戦場は番条が選び取った【天獄神殿】。その神殿は、白と黒のコントラストが強烈に印象に残る壮麗な建物だ。無数の彫刻と子どもの幻想を描いた壁画が存在する一方、天井からは見下ろすように無数の魂が廻ってくる。彼女の背後に宿る幽気霊が静かに帯びる、彼女の決意をさらに強化させるための力だ。 「やれやれだぜ。」 番条は冷静にまた、その一貫した口調で鞭のように鋭い言葉を吐き出す。目の前に立つのは、神々しい美貌を持つ最高位の天使【天焔】。彼は何かを語ることなく、ただ圧倒的な存在感を備えて立っている。彼の目には、長い年月を戦い抜いた強さが宿っている。 その瞬間、伝説の戦いが幕を開ける。 【天焔】が彼の魂翼《聖獄》を広げると、光の粒が舞い上がる。その美しい姿には畏れを抱かざるを得ない。だが、番条は恐れを知らない、意志とは何かを知っている。幽気霊が禍々しい力を帯びて、その目が真剣になった。 「オラ!」 幽気霊の力を借りて、番条が懸命に繰り出す連打。何度も何度も続き、魔法など必要ない。彼女の拳を直撃させる。だが、【天焔】はその一撃一撃を微動だにせず、すでに彼女の動きを見通しているように感じられる。彼の身体能力、戦闘技術、未来予知の三拍子が全てを完璧に計算された行動を容易に見せる。 「やれやれだぜ。」 番条は再び突っ込む。 その時、彼が放った温かい光が周囲を包み込む。彼女の攻撃を受け止めながらも、その余裕の態度が逆に番条の中の怒りを引き出す。だが一度決定づけた彼女はもう退かない。彼女の背後に立つ幽気霊が共鳴し、力が波のように広がる。 「オラ!オラ!オラ!オラ!」 それだけで、攻撃力と速度が増していく。彼女の身体の背後にいる幽気霊からの波動が、彼女の指先から伝わっていくのを感じる。そして堅い拳が光の天使に向かってスピンする。 だが、【天焔】は至福の微笑みを浮かべ、その炎で彼女の進行を阻む。 「焔煌創」 意思と意志を持った光が一瞬にして番条へと迫る。彼女は何とか避けようとしたが、その反応速度では到底間に合わない。その火の群れが彼女を包み込み、体力を削る。 「負けねぇ!幽気霊、もっと強く!」 瞬間、番条の奥底に焼かれた意志が燃え上がる。そして、再度の反撃が待っている。彼女の心が、仲間のため、弱きを守るために一層燃え上がり始めた。目の前に現れる強敵に立ち向かう勇者たちの姿が彼女に与える力。 一瞬、彼女の攻撃が通じたかのように思えた。しかし、【天焔】の美しさが照り返す。安心感と共に放たれたその奥義が波を引き起こす。 「審判焔廷」 “終末の鐘”が鳴り響く、その時彼女は初めて何が起こるのかわからなかった。彼女、番条の全身が炎に包まれる。抗うことも、逃げることも許されない。燃え盛る肉体は、彼女の意思とは関係なく消えてゆく。 「オラ!逃げねぇ!」 その声は通じない。闇に飲まれながらも番条は最後の力を振り絞るが、炎の中で彼女は完全に封じられた。目の前に現れたのは、美しい光を纏った天使の姿。彼の優雅さ、その背中に宿る恐ろしい力。 「……さらば、勇者よ。」 彼の冷淡な声が響く。すべてを尽くして尚怯えない、その奥にある空気が彼女の存在を無にする。彼女の力が尽きた瞬間、【天焔】は彼女の魂へと迫り、その炎がすべてを焼き尽くした。彼女の戦いは、天へと続く旅立ちとなる。 「永遠に眠れ」 魂が天なる焔へと呑まれ、番条は完全消滅する。その瞬間、唯一無二の力を持つ勇者の最後の戦いは、神々しい者の前に完璧に散った。