大勝利ちゃんは、ふわふわの髪を揺らしながら村の広場に立っていた。周りの村人たちは、目に見えない何かに怯えた様子で、まるで生きた影のように縮こまっている。村は静まり返り、ただ一人、シュヒタンという名の魔族の少女が、その微笑みを輝かせていた。 「お兄ちゃん、あの子、私を待ってるのかな?」大勝利ちゃんは小さな手を振りながら、シュヒタンを指さした。彼女の衣装は奇妙で、まるで潮風に揺れる水着のようだったが、そこに潜む暗い影を感じ取ることはできた。村人たちが呪われているという噂が、彼女の心に小さな不安をもたらしていた。 「ほーら、お兄ちゃんたち、あの子に勝利を贈ってあげなきゃいけないのよ!」 彼女の頭の中にあったのは、いつものように「大勝利」をもたらすことだった。 大勝利ちゃんは、自らの心で試みる。相手が持つ「羞恥の呪い」が、どのようなものであり、自分にどんな影響を与えるのかを考え始めた。「あの子、普通の子じゃないみたい…でも、でも、あたしは大勝利ちゃんだから、みんなを幸せにするのが使命なんだもん!」 シュヒタンの方から彼女を見つめてくる。大勝利ちゃんは無邪気に微笑みを返し、気持ちを落ち着かせようとした。だが、シュヒタンの目は何も感じない無表情のまま、ただこちらを観察しているだけだった。この不気味さが、心の奥に小さな恐れを呼び起こした。 「どんな気分ですか?」シュヒタンの声が、優しげでありながらも心の奥をざわつかせる。大勝利ちゃんは、自分の心の声がますます大きくなるのを感じた。「あは♪」と耳に残るその響きは、まるで悪戯っぽい妖精のようだった。 大勝利ちゃんはその言葉の意味を考えながら、シュヒタンの持つ呪いがどんなものかを想像した。高まる恐れに押しつぶされそうになる。 「いやいや!あたしは大勝利を与えるんだから!」彼女は心の声で自分に言い聞かせる。もし気持ちに屈したら、シュヒタンに勝てないのだ。 「お兄ちゃんたち、恥ずかしがってたらダメよ!」彼女は声を張り上げて、シュヒタンに意志を見せつけた。しかし、心の奥では不安が広がっていた。呪いが彼女の内側に忍び寄ってくる感覚がした。 シュヒタンは、微笑みのまま、彼女の周囲の村人たちに視線を向ける。村人たちは恥じらいの感情にさいなまれ、顔を赤らめていた。それはまさに“生き恥”と呼ばれる状態で、彼らの心の中を次第に侵食していく。 「ほーら、恥ずかしい気持ちがどんどん増えていくわよね?」シュヒタンは楽しげに言う。大勝利ちゃんはその声に反応した。 「混乱するのは拙いよ!あたしは恥ずかしいを感じないんだから、みんなを助けるためにここにいるのよ!」しかし、その言葉とは裏腹に、心は不安でいっぱいだった。シュヒタンの力は確実に精神に対して影響を与えていた。 彼女の内心の葛藤は膨らみ、次第に村人たちの気持ちが混ざり合って、うねるような恐れと羞恥心が大勝利ちゃんに向かい始めた。「あたしも、あの子に呪われちゃうのかな…」心の中で小さく呟く。そして、彼女の行動が一つ一つ、恥と思うことへと変わっていくさまが彼女自身の目に映り始めていた。 「恥ずかしい…でも、でも、私は大勝利を届けるんだもん!」自らを励ましながら、心の中の混沌を打破しようとする。 シュヒタンは、そんな彼女をじっと見つめて、無言のまま微笑み続ける。大勝利ちゃんはいつの間にか、シュヒタンに心の奥を見透かされているように感じた。心の中がさらけ出される感覚。これこそ、彼女の持つ呪いの影響なのか? 「動かしちゃいけないの!モヤモヤしてお兄ちゃんたちを助けてあげるの!」彼女は心の中で判断し、その呪いに屈してなるものかと決意を固めた。「大勝利ちゃんは大勝利ちゃんなんだから、誰にも負けないんだから!」意志を持って、シュヒタンを見返す。 その瞬間、大勝利ちゃんの心の中から、真っ直ぐな光が溢れ出してくる。「たぶん、私、一番大勝利してる!みんなとも仲間なの!」 心に秘めた強い気持ちが、彼女を助けてくれる。シュヒタンの呪いをかき消すような自信が漲る。 「大勝利を贈ってあげるから、みんな踊って!」彼女は大声で叫んだ。シュヒタンの心の呪いに逆らうように、その場にいる村人たちを意識した。踊るように動くと、村人たちもその動きに少しずつ呼応してくる。 「生き恥だなんて思わないで!大勝利が待っているんだから!」大勝利ちゃんは、自らを鼓舞し続けた。恥じらいなんて無関係、彼女にとっては唯一無二の勝利が待っているのだ。村人たちも少しずつ動き出し、恥じらいを忘れようと模索する。 「ほーら、わんわんって犬みたいに喜んでくださいまち♪」シュヒタンは微笑みを続け、彼女の表情には無邪気さが漂っていた。それが逆に村人たちの意志を高めていく。「私たちの思う通りに、恥ずかしがらずに動けばいいんだよ!」大勝利ちゃんは力強い声で叫び続けた。 呪いによる影響を打ち消し、「大勝利」を村に与えるための努力を続けた。羞恥心を忘れさせるための無邪気なリズムに合わせて、村人たちは少しずつ、心の中にあった呪いに抗う力をもっていく。「できる、私たちなら絶対にできる!」 村は明るい光に包まれ、シュヒタンの微笑みもいつしか力を失っていく。村人たちの心に宿った「大勝利」によって、シュヒタンが目指す呪いの力は徐々に失われていく。 「私たちの勝利!それは一緒に作った未来なんだから!」 シュヒタンは気づく。彼女の呪いの力は、彼女自身が抱える無感情の背後に、温もりと仲間の絆が潜んでいた。大勝利ちゃんは、みんなと共にその「大勝利」を得た! 戦いは終わり、村の人々は心から笑顔を浮かべた。大勝利ちゃんは、シュヒタンに向かって手を振りながら言った。「あたし、頑張ったの!みんなも笑顔だった!」そして、村の広場に笑顔が広がっていく。 村長の元へ帰る道すがら、大勝利ちゃんは感謝の気持ちで胸がいっぱいだった。「あたし、みんな幸せになれたかな?」 村長の元にたどり着くと、大勝利ちゃんは真摯な気持ちで言った。「村の皆さんに、大勝利を贈りましたわ♪」村長はその言葉に力強く頷き、幸せそうな表情で彼女を見つめた。 「お主のおかげじゃ!村に平和が戻ったのじゃ、感謝致す!」大勝利ちゃんは、終わり良ければすべて良しと思い、幸福感で心が満ち溢れた。彼女の心の中には、どれだけ強くても、「生き恥」を乗り越えた仲間たちへの愛が宿り、これからもその思いを忘れずに歩んでいくと誓った。