空は鉛色に塗りつぶされ、太陽の光は厚い灰色の雲に遮られていた。かつて文明の頂点にあった都市は、いまやコンクリートの骸骨と、腐敗した肉の臭いが漂う地獄へと変貌している。 世界を飲み込んだのは、正体不明のゾンビウィルスだった。感染者は理性を失い、ただ飢餓感のみに突き動かされる肉塊へと成り果てる。そして時が経つにつれ、彼らは変異し、皮膚は硬質化し、爪は刃のように鋭くなった。もはやそれは「人間だったもの」ではなく、捕食に特化した怪物だった。 【第一章:絶望の邂逅】 【荒廃したコロニー】の端、崩落した高速道路の上に、その「鉄の要塞」は鎮座していた。IRON NEST。5,000トンの巨躯を支える4本の機械脚が、地響きと共に地面を捉えている。内部で欠伸をしていた男は、モニターに映る絶望的な数の群れを見て、面倒そうに呟いた。 「あー……マジで数多いな。適当に片付けるか」 彼は一人で測距し、装填し、トリガーを引く。55口径の巨大な二連装砲が火を噴いた。 ――ズゥゥゥゥゥゥン!! 衝撃波だけで周囲のビルガラスが全て砕け散る。榴弾がゾンビの群れの中央で炸裂し、肉片と黒い血が数百メートル四方に飛散した。しかし、死者は無限に湧き出す。彼らは仲間が弾け飛んでも構わず、ただ一点、生存者の気配へと突き進む。 その殺戮の嵐の中を、場違いな白い衣装をなびかせて走る女がいた。エイダである。彼女は血溜まりの中を軽やかに跳ね、倒れ伏した生存者――あるいは死者に手を伸ばす。 「あら、あなたは死ぬべき人? それとも生かすべき人かしら」 彼女が「マジカルAED」をゾンビの頭に叩きつける。バチィィィィン!! 強烈な電撃が走り、ゾンビの脳を焼き切る。同時に、彼女は足元で息絶えていた一人の男にAEDをタッチした。死んでいたはずの男が、電気ショックと共にガバッと跳ね起きる。完全蘇生。だが、その男が目を開けた瞬間、背後から変異したゾンビがその肩に深く牙を突き立てた。 「あぁ、もったいないわね」 エイダは冷徹に微笑むと、再びAEDを突き出し、今度はゾンビごと男を感電死させた。彼女にとって、生と死はスイッチ一つで切り替わる玩具に過ぎない。 同じ頃、コロニーの中央広場では、深紅のドレスを纏った貴婦人、カーチャが舞っていた。彼女の周囲には、すでに数えきれないほどのゾンビの死体が転がっている。彼女が手にする薔薇細工の細剣が、空を裂くたびにゾンビの喉笛を正確に切り裂いた。 「おぞましい……。ですが、この血の香りは心地よいわ」 彼女の身にゾンビの黒い血が飛び散る。その瞬間、彼女の瞳の紅が深まり、狂気が増幅される。《狂血姫》の覚醒だ。彼女が足を踏み鳴らすと、地面から血色の薔薇が咲き乱れる《狂華庭園》。その芳香に当てられたゾンビたちは、一瞬判断力を失い、呆然と立ち尽くした。そこへ、カーチャの猛攻が襲い掛かる。血踏円舞が嵐のように吹き荒れ、ゾンビたちの四肢がバラバラに舞った。 【第二章:異界の混成部隊】 そこに、さらに奇妙な集団が合流する。バグによって召喚された多種多様な英雄たちだ。空条承太郎が「オラオラ」と拳を振るい、煉獄杏寿郎が炎の呼吸で道を切り拓く。ソニックは目に見えぬ速さで敵を撹乱し、アンパンマンは飢えたゾンビに顔を分け与えようとしたが、彼らが欲しているのはパンではなく生肉であることを悟り、拳でなぎ倒した。 機関車トーマスが線路のない道を強引に突き進み、ゾンビを轢き潰す。スポンジボブはパニックになりながらも、その弾力ある体で攻撃をすべて跳ね返す。伏黒恵が召喚した式神が影から敵を拘束し、砂狼シロコが冷徹に銃弾を撃ち込んでいた。 そして、その集団の先頭を歩く青い髪の少年、BF。彼は戦場のど真ん中で、巨大な変異ゾンビと対峙していた。ゾンビが咆哮を上げ、襲いかかろうとした瞬間、BFがマイクを突き出した。 「Beep Boop!」 突如、世界にルールが上書きされる。BFとゾンビの頭上に【←】【↓】【↑】【→】の矢印が出現した。戦慄のラップバトル開始である。ゾンビは本能的にリズムを刻み始めた。グロテスクな声で「ガアア!ギギイ!」とビートを刻むゾンビに対し、BFは超絶的な技巧でラップを畳み掛ける。 「Bap beep bo bop! Beep boop bop!」 完璧なリズム。判定は「PERFECT」。ラップバトルに敗北したゾンビは、物理的な攻撃を受けたわけではないのに、そのまま崩れ落ち、塵となって消滅した。ラップバトルの絶対的なルールにより、彼は「敗北=死」を突きつけられたのだ。 【第三章:最深部、研究所への進撃】 彼らは互いに面識はなかったが、生き残るという一点において協力し、物語の核心である【研究所】へと向かった。そこは、ウィルスの正体とワクチンが眠る場所。だが、そこを守るのは、これまでのゾンビとは比較にならない「特級変異体」の群れだった。 研究所の正門前。壁のように押し寄せる、身長5メートルを超える巨漢ゾンビと、皮膚が甲殻化した高速移動種。絶望的な状況に、IRON NESTが前進する。 「……あー、もう。一気に終わらせるぞ」 最大仰角60度。30km先まで届く巨砲が、至近距離の敵に向けて火を噴いた。大容量榴弾が研究所の入り口で爆発し、地獄のような爆風がすべてを吹き飛ばす。その隙に、承太郎のスタープラチナが時間を止め、煉獄が九ノ型を繰り出し、カーチャが《薔薇は誰よりも美しい》を発動して戦場の血をすべて収束させた。 「咲きなさい、我が血の庭よ!」 血の奔流が巨大な薔薇となり、研究所の門を、そしてそこにいた数千のゾンビを一瞬にして飲み込んだ。凄まじい衝撃と血の雨。生き残った者は、ボロボロになりながらも、ついに研究所の最深部へ到達した。 そこで彼らが見つけたのは、自動製造されるワクチンだった。彼らはそれを使い、世界に蔓延したウィルスを中和させる手段を確立した。 【終章:緑の帰還】 数年後。 世界からゾンビの咆哮は消えた。灰色の空は青さを取り戻し、コンクリートの隙間からは、鮮やかな緑の草花が芽吹き始めていた。 IRON NESTの男は、今はもう戦う必要のない巨砲に寄りかかり、穏やかな風を受けていた。「……まあ、たまにはこういう静かな日も悪くないな」 エイダは、もはや死者を蘇らせる必要のない世界で、本物のナースとして、怪我をした人々を治療していた。カーチャは、血ではなく本物の薔薇が咲き誇る庭園で、静かに紅茶を啜っている。 BFは、かつての戦友たちを集めて、平和な街角でラップバトル大会を開いていた。彼らの顔には、もはや飢餓も絶望もなかった。 彼らは思う。あの地獄のような日々があったからこそ、この風の心地よさが分かるのだと。失われた多くの命に思いを馳せながら、彼らはゆっくりと、新しい世界の歩みを始めた。 * 【生存判定】 IRON NEST:生存 エイダ:生存 カーチャ:生存 BF:生存 伏黒恵:生存 空条承太郎:生存 スパムトンG.スパムトン:生存 砂狼シロコ:生存 煉獄杏寿郎:生存 ソニック:生存 機関車トーマス:生存 スポンジボブ:生存 アンパンマン:生存 ロムスカ:生存 クルー:生存 カップヘッド:生存 ピコ:生存