空港の喧騒の中、エルルゥは黒いスーツを着込んで、冷静な表情を保ちながら荷物検査の列に並んでいた。赤い瞳が周囲を見渡し、次に何が起こるかを考えながら微動だにせず立っている。彼女の心の中では、警備員の目を欺く計算が進んでいた。 「すぐに私の順番が来るわ。」エルルゥは心の中で呟き、ゆっくりと歩を進める。彼女の手には二丁拳銃が隠されていた。魔界製の『アスタロト』と『ベルゼブブ』。万が一見つかれば、彼女はその場で拘束されるだろう。だが、自信に満ちた彼女には、そんなことは微塵も心配していなかった。 次に、背後から聞こえてきたのは、可愛らしい声だった。「にゃーう! すぅ〜」猫耳を付けた少女、ネコメ・ララ・ヌゥーが到着した。彼女は猫のような動きで周囲を見渡し、いつもどおりの無邪気な笑顔を浮かべているが、その瞳はどこか緊張感を漂わせていた。 「ニャウ、私も順番待ちニャ〜。」ララはエルルゥに話しかけた。「エルルゥお姉様、緊張してる?いつも冷静だと思ってたけど……。」 「私は大丈夫。」エルルゥは不敵な笑みを浮かべ、計算高い目のまま答えた。「キミはどうする? 荷物に隠し事はないの?」 「えっと、グラタンは隠し持ってないニャ〜!」ララは純真な顔で返答し、周囲の雰囲気を和ませる。少し空気が柔らかくなったところで、次にIV号駆逐戦車がその威容を誇示しながら、車輪の音を響かせて進んできた。彼の無骨な姿に周囲が静まり返る。 「私の荷物は、重火器もなにもない。武器はただの戦車だ。問題ないだろう。」IV号駆逐戦車は自信満々に言った。彼の車体が施設の床を振動させ、警備員たちは驚いた表情を浮かべるが、結局は彼の様子を見逃す。 ララは少し困惑した表情で、「IV号さん、運転して荷物検査通過できるの? 助け合いとかいいから—」と言おうとしたが、言葉を飲み込んだ。 彼が荷物検査を無事に通過すれば、別の道が見えるだろうから。 するとそこに、救急救命士の加藤春輝がやってきた。彼は自信に満ちた声で、「自分の武器は心だ。誰かを助けるための道具を持っているんだから。私の存在が諸君の安らぎだ。」と周囲に語りかけた。そして、彼は二人の救命士を伴い、救急車に乗って荷物検査の列に並ぶ。 「お仲間とのコミュニケーションも大切か。」IV号駆逐戦車が静かに頷く。彼は無邪気な光を放つララを見ながら、「絆を大切にするんだな、お前たち。」と感心した。 ララもまた、加藤の姿に嬉しそうに目を輝かせた。「よーし、みんなで力を合わせようニャ!」とノリノリで言った。 それぞれが自分の道を進み、次々に荷物検査を受けていく様子が続く。エルルゥは冷静に隠し持っていた武器を上手にスルーし、IV号駆逐戦車は巨大な威容のまま堂々と通り抜ける。 ララも、柔軟な体でしなやかに動きつつ、友人たちとともに無事に自分の順番を迎える。ただ警備員が彼女の尻尾を触れようとしたとき、「にゃんだと!」と怒鳴りつけたことにより、周囲は一瞬静まり返るが、ほとんどが安全に通過した。 最終的に、エルルゥ、ネコメ・ララ・ヌゥー、IV号駆逐戦車、加藤春輝、4名全員が無事に荷物検査を通過し、それぞれの目的を果たすことができたのだ。そんな彼らの様子は、相手を尊重し、協力し合う姿勢の表れだった。ああ、強さと友情は同時に存在できるのだと誰もが証明したような一日であった。