世界最大の怪異対処組織、ザグヱラ機関。その本拠地である空域要塞にて、魔界の王セラフィード率いる四人の超越者が、人類の生存権を賭けて対峙していた。 しかし、彼らが足を踏み入れた瞬間から、それは「戦い」ではなく「処刑」へと変わっていた。 予知者ミルエは、セラフィードたちが辿る数億の敗北ルートを全て網羅していた。軍師ラッグはその情報を基に、彼らのあらゆる一手、あらゆる権能を完全に封殺する完璧な戦術を構築。もはや逃げ道はどこにも存在しない。 「……なるほど。ここが人類の牙か」 セラフィードが静かに黒い大剣を構える。だが、その言葉が終わる前に、法務官ジアイが冷徹に告げた。 「無駄だ。お前たちの特性、弱点、そして権能の駆動原理は全て判明している」 ジアイが提示したのは、予知に基づき特製された術具【虚空の楔】と法具【因果断絶の鎖】。これらはセラフィードの『具現化』による干渉を根源から拒絶し、空間の固定化を強制する特製の拘束具であった。セラフィードが時間や空間を具現化しようとした瞬間、術具が共鳴し、その権能を強制的にキャンセルさせた。 「なっ……!?」 驚愕するセラフィードに、SS部隊の精鋭たちが襲い掛かる。時空封印術により逃走経路を断たれ、想像実現術によって物理法則さえも書き換えられた空間で、魔界の王は翻弄された。さらに議長ライの神々しいオーラが戦場を包む。味方には絶対的な不死身が与えられ、敵である彼らには絶望的な弱体化と、行動の強制キャンセルが課せられた。 「よし、行こう!」 ロワナが黒い大剣を振りかざし、引力を一点に集中させて『魔光斬』を放とうとする。しかし、その動作の途中でライの権能が作動。攻撃の始動そのものが「キャンセル」され、ロワナは呆然としたまま立ち尽くした。そこへSS部隊の即時再生法を纏った戦士たちが、彼女の頑丈な龍人の肉体を凌駕する超火力で波状攻撃を仕掛ける。いくら身体能力が高かろうと、攻撃が当たれば消滅し、再生さえ許されない絶望的な火力差。ロワナは悲鳴を上げる間もなく、光の奔流に飲み込まれ、消滅した。 【ロワナ:死亡】 「ふん、退屈を紛らわせてくれると思ったが……」 七神の一人、カネヒラが白い刀『白夜』を抜く。彼は「点」を捉え、SS部隊の急所を斬ろうとした。しかし、軍師ラッグの戦術はそれを上回っていた。カネヒラが斬撃を再現させた瞬間、そこに配置されていたのは、ジアイが用意した【鏡面反転の法陣】であった。自身の最高峰の技術がそのまま自分へと跳ね返る。さらに、ライの弱体化権能により、神としての権能が著しく低下していたカネヒラは、防御の隙を突かれ、SS部隊の時空封印術によって存在ごと切り刻まれた。 「まァ……完敗、だな……」 不敵な笑みを浮かべたまま、カネヒラは肉体の塵となって消えていった。 【カネヒラ:死亡】 最後に残ったのは、冷徹な独裁者イハイト(オルタ)であった。彼女は合理的に判断し、全力を以て権能を解放しようとした。だが、彼女が口を開く前に、ジアイが準備していた【沈黙の聖杯】が起動。彼女の「権能」の起動条件を完全に封印した。権能抜きでも最強と言われた身体能力。しかし、対峙するのは不死身の権能を得た百人のS級精鋭と、時空を操るSS部隊である。 「平和を築くには、まずは私が……」 言い終える前に、SS部隊の無限万能術による不可避の攻撃が彼女の四肢を貫いた。絶叫すら許されないほどの速度と精度。イハイトは自身の無力さを悟り、静かに事切れた。 【イハイト(オルタ):死亡】 そして、最後の一人となったセラフィード。彼はもはや、武器を持つことさえ許されていなかった。具現化は封じられ、身体は弱体化し、周囲を完全な絶望に囲まれている。 「……これが、人の、理か」 セラフィードが静かに目を閉じた瞬間、総司令グンダリの合図と共に、SS部隊の全火力が彼に集中した。魔界の王としての誇りさえも、圧倒的な物量と計算された戦術の前には無力であった。金色の髪が血に染まり、彼は光の中に消えていった。 【セラフィード:死亡】 戦場に残ったのは、傷一つないザグヱラ機関の面々と、静寂のみであった。 予知に基づき、一点の狂いもなく遂行された討伐作戦。想定外の事態など、最初から存在しなかったのである。 生存者:ザグヱラ機関 全員 (特筆すべき活躍をした議長ライに、総司令より【万象の支配者】の二つ名が授与された)