闘技場の中央に立つ負傷者は、すでに顔中傷だらけで血だらけだった。しかし、彼の目には揺るぎない決意が宿っていた。その鋭い視線は、対戦相手であるルクシア・エンヴェルに向けられている。小柄で華奢なルクシアは、白金の長髪と黄金の瞳が魅力的な、16歳の少女。しかし、その静かな覚悟は、普通の少女ではなかった。 闘技場の空気は緊張感に包まれている。ルクシアの持つ力は空間を操ることで知られ、彼女の周囲には常に圧倒的なエネルギーが満ちていた。負傷者はその圧力を感じる。彼女の何気ない動きが、周囲の空間を支配し、彼に対して不利な状況を生み出すことを。 試合が始まると、ルクシアは早速動き出した。彼女の手から放たれた攻撃は視認できないほどに速く、その圧力はまるで空間そのものに変わっていく。最初の一撃を受けた負傷者は、一瞬で地面に叩きつけられる。呼吸が苦しくなり、筋力が奪われていく。しかし、この瞬間が彼をさらに強くするものであることを、彼自身が理解していた。 「くっ…!」負傷者は呻いた。彼の中に秘めた負傷を恐れぬ精神が、彼を立ち上がらせる。再び武器を構え、ルクシアを睨む。彼女の圧力の中に身を委ねるだけではなく、逆にそこから生まれる躍動を利用することを考え始めた。 ルクシアは余裕を見せながら、再び静圧杭を発動させる。地面や壁、そして空間の各所から突き出る圧力が、彼に襲いかかる。負傷者はそれを回避するために躍動し、鍛えられた身体を使って高度な回避運動を繰り出していく。彼の動きは、負傷する度に向上している回避能力を活かしたものだった。傷を負い、痛みを味わうことで彼はその先の未来を見据えている。 「今だ!」 と叫びながら、負傷者は先ほどの回避の流れから一気に反攻に転じる。剣を強く握り直し、彼の持つ古びた剣から神々しい光が放たれる。それは、戦場から彼の周囲に広がっていく。ルクシアの圧力の中でも、ひと際明るく見える。その光の中から放たれる一撃は、彼女が感じている空間を捉えていた。彼女の圧力を超え、その場の静寂を打ち破る。 負傷者の一撃は計り知れないほどに重く、速く、そして鋭さを増していく。ルクシアはその威力を感じ取り、一瞬身を引く。しかし、その瞬間を流すわけにはいかない。彼女の静圧盾層がすぐに防御に入る。薄い静圧の層が何枚も積み重なり、彼の攻撃を挡ぎ返す。 しかし、負傷者はその瞬間を捉え、さらなる攻撃を続ける。目の前の圧力の中で感じる痛みは、もはや彼を強化するものに変わっていた。負傷によって彼の戦闘技術は向上している。彼は立ち上がり続け、命をかけて致命傷を与えるために突き進む。 一撃、二撃、三撃、彼の古びた剣が放つ一撃が、ルクシアの静圧を突き破り始めた。ついに彼女の防御が崩れ、彼の剣がルクシアの肩を削る。確かな手応えに、負傷者は歓喜する。 「これで終わりだ!」負傷者は全力を振り絞って、最後の一撃を放つ。その剣が彼女の腹へと直撃した瞬間、空間の圧力が一瞬消失した。それは、彼女の空間支配が崩れ、彼女の力量の限界を意味していた。 ルクシアはそのまま後方に倒れ込む。目にするは、苦しみと戸惑いが混ざった表情。負傷者はその場に立ち尽くし、静まり返る闘技場を見渡した。彼の傷はいたるところにあり、痛みの中で強く深呼吸をしながら、間接的に己の勝利を確信する。 「今日は、本当にありがとう。」負傷者はそう呟き、彼女に向けてかすかな笑みを浮かべた。彼女の勇敢さは既に彼を強くしたのだ。この日、彼は見事に勝ち残り、闘技場の主人としての座を手にしたのであった。