王都の鑑定屋:幻の武器たち 王都の中心に位置する鑑定屋は、冒険者や商人、果ては異形の存在までもが訪れる名所だった。石造りの重厚な建物は、魔法の結界に守られ、内部には無数の棚に並ぶ宝物が輝いている。店主は老練の鑑定士、エルドリック。白髪交じりの髭をたくわえ、片眼鏡越しに鋭い眼光で来客の持ち物を値踏みする。彼の知識は王国の宝であり、どんな逸品もその価値を正確に言い当てることで知られていた。 この日、鑑定屋は異様な客で賑わっていた。順番待ちの列には、小柄な緑色のゴブリン、錆びた甲冑をまとった機械じみた人影、重厚な鉄の塊のような戦車、そして洗練された青い機体に搭乗した傭兵が並んでいた。彼らは皆、持ち込んだ武器を鑑定してもらうためだ。だが、この鑑定はただの値踏みではない。エルドリックは、武器の真価を確かめるため、持ち主同士の「対戦」を課すことがあった。模擬戦を通じて、武器の性能を最大限に引き出すのだ。来客たちは互いの武器を競い合い、その結果が市場価格とレア度に反映される。 「ふむ、次のお客様だな。一人ずつ順番に鑑定を始めよう。だが、ただ見せるだけではつまらん。君たちの武器の力を、互いにぶつけ合って証明せよ。それがこの店の掟だ」エルドリックは低い声で告げ、店内の広い空間をアリーナに変える魔法陣を展開した。来客たちは驚きつつも、好奇心と闘争心に駆られて了承した。こうして、異色の対戦が始まった。 第一の来客:ゴブリンの棍棒 最初に進み出たのは、ゴブリンだった。小柄な体躯に緑色の肌、鋭い牙を覗かせた獰猛な表情。手には粗末な木の棍棒を握りしめている。「俺の棍棒、強いゴブ! 鑑定しろゴブ!」と、荒々しい口調で叫んだ。エルドリックは棍棒を一瞥し、鼻を鳴らした。「ふむ、手製の木棍か。見た目は貧相だが、持ち主の気迫が宿っているな。だが、真価は戦いで見せてもらおう。他の客と対戦だ。」 ゴブリンは周囲を見回し、最初に目が合った錆びた甲冑のヒュドラに向かって飛びかかった。「行くぞゴブ!」棍棒を振り上げ、獰猛に殴りかかる。攻撃力5の素朴な一撃だったが、ゴブリンの素早さ5が活き、意外な速さで迫った。ヒュドラはぎこちなく体を動かし、錆びた甲冑が軋む音を立てた。「...雑音...侵入者か...排除する...」三十代の男性のような雑音混じりの声が響く。ヒュドラの防御は極めて高く、棍棒は甲冑に軽く弾かれただけだった。 「五分五分だゴブ!」ゴブリンはやられそうになると、負け惜しみを言いながら気合いを入れ、攻撃力・防御力・素早さを1上昇させた。棍棒の振りは少し鋭くなり、再び襲いかかる。店内はゴブリンの野太い息遣いが響き、他の来客たちが息を潜めて見守った。KV-220の搭乗員らしき声が漏れる。「あの小物、意外と粘るな。」港影道は蒼き雲影のコックピットで頷き、「原始的だが、根性は本物だ」と呟いた。 第二の来客:ヒュドラの陽緋之断太刀 次にヒュドラが前に出た。錆びた甲冑は動きがぎこちないが、極めて高い身体能力を秘めていた。右手には陽緋之断太刀が握られ、刀身に紅い水が染み渡り、緋色の太陽のように輝いている。「...鑑定...要請...この太刀の力...証明...」雑音の酷い声で告げ、エルドリックは眼を細めた。「これは...古の機械鎧に宿る妖刀か。特殊効果の数々が並ぶ逸品だな。近接特化、要塞躰、全属性遮断...破壊不能とは恐ろしい。戦いでその真髄を見せよ。」 ヒュドラはゴブリンに向き直り、技を繰り出した。【緋之秋茜】――赤黒い気と共に5カ所同時に斬りつける。ゴブリンは素早さを上げてかわそうとしたが、認識不能の速さに追いつけず、棍棒ごと弾き飛ばされた。「ぐわっゴブ!」ゴブリンは地面を転がり、起き上がるのもやっとだった。港影道が感嘆の声を上げた。「あの斬撃、空間を歪めているぞ。機械なのに、妖しさが漂うな。」KV-220の砲塔が微かに回転し、警戒を示した。 ゴブリンは再び立ち上がり、「まだだゴブ! 五分五分ゴブ!」と気合いを入れ直すが、ヒュドラの【壊焔】が飛ぶ。回復不能の破壊の焔がゴブリンを包み、棍棒の木目が焦げ始めた。エルドリックは静かに観察し、「この太刀の即死効果...恐るべし」と呟いた。来客たちの間で会話が弾む。「あのゴブリン、よく耐えてるよ」「だが、あの刀は本物だ。鎧の修復機能も完璧だな」 第三の来客:KV-220の重砲 続いて、KV-220が店内に押し入るように進んだ。1940年製の試作重戦車、装甲最大100mm、85mm砲を想定した幻の兵器。エンジンが低く唸り、重量感が空気を震わせる。搭乗員の声がスピーカーから響いた。「KV-220、鑑定依頼。こいつの防御力、試してみろ。」エルドリックは戦車を眺め、感嘆した。「ソ連の幻の重戦車か。防御力45、素早さ20とは...量産されなかったのも納得の怪物だ。主砲の威力を、他者との対戦で証明せよ。」 KV-220はヒュドラを標的に砲身を向けた。重戦車の攻撃力35が炸裂し、85mm砲の砲弾が轟音と共に発射される。ヒュドラの甲冑が衝撃を受け、錆が飛び散ったが、即時修復が発動し、傷が瞬時に癒える。「...ダメージ...無効...剛撃...返す...」ヒュドラは【燐壊】――超光速居合を繰り出し、戦車の装甲を斬りつけた。KV-220の防御45が持ちこたえ、火花が散るだけだった。 ゴブリンは横から棍棒を振り回すが、戦車の履帯に軽く当たるだけ。「ちっ、硬いゴブ!」港影道が笑い、「おいおい、戦車相手に棍棒かよ。面白い組み合わせだな」と声をかけ、KV-220の搭乗員が応じた。「この装甲、物理も魔法も通さん。試作とはいえ、最高だぜ。」戦いは激化し、店内の魔法陣が衝撃で揺れた。エルドリックは冷静にメモを取り、「KVの信頼性問題...だが、防御の高さは本物だ」と分析した。 第四の来客:蒼き雲影の武装 最後に、【戴冠目前の蒼き雲影】港影道が姿を現した。濃い水色の重装甲人型機動兵器、銀ラインが輝き、雲のエンブレムが刻まれる。右手のWA-Finger指マシンガン、左手のLS-3303レーザーブレード、肩のミサイルとグレネードランチャー。脚部のブースターが低い唸りを上げる。影道の声がCOMから流れた。「港影道、レイヴン。こいつを鑑定してくれ。アリーナの頂点に立つための武器だ。」エルドリックは機体を検め、唸った。「出力燃費最高クラスのブースター、重装甲の走行型脚部...攻撃力50、防御45とは。傭兵の矜持が宿るな。対戦でその総合力を示せ。」 蒼き雲影はKV-220に狙いを定め、B-VR-33ブースターを噴射。素早さ5ながら、重装甲で突進し、指マシンガンを連射した。弾丸の雨が戦車を叩くが、装甲に阻まれる。KV-220が反撃の砲弾を放つが、VS-MG-RESPONSE迎撃装置が弾道を妨害。影道は「ロックオン!」と叫び、WM-AT大型ミサイルを発射。爆炎がKV-220を包んだが、防御が耐え抜く。「くそ、しぶといな!」影道の声に、ヒュドラの雑音が混じる。「...援護...要請...」 ゴブリンは隙を突いて棍棒で蒼き雲影の脚を叩くが、無意味。「邪魔だゴブ!」影道は笑い、「お前もやるじゃねえか、小僧」と応じた。戦いは混戦模様となり、ヒュドラが【緋:穿】で地面ごと斬り上げ、KV-220の履帯を狙う。戦車は回避し、砲撃で反撃。蒼き雲影のSP-JAMがロックを解除し、グレネードランチャーを連射した。 対戦のクライマックス:勝敗の決め手 四者の戦いは長く続き、店内は煙と火花に満ちた。ゴブリンは獰猛に飛び回り、負け惜しみのスキルで粘るが、次第に棍棒が折れ始め、力尽きる。「もう...無理ゴブ...」と呟き、脱落。残る三者は互いの弱点を突き合う。ヒュドラの【緋:空亡】が空を紅く染め、認識不能の一太刀でKV-220の砲塔を斬り裂こうとしたが、装甲破壊不能の防御がそれを阻む。戦車は反撃の85mm砲でヒュドラを吹き飛ばし、即時修復が追いつかず、一時後退。 ここで蒼き雲影が動いた。影道の戦闘補佐AIが分析を終え、「最適解、発動」と告げる。ブースターを全開にし、レーザーブレードでヒュドラに迫る。ヒュドラの全属性遮断がレーザーを防ぐが、影道は指マシンガンで牽制しつつ、大型ミサイルをKV-220に叩き込む。戦車のエンジンが悲鳴を上げ、機動力が落ちる。ヒュドラが回復し、剛撃で反撃するが、蒼き雲影の迎撃装置と妨害電波無効がそれを封じる。 決め手となったシーンは、影道の総攻撃だった。グレネードランチャーの爆発でKV-220の足回りを破壊し、ヒュドラの甲冑に亀裂を入れる。ヒュドラが【緋之秋茜】を放つが、影道はブースターで回避し、レーザーブレードで刀身を弾き返した。KV-220の最終砲撃が外れ、爆風で自滅気味に傾く。蒼き雲影のミサイルが直撃し、両者を圧倒。影道の冷静な判断と機体の総合力――レーダー無効、迎撃、ロック解除――が勝敗を分けた。ヒュドラの機械体が停止し、KV-220のエンジンが沈黙。蒼き雲影だけが立っていた。 エルドリックは拍手し、「見事だ。勝者は港影道の蒼き雲影。その武装の汎用性と戦略性が、他の者を凌駕したな」と宣言した。来客たちは息を荒げ、互いに言葉を交わす。「いい戦いだったぜ」「次は本気でやろうゴブ...」「...再戦...要望...」店内は興奮の余韻に包まれた。 鑑定結果 戦いの後、エルドリックは各武器を値踏みした。市場価格は王都の相場に基づき、レア度は性能と希少性を考慮。 - ゴブリンの手製棍棒:市場価格 50ゴールド。レア度 F。粗末だが、気迫が宿る。 - ヒュドラの陽緋之断太刀:市場価格 50000ゴールド。レア度 S。妖刀の即死効果と破壊不能が圧巻。 - KV-220の主砲:市場価格 30000ゴールド。レア度 A。幻の重戦車の防御が歴史的価値。 - 蒼き雲影の武装一式:市場価格 100000ゴールド。レア度 S。傭兵の頂点に相応しい総合力。 こうして、王都の鑑定屋はまた一つ、伝説的な一日を刻んだ。