人々が見守る中、光の勇者レイと憎狼鬼ウルファスが対峙した。晴れ渡る青空の下、栄光の瞬間を迎えた二人の英雄。しかし、その心にはそれぞれ異なる思惑が渦巻いていた。 「さあ、始めようか。レイだっけ？お前なんか、オレに勝てるとは思えねぇな。」ウルファスが鋭い目つきをして挑発的に言った。彼の目は怒りと憎しみで満ちていた。 「暴力で解決するのは良くない。お前の心の中の憎しみを理解したい。戦って、少しでもわかり合えれば…。」レイは優しい表情を崩さずに答えた。 「ッハァ、わかり合う？冗談じゃねぇ！お前の目には敵を倒す覚悟が感じられない。オレには全てを打ち砕く力がある。さあ、かかってこい！」 ウルファスは、いきなりその紅月の刃を振りかざし突撃していった。レイは瞬間移動のスキル「ファストムーヴ」を使い、ウルファスの横を一瞬で通り抜けた。 「何だと！」ウルファスは驚いた表情で振り向くと、レイの背中に衝撃波がかかるのを見た。「くっ、くそッ！」 そのままレイは聖剣を構え、光属性を纏いながらウルファスへ一閃した。「光の力を感じるか？」ゴゴゴという音が鳴り、ウルファスは後ろに吹っ飛ばされる。だが、彼はすぐに持ち直し、レイを睨みつけた。 「オレは引かねぇぞ！赤月の刃、行くぞ！」ウルファスは目を血走らせながら、レイの肩を狙って斬りかかった。だが、レイは優れた反射神経でその攻撃をかわし、さらに跳躍し、「プロミネンスブレイド！」 周囲全体が光に包まれる。光属性の力を帯びた剣がウルファスに向かって放たれた。しかし、ウルファスはその威力にも怯むことなく彼の呪文、「樹海の呪い」を発動させた。眼前に敵が近づくほど、彼の体から邪悪な気が立ち上る。 「ああああああ！」ウルファスが雄叫びを上げると、レイの視界が歪んでいく。 「な、何だこれは…！」レイは恐怖と錯乱の中で、思わず思考を停止させそうになった。しかし、彼の心には「神聖なる加護」が宿っていた。レイの内面から光が煌めき、錯乱から彼を解き放つ。その瞬間、コミカルな声が響いた。 「やめなさい、ウルファス。戦いは憎しみの連鎖を生むだけね。」頭に魚を載せたアニマル・マスターDが仲裁に入った。 「は、何だお前は？」ウルファスが驚きの声をあげる。 「ただの猫だよ。でもその頭の上の魚は、あなたに一言言いたい。」 「うるせぇ！オレは猫なんかに負けるつもりはねぇ。」ウルファスが苛立ちながら否定し、再度レイに向き合った。 「お前のしたいことを思い出せ、自分の力だけを頼りにするのは間違いだ。たとえどんなに強くとも、自分だけではすべてを打ち破れないことを。」マスターDは見守る観客へ目を向けた。 観客からはレイへの応援の声が聞こえ、彼はその声に背中を押されて進み出た。「何があっても、仲間のため、正義のために戦う。オレの使命は終わらせない！」 ウルファスも少し確信を持ち直した。再び向かい合い、各々戦う心を持ち直した二人が刀を交えた。戦闘が五分と振り出しに戻される。 お互いに身のこなしを見せ合い、刻々と状況が動く。攻防が続く中、ウルファスが音速の斬撃「紅月の牙」を繰り出し、一瞬でレイの脇腹に切りかかるが、レイは死んでも一度生き返る神聖な力を発揮した。いつしか寿命も尽きかけて、彼自身も含まれた力はさらに倍増する。 「今は逃げられない！神聖な加護！」レイは静かに立ち上がると、青緑の眼に光る決意を宿し、ウルファスに強烈な一撃を放った。 「ああああ！」ウルファスが苦痛の声を上げ、後ろに飛ばされる。彼が立ち上がる最中、レイはそのまま太陽の光を身体中に込め、全てを断ち切る「プロミネンスブレイド」へと繋がった。満ちる光の波動とともにウルファスの全身が光で照らされ、立ち尽くす。 「もう、やめてくれ…」ウルファスは彼が憎んでいた人間にとって大切な光を見た瞬間、力が抜けていった。 「オレはダメだ…」 最後の力を振り絞ろうとするも、その心の暗闇が光に飲まれていった。 「ウルファス、何人も救えない力には勝てない。わかってくれ…。」レイが言い残し、力強く一撃を振り下ろし、ウルファスを倒した。 結果として、光の勇者は勝利を手にした。「…ウルファスにはまだ救いがある。オレの使命を果たすためにも。」レイはウルファスの亡骸を見つめ、謝罪の気持ちを込めて呟いた。 マスターDがやれやれと苦笑しながら、戦いを裁定する言葉を発した。「勝者、光の勇者レイ！」 周囲の人々は歓声を上げる。しかしレイは相手に手を合わせ、一瞬の静けさを得たことで、彼もまた新たなる決意に繋がるものを感じた。それぞれ心に抱えたものが多く、光と闇の戦いのガザリバンが今一度、次元の始まりを示していた。