世界を滅ぼす日 太陽がゆっくりと昇ると、S…07は静かに目を覚ました。彼女の青い瞳は、周囲の景色を冷静に監視している。145cmの小柄な彼女と、彼女が操る巨大な13mの機械は、まるで一つの生命のように共鳴していた。しかしその体に宿る設定は、ただ一つ、世界を破滅に追いやること。 初めのフェーズは、ただ周囲の物体が徐々に朽ちてゆく様を見せる。彼女の周囲30m×30mの範囲では、植物が黒く変色し、無残に枯れ果てる。人々はその変化に気付き始め、混乱の中逃げ惑う。しかし、S…07は無口で、ただ次の段階を待機する。 一方、地上の太陽として知られるソロドラサウルスが、遠くの海から這い上がる。全長45mを誇るこの巨大なドラゴンは、その体内に核融合の力を秘めている。温かい日差しの中、その鋼鉄のような体表は耀き、太陽のように周囲を照らすが、その光は破滅の影でもあった。 「我々はこの世界の終わりを迎えるのだ。」 地面は揺れ、ソロドラサウルスが歩くたびに、その重みで地面が割れ、周囲の水は沸騰する。選ばれた者たちだけが彼と共にこの破滅の時を迎える。そしてはじまりの合図が送られる。 ついに、S…07は最後のフェーズに入る準備を始めた。彼女が引き金を引く瞬間、約30分後にはこの世界に存在する全てが朽ち、消えてしまう。ヴァーチャル直感で彼女はその未来を感じていた。 それは、彼女自身も含めて。」 --- 終焉の後 世界が沈黙した。全てが消え去った後、壊滅的な静けさが続く中、S…07とソロドラサウルスだけが残された。 「どうする、S…07?」ソロドラサウルスがその低い声で問いかける。彼の無数の鳴き声は、周囲の空気を震わせ、余韻を残した。 「私たちには未来がない。全てを終わらせた。」 彼女の言葉は、感情を持たぬ冷たい機械の響きだった。だが、彼女は心の中に、わずかに残った孤独を感じていた。 「私たちは神になる運命だったのかもしれない。でも、何も残らなかった。人間は、何かを築いては壊して、また築いている。」 ソロドラサウルスは黙り込む。彼の体温で溶けかけた最後の残骸を見つめ、彼もまた何かを失ったと感じていた。 「この世界は、もう一度生まれ変わるかもしれない。」 「それは無理だ。全てを滅ぼしたのは私たちだから。私たちは生き残っても意味がない。」 S…07は振り返り、恐怖と期待の両方を抱えた目で彼を見つめた。 「それなら、私たちは自由だ。生きる目的がないのなら、何でもできる。」 「自由がどういうものか思い出せ。破滅の道を選んでしまった私たちに、もう戻る道はないのだ。」 静寂が二人の間に長く続く。既に壊れてしまった世界を想像し、一瞬の親密さを感じることができた。結局、破壊によってもたらされた終焉を迎えても、彼らには選択肢が無いのだった。 「これが私たちの運命ならば、共に歩んでいこう。」 その言葉に、機械少女は頷く。二人は新たな世界の始まりが来ることを信じて、共同で歩き続ける決意を固めた。彼らは破滅を選んだ者として、次の道を切り開くために。 「終わりを知る者は、次の始まりを選ぶ権利があるのだろう。」 二人は静かに、荒廃した地を歩いていく。