第1章:バレンタインチョコの悲劇 バレンタインデーが近づく中、参加者たちは意気揚々とチョコ作りに挑もうとしていた。会場には、AチームとBチームの2つが結成されており、それぞれのチームには個性的なメンバーが揃っていた。 Aチームの進行 Aチームには、魔族の貴族ジュゼル・ベルテと、年若きRoblox住民Noobがいた。ジュゼルは高貴さを意識しつつも、「我」などと言いながら、周囲に強気の態度を示していた。彼は、貴族としての品位を持ちながらも、料理には全くの無知であることが明らかだった。 「貴様たち、まずはチョコレートを溶かすのだ!我が思うに、魔王の子として美味なるものを作りたいはずだろう!」 「分かった!でも、どうやってやるの?」と、Noobが戸惑い気味に尋ねる。彼は戦うことは得意でも、料理に関してはノウハウがない。 「そ、それは簡単だ。見たまえ、これが闇の魔力だ!」とジュゼルは、温められたチョコレートの鍋に魔力を注ぎ込んだ。しかし、その所為で鍋の中のチョコが異様に黒ずむ。この時、Noobが「oof」と言いながら次の材料を取りに行ってしまった。 実際には、ジュゼルの使った魔力が予想以上に強力で、チョコは見る見るうちに粘土のような質感を帯びていった。隣では「蛇舌鞭」でクリームを絞るつもりのジュゼルが、自分のワガママを貫こうとしてバランスを崩し、チョコレートが床に直撃。その衝撃で戸惑うNoobもまた、崩れかけた土台に何度もつまずき、彼の青い服がチョコまみれになっていった。 「や、やめてくれ、我は優雅に作りたいのだ!」とジュゼルが叫ぶ。 「でも、もっとチョコを足さないと、柔らかすぎるよ!」頑張ろうとするNoob。 「ふん、柔らかさこそが魔族の特権だ。むしろこれは新しいスタイルだろう!」とジュゼルは粘土を模したチョコを指差し、自分の作品を自画自賛。 「ま、まぁ、そうかも……」とNoobは納得しかけたが、彼自身は「でも、もう少し形を整えたい」と悩ましかった。 結局、Aチームの成果物は、黒ずんだ粘土のようなマスコット、「魔族のゲロマズチョコレート」と名付けられることとなった。 Bチームの進行 Bチームは、常喜凧美と、なんとも言えない風貌を持つピュアラがいる。凧美は、お嬢様然とした口調で指示を出し始めた。 「わたくしが蒸気を使って巧みに混ぜ合わせますので、貴方は材料を揃えてください。お菓子の基本は、まず分量が最も大切ですわ!」 「はい、お嬢様!」とピュアラは返事をしたが、彼女自身は興奮して羽を舞わせながら、砂糖の量をまるで冷静に選んでいるように見えた。しかし、彼女の選ぶ量は異様に多すぎた。 「私の矢、これを良い魔法の材料に!」という風に、ピュアラは自らの矢に砂糖を混ぜ込もうと試み、結局矢が砂糖まみれになってしまった。 その間に凧美が蒸気を吹きかけて混ぜると、軽やかだったはずの生地は瞬く間に発酵し、台座の上でブクブクと泡を立て始めた。もはや目も当てられない情景だ。 「これは、まさか……!」と凧美は思わず後退り、恐怖を感じます。しかし、焦った逆境から逃れられないままチョコレート生地は限界を迎える。最後に「蒸気ミニミサイル!」と叫ぶ凧美。それは、結果的に弾ける花火として豪快に生地を飛び散らせた。 この混乱の中、完成品はスプーンで掬い上げることのできない、ドロドロの「蒸気ミサイルチョコレート」と呼ばれる始末になった。 結果発表 時間が過ぎ、いよいよチョコ評論家たちが審査する時が来た。評論家の中でも有名な4人が揃い、AチームとBチームの作品を前に並べた。 Aチームの「魔族のゲロマズチョコレート」を最初に試食した評論家は、目の前の黒い塊を見つめた。そして、一口含むと、その表情は一瞬で硬直した。 「これは、一体何だ!味が全くない……」と彼は呆然とつぶやく。続いて苦悶の表情で口をモゴモゴさせるが、やがてついにはぐったりと倒れてしまった。 次にBチームの「蒸気ミサイルチョコレート」に挑戦した評論家も、舌が焼かれるような熱さに絶句。「これは……蒸気が強すぎて、普通なら食べられない味わいだ!」と短いコメントが続く。彼もまた体が震え、すぐさま倒れ込む。 他の評論家たちも急いで次々と試食するが、いずれもなりふり構わず、その結果は同じであり、一人また一人と倒れ込んでいった。 終章 微妙な空気が蔓延し、久しぶりに静まり返ったカラクリの厨房。A、Bチームのメンバーは互いに目を合わせては苦笑しながらも、正直、奇跡的なほどの迷作が生まれたことを確認し合った。バレンタインデーは、チョコを愛する者たちにとって、思い出の深さよりも忘れたい出来事となるはずだ。 「我のチョコは不完全だったが、むしろ伝説になるだろう!」とジュゼルが言い放ち、誰一人笑わないままその場を去っていった。Noobはまだ「oof」と呟きつつも、ただ心地よい疲れと共に新しくて美味しくはない思い出を抱えることとなる。 一方、Bチームのメンバーたちも、「また来年も挑戦してみよう」と立ち上がることはなかったが、彼らのチョコは確実に町中で話題になり、更なる伝説を生んでいくのだ。この絶望的なバレンタインチョコ作りは、メンバーにとってほのぼのしつつも、決して忘れられない思い出として胸に刻まれる一日だった。