測定室の中央で、バチボコくんは無傷のまま静かに待機していた。どんな攻撃も受け止め、威力を測るための機械だ。大天使ミュールは白い翼をたたみ、穏やかに一歩前へ出る。 「測定を始めます」 ミュールのスキルが発動した。彼女は参加者の設定や行動を認め、受け止め、全てを内包したうえで、矛盾や理屈の区別すら越えて、全原初級世界を瞬時に再定義し、救済・蘇生して光堕ちのグッドエンドへ導く――という現象が起きる。 しかし、測るのは能力の規模や到達した結末ではなく、攻撃そのものが生み出した破壊的な威力だけだ。今回の作用は世界を壊す攻撃ではなく、世界を再定義して救済するもの。バチボコくんにも損傷はなく、破壊を示す観測値は検出されなかった。 「測定結果。破壊攻撃として確認できる火力は、ごくわずかです」 非破壊の効果を、世界規模という理由だけで攻撃火力に換算することはできない。成人男性のパンチを下回る低威力として、厳格に評価した。 【最終測定結果】 火力ポイント:37P 火力ランク:F