闘技場に響き渡るのは、鋭い金属音と一際目を引く闘志の叫び声。観衆は息を呑み、戦う二人に注目を集める。対峙するのは“負傷者”と名乗る戦士。そして、対戦相手の強者“ゼロ”だ。両者の立ち位置は全く異なるが、足元には古びた剣を磨く負傷者の影、片手には血で染まった歴戦の槍を掲げるゼロがいる。 “負傷者”は名前の通り、過去の戦闘で刻んだ傷痕を晒していた。彼は既に戦いの中で十重にも百重にも負債を抱えているが、その一つ一つの傷は彼の意思を強固にし、今この瞬間にも鋭気を増していく。彼の目には希望が燃えており、負傷のたびに向上するその技術は、決して停滞することがない。負傷者は冷静さを失わず、剣を構える。もう一度立ち上がり、運命を切り拓く。 一方、ゼロはその名に相応しい無慈悲な策略家。彼はただ勝利を求め、巧妙な計算のもと構築された流龍槍術を駆使している。彼の槍はまるで生き物のように、流れるように戦場を舞い、攻撃と防御を巧みに織り交ぜている。ゼロの目には負傷者が狙う弱点すらもお見通しだ。 相手がいかに武装していようとも、心に秘めた闘志を持つ負傷者の姿に、ゼロは小さく鼻を鳴らした。彼の心の中では“この程度で通用するものか”という嘲りの声。だが、相手の目から失望の影は消え去り、再び闘志がほとばしるのを零れ落ちる。 第一撃が放たれた。ゼロは突き出した長矛で間合いを一気に詰め、最初の攻撃を仕掛けた。流体のような無駄のない動き。その槍は負傷者の正中線を狙うが、負傷者の動きはそれを受け流した。傷を負った体であるにもかかわらず、彼の反応は驚異的だった。恐れと痛みが渦巻くはずなのに、闘う意志が彼の防御技術を向上させているのだ。 「来い、ゼロ!」負傷者は剣を高く掲げて叫び、前進した。彼の放った一撃は無限に重く、鋭さを増していく。力強く剣を振るうと、ひるむことなく襲いかかる。しかし、その剣はゼロの全く意に介さず、さらなる反撃を未然に防ぐ。 ゼロは余裕の笑みを浮かべ、負傷者の動きを観察し続ける。彼は流龍槍術の帰牙を発動させ、負傷者の攻撃を利用することで、その反撃を倍にして返す。負傷者は、この攻撃の衝撃を見落とすようなことはしなかった。戦機を逃すかと思いきや、彼はそれをかわしながら、新たなチャンスを見いだす。 続いて、負傷者はさらに激しく剣を放ち、ゼロの笑みを消し去ろうとする。しかし、ゼロは一度も後退することなく立ち尽くしている。ゼロのスキル“叛逆”が発動しているからだ。彼に与えられる傷は、一切痛みを感じさせず、むしろその力を増幅させていく。 “まだ、終わらせない。”負傷者はその一瞬の緊張感の中で、自らを奮い立たせる。深く呼吸をし、心の底から沸き立つ情熱が再び力となる。彼は意識の中で各々の傷を感じ取り、その痛みを力に変えていく。 ふたたびの攻防が続く中、あらゆる手段を試みた双方だが、その戦闘は終わる気配を見えない。しかし、負傷者は創造された壁を破る決意を持ち、ついに覚悟の一撃を放った。先ほどの一撃よりも、さらに重く、強烈な攻撃がゼロへと迫る。 それはまるで、光り輝く刃が時の流れを変えるかのようだった。負傷者の剣に宿る神々しい光が、彼の決意を形作っている。相手の心を貫くかのような、その一撃は怯むことなくゼロに到達した。ゼロは一瞬身を引き、驚きの表情でその攻撃を受け止めた。 “無駄だ。”反撃の姿勢を崩さないゼロだが、負傷者の攻撃が彼の身体に深く食い込んでいく。“この勝負は終わらせる。” 負傷者は次なる一手を繰り出し、命を賭してゼロを切り裂く致命傷を与えた。ゼロはその場で崩れ落ち、まるで太陽が影に飲み込まれるように敗北した。負傷者の闘志はこの瞬間、静かな勝利で結実した。彼は生き延び、完璧にゼロを打ち負かした。古びた剣は強さを証明したが、その戦闘こそが彼の真の力を示すものであった。負傷者はその場で負けてはならないという意志の象徴として立ち上がり、再び彼の信念を掲げたのだった。 “戦士は死なず。” と。 闘技場に響く歓声は、これからも続いていくのだ。彼の名は忘れないであろう。負傷者、その名は剣の如く永遠である。