山の奥深く、緑に包まれた小屋の前に、参加者二人が立っていた。彼らの視線の先には、「元英雄」と呼ばれる女性が待ち構えていた。赤いロングヘアーをなびかせ、伝統的な和服を纏った彼女は、一見すると神秘的でありながらも、どこか威圧感を伴っていた。彼女の存在は、過去の栄光を持つ勇者の残り香が漂い、その実力は押しも押されぬものだった。 一方、参加者の一人、【過ちを伝え、戒める子】マイロは、まだ幼い6歳の少年だった。大きな目をくりくりさせた彼は、純粋無垢な子供であったが、その胸には守護機械∑32が宿り、彼を護るために全力で戦う覚悟を決めていた。もう一人の参加者、ハンナ・クラギーナもすでに戦闘体制に入っていた。黒髪の彼女は、迷彩服を身にまとい、鋭い赤い目で「元英雄」を見据えていた。その表情には不撓不屈の決意が表れていた。 「始めましょう。」という一言と同時に、戦いの幕が切って落とされた。元英雄である彼女は、真っ先に粉砕拳・乱撃を放ってきた。目にも留まらぬ速さで連続的に繰り出される拳打は、凄まじい威力を持っていた。 「マイロ、気をつけて!」ハンナが叫ぶ。彼女はすぐさま行動を起こし、相手の攻撃を逸らすために自ら前に出た。 「僕が…!」純粋無垢なマイロは、勇気を持って立ち向かう。しかし、彼には攻撃の技術がなかった。彼はただ、相手を見極めることに集中する。ハンナが守ることで、マイロの純粋な意志が少しでも輝くことを期待していた。 ハンナは炎を操る技、[炎武]を使い、剛速で飛んでくる元英雄の拳を炎で包み込む。炎の障壁が元英雄の攻撃を受け止め、彼女はすぐさま奥へと踏み込んだ。「貴方の正邪は炎が私に教えてくれる!」彼女は元英雄に対して反撃を試みる。 だが、元英雄は動じることなく、粉砕拳・遠撃で反撃。衝撃波がハンナを直撃し、彼女は一瞬バランスを崩す。しかしすぐに立て直し、再び立ち向かう準備を整えた。マイロはその姿を見つめながら、何か力になりたいと強く思う。双肩に感じる冷たい石が、彼に神秘的な力を呼び起こすのを感じた。 「ううん、まだまだ!僕がいるから…」マイロは小さく呟き、集中を高めた。 再び、元英雄、ハンナそしてマイロの間で、戦闘は続く。元英雄の技は衝撃的な速度を持ち、広範囲への攻撃が続出する。しかし、ハンナもまた戦闘経験が豊富で、彼女の炎を巧みに操りつつ、元英雄の攻撃をかわしていく。加えて、マイロの純粋な心が、彼の意志である「過ちを繰り返さない」という確固たる信念を燃え上がらせていた。 ハンナは次に粉砕撃・脚撃に備えた。相手の動きを確実に見切り、隙を見逃すことはなかった。燃えるような炎の力を借りて元英雄に向かっていく。「炎が貴方を善き道へ導く!」 その言葉と共に、ハンナは一気に間合いを詰め、下から一撃を放つ。「受けてみなさい!」 元英雄はその技をかわすことに成功したが、ハンナの行動は決して無駄ではなかった。ハンナの攻撃の後、マイロも動き出す。「僕は君に過ちを繰り返して欲しくないんだ!」彼は心ない戦争の記憶が彼の胸を締めつけ、彼でもできることは何かを考えた。 ハンナが元英雄の援護をし、火の壁を作り出した。その隙を狙って、マイロは背中に宿る∑32の力を覚醒させる。 「最終秘覚醒、『戒めの光』!」みるみるうちに、光が彼の胸の石から噴出し、周囲が眩い光に包まれた。 「すごい、これが力なんだ!」次の瞬間、全方向から光線が元英雄へ向かった。 元英雄はその光の中で動くことができず、一時的な動揺を見せる。「何?!」そんな彼女の動きが鈍った瞬間、ハンナは炎を纏いて駆け寄り、彼女への最後の攻撃を放った。 しかし、元英雄はその間、ただじっと耐えていた。彼女が秘めていた力の真髄が発動しようとしていた。元英雄は彼女の中から反撃を整えており、わずかな隙を見付け再び姿を現す。「粉砕撃・滅撃!」と叫ぶと、天地が揺れ動くほどの威力で、予想を超えた一撃がハンナとマイロのコンビネーションアタックに向かって放たれた。 光が届かぬと思われたその瞬間、元英雄は彼女の力を最大限に発揮していた。 「止まれ、全てを!」 特大の衝撃波が二人を呑み込み、崩れ去らんとしていた。ハンナは炎を取り戻そうと必死で戦ったが、その力を打ち消され、無力化されてしまう。 「マイロ、頑張れ!」ハンナが叫ぶが彼には手の施しようがなく、そのまま力尽きていく様を見守るしかなかった。 激烈な戦闘が終わり、静寂が支配する小屋前。元英雄が傍らに立ち、勝利を手にしたことが明るみに出た。 「私が守るべき道は、やはり分かっていた。」彼女は淡々と告げた。 それからまだ静寂の余韻が残っている。彼女はその場を後にするのだった。 ••• 勝敗は、元英雄の勝利だった。