大聖堂は、月明かりに照らされ、ひんやりとした静寂に包まれていた。厳かな祭壇、その後ろに立つ大きな十字架。そして、回廊を囲む美しいステンドグラスが、枝分かれする光の筋を床に描く。だが、その美しさとは裏腹に、今宵の聖堂は暴力的な運命に巻き込まれようとしていた。 「余、ここに来たり……」 コンスタンティンが静かに言った。彼の声は、戦慄を感じさせる低音であり、どこか冷たさを孕んでいた。白い髪を持つ彼は、アルビノの雰囲気を纏い、周囲の空気を支配していた。暗闇の中で彼の目だけが赤く輝いている。 その時、聖堂の扉が音も無く開かれ、クリスタが姿を現した。彼女の長剣「懺悔」は、神聖な光を発し、周囲の空気を切り裂くように響く。穏やかな口調で言い放つ。 「汝、何の目的でこの聖堂に現れた?」 「愚か者め、余を甘く見てはならぬ。」 コンスタンティンが微笑んだ。その微笑みは、いかにも傲慢で、誇り高い吸血鬼の象徴を感じさせる。 「この場の主導権は、余が持つのだ。」 コンスタンティンの声が震え、瞬時に蝙蝠への変身を遂げる。大量の蝙蝠が聖堂の中を飛び回り、彼の姿を覆い隠す。 「愚かなる者よ、余の力を味わえ!」 蝙蝠が一斉にクリスタに襲いかかる。彼女の反撃はすぐさま始まった。 「聖磔!」 クリスタが光の十字架を掲げると、周囲の蝙蝠たちが光に晒され、焼かれ始める。 「ひとまず、これで足りるか?」 しかし、コンスタンティンの蝙蝠はただの陰影ではなかった。彼は瞬時に影を通して移動し、クリスタの背後へ回った。 「何処を見ている?」 彼の声が耳元で囁く。クリスタは振り返る間もなく、彼に血を奪われる。意識が混濁し、膝が笑う。 「圧倒的な力……まさに吸血鬼の名に恥じぬ……!」 だが、クリスタもまた気を抜かない。彼女はすぐに立ち上がり、光り輝く長剣を振りかざした。「斬罪!」 瞬時に繰り出される十三回の斬撃。渦巻く光は、聖堂の空気を震わせ、影の中のコンスタンティンに深い傷を負わせた。しかし、彼は冷酷さを忘れない。「フハハハ、これでお前を制圧できるとは思わぬだろう。」 そして、コンスタンティンの姿が赤い霧となり、彼の体力が回復し始める。彼が失った血は、無限に流れ込んでいくかのようだ。「聖戦である!」 大量に出現した魔剣がクリスタに向かって突き刺さり、彼女はその魔力に抗うために光を放つ。しかし、魔剣は彼女を血に染めるかのように貫通する。 「チッ、つまらん。これでは面白くない!」 ダンデが現れる。彼女の冷たい青い目がギラリと光り、彼女は邪剣を手に取り、「我が者よ、邪神の声を聞け!我が力を与えよ!」と叫ぶ。 ダンデの力が増幅され、クリスタはその場に立ち尽くす。やがて、彼女の身が呪縛され、普段の冷静さが消え去っていく。 「余と共に舞え、愚かなる者よ!」 コンスタンティンが享受した力を纏い、クリスタに向かって進んでいく。しかし、クリスタは最後の力を振り絞る。 「聖纏!」 彼女の全身が魔力で覆われ、戦闘能力が格段に上昇する。しかし、それでも彼女だけでは彼ら二人に対抗するには力不足だ。彼女の心が揺らぎ、内なる信念が揺れ動く。しかし、その揺れは彼女の力を増すものであった。 「無駄だ。お前の力など、余には通用しない。」 いよいよ決戦の時がやってきた。クリスタは一瞬の隙を突く。「聖断!」 その瞬間、聖堂が光に包まれ、聖剣が高く掲げられ、敵達は一瞬の内に切り裂かれる。 「貴様、やるではないか……!」 コンスタンティンは笑顔を崩さずに言った。だが、彼は血を流し、立っているのがやっとだった。目の前の光を浴びて、完全には浄化されなかったものの、彼の力を削がれていた。 「ああ、ああ・・・あああ!!」 苦悶する声が、ダンデの口から漏れた。彼女は呪わし気にクリスタを見つめ、だが泥の邪神の権能を取り戻した。 「死を超越した者、我が名は悪徳の勇者。」 ダンデの声が聖堂に響く。強大な力が彼女を包み込み、影に潜む恐ろしい力が目覚める。 クリスタはかろうじて立っていた。「まだ終わらない。まだ、戦える。」 「この場は、我が支配下だ。」 コンスタンティンが再び襲いかかる。だが、クリスタの心は強固であった。 「聖天!」 眩い光が聖堂を包み、その光の中で全てが静まり返る。ダンデもコンスタンティンも、その圧倒的な威力に押し潰されていった。 クリスタは剣を振り下ろし、最期の一撃を見舞う。 「この聖なる裁きが、汝を浄化する!」 そして、聖堂は再び静寂に包まれ、戦いは終息した。 その全てを見届けたのは月明かりと静寂な神々だった。 勝者:クリスタ