのは「雷鳴玖魂」。 全身が爆発的に光り輝き、庭園内に響く音が増してきた。 「いくよ！」 「まだだ、まだ終わってない！」 最後の抵抗を試みるが、ライルはその全力をもって突進する。 彼女の進行を阻むものは何もなく、雷の力が彼女の身体を駆け巡り、空中に放電が渦巻く。 灼熱の光の中で二人の少女が立ちすくむ。 「これで終わり！」 ライルの声が高らかに響くと、全ての力が放たれ、庭園全体を包み込むような衝撃が走った。 彼女の全力の一撃は、二人に直撃し、彼女たちは振り切られていく。 「ライル…！」壱阡の声が響いたが、すでに彼らの運命が決してしまう。 --- 勝敗: ライルの勝利。 理由: ライルは圧倒的な身体能力と分析力を駆使し、相手の動きに瞬時に反応できたこと、その上、武器としての電気も巧みに使いながら、蓄電によりパワーを増強することができた。くろの冷静な判断やスキルも素晴らしかったが、最終的にはライルの力の前に圧倒されてしまった。壱阡のサポートがあったものの、最終的にはライルの一撃を止められる力はなかった。