空港荷物検査の試練 国際空港のターミナルは、午後の喧騒に満ちていた。ガラス張りの天井から差し込む陽光が、床に反射して白く輝き、旅行者たちの足音が響き渡る。セキュリティチェックポイントの列は長く、家族連れやビジネスマンたちが順番を待っていた。そんな中、四人の異様な一行が列に並んだ。彼らは一見、奇妙なグループだった。無慈悲な球体兵器、発明家風の女性、将棋の達人、そして白髪の少女。それぞれが、異なる世界から来たかのような存在感を放っていた。 最初に順番が回ってきたのは、キリキザミだった。大型の球体は、直径2メートルほどもあり、全身に隙間なく刃物がびっしりと取り付けられた、恐ろしい外見の兵器だ。感情はなく、カメラで視認した者に襲いかかる欠陥品として知られる魔導兵器。空港の警備員たちは、最初これを巨大なアート作品か何かだと思い、困惑した。「え、えっと…これはお荷物ですか? 持ち運び可能なんですか?」一人の警備員がマイクで尋ねたが、キリキザミは無言。喋らないそれは、ただ静かに浮遊し、ゆっくりとベルトコンベアに近づいた。 検査装置は、X線スキャナーと金属探知機のコンビネーションだ。キリキザミがベルトに乗ると、装置が即座に反応した。ブザーが鳴り響き、赤いランプが点滅する。「金属反応多数! 危険物検知!」警備員たちが慌てて駆け寄り、球体を止めた。キリキザミの表面は刃物で覆われ、内部に複雑な機構が隠されている。隠し通すなど不可能だった。警備員の一人がリモコンを操作し、球体を固定。キリキザミは抵抗せず、ただカメラが周囲をスキャンするだけ。やがて、特殊部隊が到着し、連行された。「これは…兵器か? 厳重保管だ」警備員の声が響く中、キリキザミは静かに運ばれていった。通過できず、敗北の瞬間だった。 次に並んだのは、シルヴァン・グレイ。白髪のボブヘアに黄色の瞳、丸眼鏡と白いベレー帽、萌え袖の白衣を纏った20代の女性だ。普段はダウナーな表情だが、家族であるバルベットたちを思うと優しい笑みを浮かべる。彼女の荷物は小さなスーツケース一つ。内部には発明品の部品や小型装置が詰まっているが、すべて合法的な研究ツールとして申告済み。「さぁ、バルベット君たち、検査だよぉ〜」彼女は独り言のように呟き、スーツケースをベルトに置いた。 スキャナーが作動する。シルヴァンの袖に隠されたモエソデ砲の部品が、微かな金属反応を示すが、彼女は事前に分解して非危険物として包装していた。警備員が手荷物検査で中身を確認。「これは…エネルギー装置ですか? 研究用ですか?」シルヴァンは中性的な口調で答える。「ええ、私の発明品です。バルベット君たちを助けるためのもの。危険じゃないですよぉ」彼女の穏やかな説明に、警備員は納得。閃光ガス爆弾の類も、玩具として偽装されていた。興奮気味に心の中で思う。「ふふ、うまくいったね、バルベット君」スキャンを通過し、シルヴァンは小さくガッツポーズ。勝利の瞬間だった。 続いての将棋王。恰幅の良い中年男性で、穏やかな笑みを浮かべ、将棋盤と駒を入れた専用ケースを持っていた。攻撃力ゼロ、防御力ゼロだが、魔力100の将棋界最強の男。どんな状況でも将棋のプレイングを乱さない彼は、列に並ぶと静かに待った。「ふむ、空港とは将棋の布石のようなものだな」独り言を呟く。 ベルトにケースを置くと、スキャナーは何の反応も示さない。将棋駒は木製で、金属探知機を通過。手検査で警備員が開封。「将棋の道具ですか? 問題ありません」将棋王はにこやかに応じる。「ええ、私の戦場は盤上です。法律に則り、公正に」もし何か疑われても、彼のスキルで将棋対決に持ち込めば勝てるが、そんな必要はなかった。ルールを知らない者にも勝つ彼だが、ここでは純粋に無害さが通じた。通過し、将棋王は満足げに頷いた。「次の一手は、ゲートか」勝利の余裕を見せた。 最後に、ツヴァイア。152cmの白髪赤目の少女、無口で優しい人造生命。多元世界防衛局の開発品で、バスターライトアームズを装備した彼女は、見た目ではただの可憐な少女だ。荷物はバックパック一つ。内部にレーザーライフルの部品が入っているが、すべて分解され、玩具の模型として申告。「アナタ…大丈夫?」彼女は周囲の警備員に小さく尋ねるような視線を送る。 スキャナーが反応。バックパックの金属部品が光る。「これは何ですか?」警備員が尋ねると、ツヴァイアは静かに答える。「私の人形の部品…です」無口ながら優しい口調で、ハイパーシューターの銃身を玩具の剣として偽装。レイズ・ウェイブのバックパック部品も、充電器に見せかけていた。ハイライトヒールの靴底レーザーも、ただの靴。警備員は少女の純粋さに疑念を抱かず、「子供の遊び道具か。通過してください」と許可。ツヴァイアはほっと息を吐き、通過。優しい笑みが浮かんだ。勝利の瞬間、彼女の赤い瞳が輝いた。 こうして、空港の検査は終わった。キリキザミは検知され連行されたが、シルヴァン、将棋王、ツヴァイアはそれぞれの工夫で隠し通し、ゲートへ進んだ。決定的なシーンは、シルヴァンの巧みな偽装説明、将棋王の無害な将棋道具、そしてツヴァイアの少女らしい無垢さだった。喧騒の中、四人はそれぞれの道を歩み始めた。(文字数: 1248)