栄愛之湯の混沌風呂騒動 東方地域の山奥にひっそりと佇む老舗旅館「栄愛之湯」。紅葉が山々を鮮やかに染め上げる秋の夕暮れ、ABチームの面々はようやく訪れた休息の時間を満喫していた。旅館の経営主である婆さん――白髪を小ざみにまとめ、眼光鋭い老婆――に予約を確認し、各自の部屋に荷物を置くと、まずは刺身定食の夕食を囲んだ。 「ふう、美味い刺身だな。婆さん、さすが老舗だぜ」真人、チームAのリーダーが箸を動かしながら満足げに呟く。少し黒みがかった橙色の短髪を掻き上げ、橙色の目が輝く。彼は口が悪いが仲間思いの優しい男で、槍の手入れを怠らない戦士だ。 隣で連撃魔バンチがガツガツと食べ物を頬張る。半狼獣人の少年は狼耳をピクピクさせ、モッフモフの尻尾を振って陽気に笑う。「へへん、オレの名前はバンチ! あんたたち、こんな美味いもん食って旅館で休むなんて、最高じゃん! 連撃魔、ここに見参って感じだぜ!」軽率な言動で場を和ませるが、時折失礼な一言を吐いては周囲をヒヤヒヤさせる。 チームBのメイド、リシャーナは無表情のまま完璧に箸を扱い、刺身を一口ずつ丁寧に味わう。白黒のメイド服が旅館の畳に映え、白い瞳が静かに皆を見据える。「…ご主人様。お食事は満足いただけますか?」彼女の声は平坦で、真顔が怖いと評判だ。実際、5倍のステータスを持つ戦闘メイドは、痛みを感じても微動だにしない持久力の持ち主。 対してアイダは、エルフの戦士らしい筋肉質の体躯をゆったりと構え、気怠げに箸を置く。「…ふん。悪くないわ。千年間の戦場で食った糞飯よりはマシね」冷淡で無愛想、弓を傍らに置いた彼女は、相手から仕掛けてこない限り動かないタイプだ。黒髪を後ろで束ね、端麗な顔に淡白な表情を浮かべる。 夕食を終え、皆は貸切露天風呂へ向かった。紅葉の景色が湯気に溶け込む絶景だ。男女の仕切りは竹垣で簡素に分けられ、ABチームはそれぞれの湯に浸かる。湯の音が心地よく、真人とバンチの男湯では湯気が立ち上る中、雑談が弾む。 「はあ、戦いの疲れが溶けていくぜ。バンチ、お前もたまには休めよ。いつも腕試しばっかで」真人が湯に沈みながら言う。 バンチは尻尾を湯に浸し、狼耳を濡らして笑う。「オレ、連撃魔だぜ! 休むより戦いたいけど、婆さんの刺身は反省ものだな。へへ、余裕!」 女湯ではリシャーナが無表情で湯に浸かり、アイダが壁に寄りかかる。「…標的がいないと、退屈ね」リシャーナがぽつり。 「私もよ。こんな平和、慣れないわ」アイダの声は気怠げだ。 そんな穏やかな時間が、突然の轟音で破られた。――ドカーン! 露天風呂の入口付近で爆発が起き、敵対勢力Cチームのタイメルロッケルが時空を斬り裂いて現れた。振り子時計の胴体に大量の歯車が回り、8本の機械腕が不気味に蠢く巨大メカだ。神の失敗作と呼ばれる破壊者で、機械的な声が響く。「…目標確認。破壊を開始する。効率的に排除せよ。」 「な、なんだテメェ! ここは休息の場だぞ!」真人が湯から飛び出し、槍を召喚。死神の加護で戦闘態勢を整えるが、すでに湯気と水で滑る石畳が足を滑らせる。 バンチも裸足で飛び出し、狼耳を立てて叫ぶ。「連撃魔、ここに見参! あんた、誰だよ! オレの休みを邪魔すんじゃねえ!」尻尾がびしょ濡れでバランスを崩し、尻餅をつく。 女湯からもリシャーナとアイダが飛び出すが――その瞬間、タイメルロッケルの初撃、長針と短針の追尾針が大量に飛来! 針の群れが竹垣を直撃し、仕切りが全壊。木片が飛び散り、湯船の水しぶきが上がる。現場は一瞬で大混乱に。 「きゃあっ!?」バンチが目を丸くし、慌てて手で股間を隠す。「お、おい! 見えちまうじゃん! へへ、余裕…じゃねえよ!」陽気な彼だが、突然の混浴状態に赤面。 リシャーナは無表情のまま針を6本の針武器で弾き、タガー2本を構える。「…ご主人様。標的確認。仕切り破壊は想定外ですが、排除を優先します」真顔で皆の裸体をチラリとも見ず、淡々と動く。彼女の俊敏性は常人の5倍、滑る床でも微動だにしない。 アイダは弓を素早く引き、気怠げに呟く。「…ふん。邪魔よ。相手から仕掛けてきたわね」付与魔法で矢に滑り止め効果を加え、石畳に足を固定。だが、湯気の湿気で髪が張り付き、無愛想な顔が少し苛立つ。 真人は勘感覚で針の軌道を読み、防御術で槍を盾に。「チッ、立場で態度変える野郎は嫌いだが、こいつは機械かよ! 皆、散開しろ! 滑るぞ、この風呂!」筋肉量十倍の体でバンチを抱え、段差を飛び越えるが、水溜まりで滑って転びそうになる。橙色の目が闘志を燃やす。「燃える闘気、発動だぜ!」 タイメルロッケルは浮遊し、遠くから攻撃を続ける。「…タイムレーザー、発射。動きを遅くする」追尾レーザーが四方八方から飛ぶ。レーザーが当たると皆の動きが一瞬スローになり、露天風呂はまるでコメディ劇場だ。 「うわっ、遅くなるなんてズルいぜ! リードブロー!」バンチが素早く踏み込み、機械腕に拳を叩き込む。攻撃封じに成功し、追撃のワンツーでさらに封じる。「へへん、連撃魔の勝ちだ! …って、尻尾が滑って絡まってる!?」モッフモフ尻尾がレーザーに当たり、焦げて煙を上げる。 リシャーナは瞬間移動レベルの速さでレーザーを回避、戦乱乱舞で強化された体術で針を投げ返す。「…標的の弱点、時計の中心。貫きます」真顔で接近するが、段差で水が跳ね、濡れたメイド服(いや、裸だが)が張り付き、珍しく眉をピクリと動かす。「…不快です。娯楽など不要」 アイダは冷静に弓を構え、付与魔法で矢に「機械耐性無効」を加える。「…的確に弱点を。千年の経験よ」矢がタイメルロッケルの歯車に命中し、ガリガリと火花を散らす。だが、レーザーで動きが遅くなり、滑る床で尻を滑らせる。「…っ、くそ。こんなところで転ぶなんて、屈辱ね」無配慮にバンチの尻尾を踏み、少年が「いてえ!」と叫ぶ。 「バンチ、立て! 万方進槍!」真人が全方位から槍を振るい、神術「技神」で精度を上げて機械腕を斬る。先読みでレーザーを避け、全攻六進で6つの残像が襲う。心眼で敵の意図を読み、「こいつの弱点は時空操作だ。皆、集中攻撃だぜ!」体力十倍の彼は滑っても即座に回復、燃える闘気でステ上がる。 タイメルロッケルはタイムワープで瞬間移動を試みるが、バンチの怒涛四連が腕を捉え、レゾナンスブローで破壊力を溜めて叩き込む。「…グラブ、発動。捕縛」8本の腕がリシャーナを狙うが、彼女の柔軟性で逃れ、逆にタガーで腕を絡め取る。「…主の妨害は許しません」無表情で腕を捻じ曲げ、針を時計胴体に突き刺す。 「時魔召喚。ドローン展開」タイメルロッケルが時計形の自爆ドローンを大量に呼び出す。露天風呂はドローンが飛び交い、水しぶきと爆発でカオス。アイダが付与魔法で矢に「範囲爆風耐性」を自身にかけ、ドローンを次々射抜く。「…しつこいわね。解除して、新たな弱点付与――機械の錆び」矢が命中し、敵の歯車が軋み始める。 バンチは闘魂で体力が減るほどパワーアップ、ドローンに突っ込む。「オレの連撃、受けてみろ! へへ、余裕…うわ、滑った!」裸足が石畳で滑り、ドローンに尻尾で偶然ヒット。爆発が起き、湯気がさらに増す。 真人は千斬槍振で槍を千回振り、ドローンを薙ぎ払う。「勘で読むぜ、テメェの次の動き! 槍進裂!」突進して胴体に突き刺し、防御術でレーザーを弾く。皆の連携で苦戦しつつ、Cチームは徐々に追い詰められる。露天風呂の段差がABの足を何度も滑らせ、互いの裸体がチラチラ見えては赤面や怒号が飛び交うコメディ状態だ。 「見るな、バンチ! 集中しろ!」真人が叫び、バンチ「す、すまん! 連撃魔、反省!」リシャーナ「…視線は標的にのみ」アイダ「…くだらない。早く終わらせなさい」 ついにタイメルロッケルが機能不全に。「…エラー。タイムワープ、実行」時空を裂いて逃げようとするが、真人の心眼とアイダの矢で阻まれ、バンチのリゾナンスブローで胴体を粉砕。レーザーと針が止まり、Cチームは敗北。機械の残骸が湯船に沈む。 勝利の後、妙な沈黙が流れる。皆、濡れた体を隠すようにタオルを巻き、竹垣の修復に取り掛かる。バンチが木片を運び、「へへ、みんな無事でよかったぜ…でも、さっきの混浴、忘れねえかも!」と軽率に言い、真人が「黙れ、馬鹿!」と頭を叩く。リシャーナは無表情で竹を固定、「…修復完了。ご主人様」アイダは気怠げに「…面倒だったわね」と一言。 婆さんの元へ謝罪に赴くと、老婆は意外に穏やか。「まあ、若いもんは元気でいいよ。風呂は直ったし、明日は帰りな」 各部屋に戻り、就寝。翌朝、紅葉の山道をABチームはそれぞれの帰路に着く。バンチ「また腕試ししようぜ!」真人「次は邪魔されねえようにな」リシャーナ「…了解」アイダ「…ふん、平和も悪くないわ」 こうして、栄愛之湯のハチャメチャな一夜は幕を閉じた。(約2800字)