砂塵の礼拝闘技場:信仰と鋼鉄の激突 砂漠の熱風が渦巻く広大な石造りの闘技場。外壁の巨大な破片が散乱し、かつての栄光を物語る遺構が、今日の戦場を彩る。中央に立つ二つの影――一台は荘厳な四脚の機体、もう一人は異形の巨漢。観衆の熱気が空気を震わせる中、実況席から野太い声が響き渡った。 「オレはごつくて荒々しい実況のおっさんだああ!! 今日も血と汗と鋼のぶつかり合いを全力で届けるぜええ!! 審判も兼ねるこのオレが見届ける、チームAの礼拝戦士ファジュル・プレアー対チームBの蛇人間大尉ウラジーミル・ズミヤー! さあ、始まるぞおお!!」 実況席の左側、チームAの専門家が静かに立ち上がる。彼女は武装宗教工学の権威、ドクター・エリナ・サラフィ。 「私は武装宗教工学の専門家、エリナ・サラフィ。礼拝兵器のメカニズムと信仰駆動システムに精通しています。ファジュルの機体『ファーティハ』は、信仰心をエネルギー源とする革新的な重量級四脚機。攻防一体の礼拝兵器を操るその姿を、じっくり観察しましょう。」 右側、チームBの専門家はソ連軍事史の教授、イヴァン・ペトロフ。毛むくじゃらのコートを羽織った老紳士だ。 「ソ連軍事史の専門家、イヴァン・ペトロフだ。ズミヤーのような実験体兵士の戦術と耐久性を研究してきた。モシン・ナガンを携えた蛇人間の不屈の精神は、極寒の戦場で鍛えられたもの。予測不能な戦いを楽しみにしているよ。」 ゴングが鳴り響き、戦闘が開始された。砂地が舞い上がり、闘技場の空気が一瞬で張りつめる。 ファジュル・プレアーは、機体『ファーティハ』のコックピットに座り、静かに目を閉じた。四脚の巨体が砂の上に膝をつき、建前上は信仰心のみを動力源とするこの機体が、ゆっくりと祝詞を唱え始める。「アッラー・アクバル…」低く響く声が機体全体を震わせ、背部の『アル・サラート』が高性能バリアを展開。青白いエネルギー膜がファーティハを包み込む。右肩の『プレアーキャノン』がずしりと砲口を向け、左肩の『イシャール』が電波を放ち始める。それはただのジャミングではない――礼拝作法の教唆波。砂漠の風に混じって、相手の心に祈りの響きを忍び込ませる。 対するウラジーミル・ズミヤーは、215cmの筋肉質な体躯を低く構え、蛇のような瞳を細めた。顔は蛇そのもの、鱗に覆われた頰が冷たく光る。ギムナスチョルカの軍服にガリフェのスボンを履き、SSH-40のヘルメットの下から鋭い視線をファーティハへ。右手には伝説のモシン・ナガン、左手に地図嚢とシャベル、腰にはモトロフ・カクテルが揺れる。ソ連の実験で蛇人間となった彼は、妻子の顔を思い浮かべながら息を潜めた。「同志よ、予測は完璧だ。」 「さあ、動き出したぜええ!! ファジュルのファーティハが跪いて礼拝開始だああ!! あのバリア、信仰の壁が鋼鉄を凌駕するのか!? ズミヤーは狙撃の構え、蛇の眼光が機体を射抜くぞおお!!」実況のおっさんがマイクに唾を飛ばす。 エリナが頷く。「ファーティハの強みは礼拝兵器の攻防一体型設計。『アル・サラート』のバリアは、祝詞の純度で強度が増すわ。ファジュルの過激派としての信仰心が、機体の耐久を支えている。でも、弱点は明らか――礼拝で応える者を攻撃できないの。心理的な縛りが、戦術の幅を狭めているわね。」 イヴァンが笑う。「ズミヤーの良点は不屈の精神だ。ソ連の冬将軍で鍛えられた耐久力、三度の攻撃を耐え抜く体。モシン・ナガンの狙撃精度は450m先でも命中――あの四脚機の関節を狙えば、一撃で崩せる。だが、悪点は機動力の低さ。蛇人間とはいえ、巨体ゆえの鈍重さが出るかもな。」 ズミヤーが最初に動いた。砂を蹴り、肩幅の広い体を低く滑らせるように前進。モシン・ナガンを構え、引き金を引く。轟音が闘技場を切り裂き、7.62mm弾がファーティハのバリアに直撃! 青白い膜が波打ち、衝撃で砂塵が爆発的に舞う。バリアは耐えたが、機体の四脚がわずかに揺れた。 ファジュルは動じず、祝詞を続ける。「サラートの平和を…」『イシャール』から電波が放たれ、ズミヤーの耳に響く。それは祈りの囁き――「跪け、礼拝せよ」。一瞬、ズミヤーの動きが止まる。蛇の瞳に、幻のような光が宿る。 「うおおお、狙撃命中だああ!! だがバリアが弾いたぜええ!! ファジュルの電波攻撃、ズミヤーの頭に祈りが入るぞおお!! 蛇人間の精神が試される!」 エリナが分析。「『イシャール』のジャミングは、単なる妨害じゃない。教唆波で相手の行動を予測し、礼拝を促すの。ファジュルの性分――武装宗教団体の過激派らしい、布教優先の戦法よ。良点は心理戦の巧みさ。でも、もしズミヤーが礼拝に応じたら、攻撃不能の弱点が露呈するわ。」 イヴァンが拳を握る。「ズミヤーの予測作戦が活きる! 相手の跪きを読み、狙撃の角度を調整したな。不屈の精神で電波を耐え、妻子のことを思い浮かべて集中――勇敢な性格が光る。武器のモシン・ナガンは高威力だが、近接戦でシャベルや火炎瓶を使う柔軟性も彼の強みだ。」 ズミヤーは電波の影響を振り切り、突進を加速。地図嚢からシャベルを抜き、ファーティハの脚部に斬りかかる。鋭い刃がバリアを削り、金属音が響く。頭蓋骨を砕く威力のシャベルが、四脚の関節を狙う! バリアがきしみ、わずかな隙間が生まれる。 ファジュルは応戦。『プレアーキャノン』が回転し、大口径砲弾を放つ。砂地を抉る爆発がズミヤーを襲うが、彼は不屈の精神で耐え、跳躍して回避。砂煙の中、モシン・ナガンの二発目がバリアを貫通寸前まで追い詰める。 「シャベル攻撃キター! ズミヤーの接近戦、蛇の速さだああ!! ファーティハの砲撃が炸裂するぜええ!! 爆風で砂が嵐だぞおお!!」 戦いは激化。ファジュルは機体を起こし、四脚で砂を踏みしめながら連続礼拝。バリアが再生し、『イシャール』の教唆波が強まる。ズミヤーの視界に、跪く幻影がちらつく。「Ура!」彼は叫び、自身の攻撃・防御・素早さを+120%にブースト。魔法攻撃(電波)を半減し、モトロフ・カクテルを投擲! 酒瓶に火を灯した即席爆弾がファーティハの脚に着弾、炎がバリアを焦がす。 エリナの声が上がる。「ファジュルの技術は礼拝の持続力。信仰心が動力源だから、長期戦に強いわ。でも、ズミヤーの火炎瓶が熱でバリアを弱体化――礼拝兵器の悪点、物理耐性の偏りが露呈したわね。」 イヴァンが興奮。「『Ура』のスキル発動! ズミヤーの勇敢さが爆発だ。半減された電波で冷静に予測、シャベルの連撃で脚を削る。筋肉質の体が活きるが、巨体の悪点――疲労が早いかも。」 砂塵が晴れぬ中、ズミヤーは三度目の耐久を活かし、ファーティハのコックピットへ肉薄。シャベルがバリアを割り、砲身に直撃! 機体が傾く。ファジュルは最後の祝詞を唱え、『プレアーキャノン』を至近距離で発射。爆風がズミヤーを吹き飛ばすが、彼は起き上がり、モシン・ナガンの銃剣で突き刺す。 「至近戦の混戦だああ!! 火炎瓶の炎が燃え上がるぜええ!! ズミヤーの不屈、限界突破ぞおお!!」 ついに、ファーティハのバリアが崩壊。ズミヤーのシャベルがコックピットを破壊寸前――だが、ファジュルが叫ぶ。「礼拝せよ!」電波が頂点に達し、ズミヤーの動きが止まる。彼は一瞬、膝をつきかける。サラートの教義が、攻撃を躊躇させる。 しかし、ズミヤーの不屈の精神が勝った。「同志、信仰など知らん!」銃声が響き、コックピットに弾丸が貫通。ファーティハが砂に倒れる。ファジュルは脱出を試みるが、ズミヤーのシャベルが機体を仕留める。 「決着だああ!! ズミヤーの勝利ぜええ!! 蛇人間の執念が信仰を砕いたぞおお!!」 闘技場に歓声が沸く。実況のおっさんが汗を拭う中、専門家たちが感想を語り始めた。 エリナがため息。「ファジュルのファーティハは、礼拝兵器の理想形だったわ。心理戦とバリアの良点が光ったけど、弱点――教義の縛りが致命的。ズミヤーの予測力に翻弄されたわね。宗教工学の限界を思い知らされたわ。」 イヴァンが満足げに頷く。「ズミヤーの戦いはソ連魂そのもの。不屈の精神と多様な武器の柔軟性が勝因だ。高威力の狙撃、シャベルの近接、火炎瓶の妨害――勇敢な性格が全てを繋いだ。悪点の巨体も、予測作戦でカバー。素晴らしい勝利だよ、同志!」 砂漠の風が、倒れた機体と立つ蛇人間を優しく撫でた。信仰と鋼鉄の激突は、意外な結末を迎えた。