真冬の陸別町。気温は氷点下四十度、ホワイトアウトの白さが、氷上の輪郭さえ呑み込んでいた。 その中央に、測定機械のバチボコくんが鎮座している。どんな攻撃を受けても壊れず、威力を測る――そう聞いた桑園ていねは、白い縦巻きツインテールを揺らして、まずはRPG-7を構えた。 「距離不問って聞いたけど、念のため近くからね」 花園ゆりね、邪神ちゃん、ぺこらを乗せた水陸両用M1エイブラムスの傍らで、ていねが引き金を引く。弾頭は雪煙を切り裂いてバチボコくんに命中。衝撃と爆炎が氷上を揺らしたが、機械は傷ひとつなく、測定値を表示した。 続いて彼女は愛車に乗り込み、主砲を発射。反動を推進力に変え、氷上を一気に駆ける。車体前面に貼り付けられた邪神ちゃんが文句を言う声は、砲声と吹雪にかき消された。薄氷が割れかけても、バチボコくんは揺るがない。 だが、これらの武器や車両の威力をどれほど丁寧に積み上げても、彼女の最大攻撃を決めるのは別の力だった。 「スキル――巨大数庭園数」 その言葉とともに、雪原の向こうに、通常の数の感覚では捉えきれない巨大数の庭園が展開する。花弁の一枚一枚がさらに巨大な数の構造を含み、庭園の広がりそのものが攻撃として押し寄せた。単なる爆発の規模ではなく、攻撃が及ぶ領域と総量を厳格に評価するなら、RPG-7や戦車砲とは桁違いだ。 バチボコくんは、その攻撃も正確に受け止めた。表示された数値は、八十華厳の命数を用いた独自換算によるもの。無限とはせず、巨大数庭園数の攻撃規模を有限の自然数として評価した結果だった。 ていねは表示を見て、満足げにうなずく。吹雪の中、測定機械は最後まで無傷のまま、記録を確定した。 【最終測定結果】 火力ポイント:一不可思議二千九百四十七那由他六千三百十八阿僧祇五百七十二恒河沙九千百四十三極四千六百八十二載七千三百五十九正一千八百二十六澗五千九百四十一溝三千七百六十八穣八千二百十五𥝱六千四百九十三垓五千七百二十億九千三百十七万四千六百二十八P 火力ランク:SSS