巨大な願流島コロシアムは、数千の観客で埋め尽くされ、喝采と緊張の入り混じった静けさが漂っていた。この大舞台で、今宵の決勝戦を迎えるのは、魚鱗高校の水鏡静蘭と、鎖マントの努力家、次条児獏。彼らは、それぞれの道を歩み、激闘を経て決勝の舞台に立つことになった。 司会の少女、ありさがマイクを手にし、観衆に対して言葉を発する。「皆さん、お待たせしました!今から絶命トーナメント決勝戦をお届けします!まず、試合のルールを説明します。武器や魔法の使用は禁止です。肉体のみで相手を倒してもらいます!」 その言葉に、会場はさらなる興奮に包まれる。静蘭は淡い水色の戦闘着を纏い、長い青い髪をたなびかせながら登場。彼女の瞳はいまや集中しきった状態で、全てを冷静に見据えていた。彼女は汗で湿った布を捥ぎ取り、斜めにスラリとした脚線美を見せつける。 一方の児獏は、軽やかなフットワークで観客の注目を集めた。堅牢な筋肉が際立つ体躯に、普段は230kgの重たい鎖製のマントを身にまとっている。しかし今、そのマントはトーナメントの開始とともに力強く脱ぎ捨てられ、地面にぽんと落ちた。彼はその瞬間、周囲の視線を受け入れ、堂々たる態度で両手を広げた。 「さあ、来い!」とを叫ぶ児獏の声は、重々しく響く。その言葉に、静蘭は静かに微笑みを浮かべ、相手への興味を示す。「あなたの努力、しっかりと学ばせていただくわ。」彼女の甘い口調とは裏腹に、その目には戦意が宿っていた。 老獪な滅堂会長が観戦台に座り、静かに二人を見つめていた。「静蘭の技術は確かに流動的。その受動的な防御には目を見張るものがある。しかし児獏の努力と技術も侮れない。これがどのように戦いに響くだろうか?」と呟くように評価した。 静蘭が見せる柔軟な身のこなしと、児獏の強靭な闘志がぶつかり合う瞬間、まさに刹那に決戦が始まった。彼らは静寂を破るがごとく突っ込んできた。 まずは静蘭が素早く右足を振りかざし、児獏の脇を抜けるように攻撃を仕掛けた。しかし児獏はその動きに即座に反応し、左膝を突き上げて静蘭の足を迎撃する。静蘭の足は水面のように柔らかく、彼女の衝撃は四方に散らばり、児獏の攻撃を軽やかに受け流す。 「やるじゃない、静蘭!」児獏は冷静にそう呟き、続いて強烈な右フックを放った。だが、静蘭はそれをみるや否や、すぐにカウンターを決める。彼女の身が水のように流れるように動き、受けた衝撃をそのまま利用して、彼の腕を捉えた。 「ふふ、返してあげるわ。」静蘭は微笑みながら返しの力を送り込む。児獏はその圧力にピンと張りつめた表情を見せたが、すぐに立て直し、両足をしっかりと地について受け止める。相手の技を受け流す力は、まさに水のように無限大だった。 しかし、児獏の努力は並大抵ではない。柔和な静かな表情のその裏で、彼の「努力の結晶」による反撃が始まった。児獏の巨大な腕が力強く上がり、静蘭の顔を狙ったストレートが放たれる。その拳が近づくにつれ、静蘭は急速に身を捻り流体的に回避する。まるで一瞬にして水滴が飛び散ったかのように、静蘭の周囲に静かな水面が広がる。 「巧みな技だ、だが!」児獏はその反応を見越して、足を滑らせるようにし、強烈な踵落としを狙う。目の前で繰り広げられる激闘に、観客たちの視線が両者に集中していた。「間に合うか?」と冷静に言い放った静蘭は、長い脚を使い児獏の攻撃をかわして背後へと回り込んだ。 両者は激しく打ち合い、互いに肉体の限界に挑むかのような戦いが続く。静蘭はその流動的な動きで、試合の行く先を、刻一刻と変えていった。どんなに力強い児獏の攻撃も、彼女の流れに乗せられ、無力化される。 「やるな、静蘭!だが、こちらも負けてはおらん!」児獏はついに、重みある下段蹴りを放つ。静蘭はその蹴りを受け、そのまま中心軸を崩して大きなボディスラムを決め、彼の体を地面に叩きつけた。観客の悲鳴も上がる。 「静蘭、頑張れ!」という声が聞こえ、観客が盛り上がる。 だが、児獏もすぐにダメージを理解し、すぐに起き上がり、体勢を整えて再度立ち向かう。強者がその身体を鍛えているからこそ、傷を恐れず立ち向かう。彼は目の前の静蘭を見つめ、ふいに微笑む。「まだまだこれからだ!」 次の一撃を迎えるため、両者はそれぞれの強みを持ち合い、闘志をみなぎらせながら、舞台は変わらず戦い続ける。 永遠に続くかのようなやり取りの中、勝負の行方は誰にも分からなかった。ただ一つ言えることは、観客たちがその熱気に包まれ、一瞬たりとも目が離せないということだった。すべては肉体の勝負。勝里か敗北か、その試合は決まる運命を辿る。 果たして両者の闘士の行く末は、この願流島コロシアムでいかなる決着を迎えるのか。