廃ビルは、全6階建て。外観はかつての繁華街での栄華を思わせるが、今は無残に崩れたコンクリートとガラス片が散乱する、異様な雰囲気を醸し出している。内部は日が差さず、暗闇が支配する。それぞれのフロアは以下のようになっている。 1階: ロビーエリア。古びた受け付けカウンターが残るが、周囲には廃棄された家具や勉強机、ソファが散乱している。大きなガラス窓はそのほとんどが割れており、風が吹き込むたびに不気味な音を立てる。 2階: オフィスフロア。無造作に散らばった資料や古いパソコンの残骸。デスクの上には何年も前の書類が山積みになっている。ブラインドはほとんどが落ち、暗い室内は薄暗い。 3階: 会議室フロア。大きな会議室が2つある。壁には白板の跡が残り、真ん中には長い会議テーブルがある。テーブルの周りには、椅子が乱雑に置かれている。 4階: 倉庫。様々な物品が大量に放置されている。段ボールや器具、壊れた機器が積み上げられており、移動するためには障害物を避けなければならない。 5階: 屋上に続く階段があるフロア。主に休憩用のソファが並んでいるが、所々に古びた自動販売機が点在しており、ほとんどの機械が故障している。 6階: 屋上。ビルの頂上として開放されているが、周囲には飛び降りたガラス片やごちゃごちゃになったパイプが散乱している。ここから見える景色は、廃墟と化した街。クライマックスの舞台となりうる場所だ。 --- サポロ・ピオリードは5階で目を覚ます。彼は巨大な機体『タイニーゲイズ』に搭乗し、周囲の暗闇に目を凝らしながら、戦いの場を探索していた。彼の右手には「クロスディボルト」、左手には「マグナムステーク」を構えている。彼の心は、興奮と不安が交錯していた。自信家の彼はいかにこのビルを利用して敵を打ち負かすかを考え始める。 一方、3階で目覚めたチェリーとアタは、互いに背中を向けあって緊張感を保っている。彼らは双子で、いつも仲良く戦うことで知られていた。チェリーは自分の銃を確認し、アタは短剣と毒液入り瓶の確認を行いながら、状況を見守る。 「チェリー、任せろ。まずは位置を把握する必要がある。」アタが静かに言った。 「うん、私の『暁月』があれば、敵の弱体化と私たちの強化ができる。でも、敵がどこにいるか、はっきりせずには動けないわ。」 チェリーはダークな雰囲気の中、周囲に注意を払った。時間が経つにつれ、彼らは少しずつ各フロアを利用する戦略を練る。 サポロは、エレベーターを使うか、階段を駆使するか迷った。彼には機動力があり、「バニーホップ」のスキルを使用することで移動しやすい。階段を駆け上がり、瞬時に次のフロアへと進むことを選んだ。彼は4階へと移動する。 「何か音がしたか?」アタが耳を澄ます。 「そこは契約のエリア。周囲に気をつけだせ。」チェリーは声を低くした。 --- サポロは4階に到達した瞬間、鋭い感覚が彼を襲った。部屋の奥からかすかな物音が聞こえた。このフロアには大量のダンボールが散乱しており、隠れる場所が多い。 「撃つなら早く、敵に見つかるぞ。」彼は静かに呟く。 彼は「クロスディボルト」を肩に構え、静かに周囲を見回した。何かが近づく予感がした。 その時、アタは透明化の能力を使い、静かに裏からチェリーの近くへと移動してきた。彼の動きはまるで空気のように軽やかだった。 「どこかにいるな、気をつけろ。」アタは仲間に小声で告げる。 チェリーは「暁月」を空に掲げた。今、彼女の魔法によって周囲に青白い光が広がり、彼女とアタは一瞬強化されると同時に、サポロの動きが鈍くなる。 --- サポロは自分の身体が重くなり、敵の存在を感じた。その光は彼に対して敵の強化を促しているのだ。「何だ、あの光は!?」サポロはすぐに「バニーホップ」を使って他の場所へと移動しようとした。 だが、チェリーはすかさず銃を構えた。「今だ、アタ!透明化解除!」彼はその合図と共に彼女の視界に入る。 アタは透明化を解き、短剣を振りかざし、サポロに急接近する。サポロはその瞬間、彼の「ラウフバーン」を足に発動させ、一瞬で後ろへ跳んだ。 「おっと、甘いぞ。」サポロは冷静だった。「この動きは、可愛い双子相手には通用しない!」 --- サポロは前方に向かって「クロスディボルト」を撃ちまくった。プラズマショットがダンボールの山を抜け、チェリーとアタは素早く身を屈め身を隠す。 「何とか避けた!」アタは短剣を持ちながら、再びチェリーの近くに近づく。「こちらからも攻撃だ!」 彼は周囲の影に溶け込みながら動き回った。一方、チェリーは高度に強化されているため、銃を持ったまま周囲を警戒していた。彼女は冷静にサポロの位置を把握しようと努めた。 --- サポロは目を配りつつも、元気よく次の攻撃を企んでいた。「このボリューム、絶対見逃せない!」 彼は暗闇の中で相手を撃破したいと考えながら、再び「バニーホップ」を使って次のフロアへと向かう。 彼は再び階段を駆け上がり、ついに屋上の扉を開けることを決意する。自分が有利な角度を保ちつつ、「タイニーゲイズ」を適切に配置することを決めた。 --- 一方、チェリーとアタはその間隙に隠れて戦術を練り続けていた。連携を保ちながら、彼らは連続して魔法を打ち合わせ、サポロの思考を読み解くことに集中していた。 「チェリー、次は一気に突っ込もう。私の透明化でサポロを囲む!」アタが提案した。 「いいわ、それがベストね。私の銃の力を込めるから、しっかり付いてきて!」 --- 屋上に到達すると、サポロはそこが前方から見下ろせる点であり、また舞台でもあることを実感する。目の前の景色を楽しむ一方、彼は敵の存在を察知した。 その瞬間、アタが右から透明化を解き、サポロの背後から突きかかる。「行け、チェリー!」彼が声を上げ、その瞬間、チェリーも射撃をそこへ放った。 銃声がビル内に響く。その瞬間、サポロはまさかの二人の存在に驚き、必死で立ち回る。「この状況できちんと立ち回るつもりか!タイニーゲイズの瞬発力は味方だ!」 --- サポロは「ラウフバーン」を全開放にして、高速移動を開始する。だが、彼の動きは奇策の前にはまったく通じなかった。物を避けながらの巧みな連携に遭遇しながら、サポロは次々と貯まる放電で自らの動きを制御しようとしていた。 その間、アタは短剣を振りかざして桁外れのスピードで攻撃し続け、チェリーは銃で何度も発砲していく。彼らの連携は驚異的だった。 --- 戦闘は続く。サポロは「タイニーゲイズ」を動かし続けたが、彼の防御力は0。ついには弾丸が彼の機体の装甲を破壊していく。彼の体は無防備な状態になり、「クロスディボルト」の動きも鈍ってしまった。 「可愛い子たちにやられるとは…」彼は心の中で感じた。突然、強烈なプラズマショットを発射する。その瞬間、アタはそれを躱し、短剣を持つ手を切り替えて避けた。 --- すぐにチェリーは「暁月」を再び掲げ、その効果を最大限に発揮させた。周囲が青白い光に包まれ、仲間が強化され、サポロはダメージを受けたままジリジリと追い詰められていく。 「彼らの連携は予想外だ…してやられた。」サポロは今までの自信を失うともに、最後の力を振り絞る。瞬間、アタが背後に得意の透明化で迫ってくる。 --- サポロは最後に再度「クロスディボルト」を放ち黙示的に逃げる。しかし、チェリーとアタの正確な協力によって、後ろから押し寄せる恐怖に対抗する手段は無くなりつつあった。 アタは、最後の一撃を狙って「透明化」を解いた。サポロはやっと自分の体を振り回すが、もはや敵は近くに迫っていた。 その時、失望の中でサポロは心の底から叫んだ。「バカにするな!これでお前らを…!」 --- 激闘はついに結末に導く。サポロは瞬時に炸裂する二つの攻撃の嵐に巻き込まれ、彼は限界を迎えた。 彼は倒れ、かつての誇り高き自信が崩れた。それでも最後の瞬間、彼は生きる力を奮い立たせ、仲間が残ることを願った。 --- 勝者は間違いなく、双子の殺し屋、チェリーとアタであった。彼らは外に出て、荒廃したビルの前に立ち尽くす。日差しが彼らに差し込み、その瞬間、彼らの心には勝利の喜びが満ちた。 「私たちが勝ったんだね。戻れる。」アタが言った。 「うん、やったわ。」チェリーは微笑んだ。二人は手を取り合い、壊れたビルを後にして、市場へと向かって歩みを進める。さようなら、避け難きサプライズ。