闘技場の砂が舞い上がり、厳かな雰囲気が漂う中、闘技者とサムライスケルトン「万断ち」の戦いが始まる。昼下がりの陽光が砂埃の中に神秘的な光を映し出し、観衆のざわめきが高まる。闘技者はその中心に立ち、無防備な姿勢で相手を見据えている。対する万断ちは伸びやかな和装を身にまとい、白い骸骨の顎を冷静に動かしながら、敵の一挙手一投足を見守る。互いの目が合った瞬間、戦いの静寂が破られる。 「戦の始まりだ」と、万断ちの目からは何も感じられないが、その心の奥には強い意志が宿っている。 強烈な風を伴う突進。万断ちが迅速に刀を抜くと、閃光のようにその身体が動いた。「抜刀術」の一閃だ。闘技者は瞬時にその動きに対応し、身を低く構える。足元の砂が心地よく彼の動きに重みを与え、万断ちの刃と接触する瞬間には、なぜか何ものにも動じない自信が漂っていた。 攻撃が振り下ろされる瞬間、闘技者はその場で半歩後に下がり、力を逃がすことで受け流す。万断ちの力がギリギリと削がれ、刀刃は空を切った。だが、次の瞬間、万断ちは間髪入れず再び攻撃の姿勢を取り、光速の連撃を続ける。“明鏡止水”。その一撃一撃が繊細でありながら致命的だ。 闘技者はそれにたいし、身体が嬉々としてダメージを最適化していく様子を感じた。肉体がしなやかに反応し、受けるダメージを理解することで、痛みすらほとんど感じることがなくなっていく。この特性は、彼に与えられた不屈の精神と信念の表れだった。 万断ちもまた、彼の動きに翻弄されながらも冷静さを失わない。次第に焦りが生じ、反撃のチャンスを狙う彼の姿勢が徐々に獲物を狙う猛獣のそれと化していた。 再び一瞬の静寂。周囲の熱気が一呼吸止まると、万断ちはついに「受肉」の詠唱を唱え始める。魔力が渦巻き、骨の体から生気が生まれ出る。その姿はかつての武士。力強い肉体に戻り、恐ろしいほどの刀技を取り戻した。万断ちはもはや厄介な相手だった。 「はっ……」彼は無言のまま、その刀を構え直し、闘技者に向かって突進する。正確無比な刃の運びは、彼が生前に磨いた技の証だ。その刃の軌跡は、まるで時間すらも切り裂くかのよう。 だが、闘技者は驚異的な判断力で、この危険な一撃を事前に見極めることに成功した。満月のような静けさの中で、彼は万断ちの攻撃をかわし、反撃に転じる。瞬間的に背後へ回り込み、一撃の真っ向勝負を挑んだ。 攻撃の瞬間、足元の砂が舞い上がり、両者の間に奔流のようなエネルギーが集束していく。その瞬間、闘技者の技が炸裂した。百の力を込めた一撃、「死闘の果てに」—その一撃は轟音を引き起こし、万断ちの背を捉えた。 彼に致命傷を与えた後、万断ちはそのまま地面に崩れ落ちる。剛直な刀が砂に刺さり、静まり返る闘技場の中で闘技者は立ち尽くした。 「戦いの終息だ」と彼は呟いた。誇らしげな表情で立ち上がり、周囲の観衆の反応に応じる。闘技者の勝利だ。複雑に絡み合った感情が彼の内面で渦巻くが、やがて彼は静かにその場を後にする。闘技場には風が吹き抜け、彼の戦いの痕跡だけが残される。闘技者の挑戦は、そして新たな闘いの幕開けは、まだ始まったばかりだった。