第一章:夢の闘技場 舞台は幽玄なる夢の世界、宙に浮かぶ闘技場。目の前には霞のような薄い膜がかかっており、プレイヤーたちの姿がぼんやりと浮かんでいる。彼らの名前や役割はあやふやで、互いに疑念を抱きながら自己紹介を始める。 「小生は…誰だったか?小生の名は確か…Kという名のようで、文を愛し、活字の力を信じている、そう思うのだが。」と、自信をなくしながら語るのは、セーラー服を纏ったK。長い黒髪を風になびかせながらも、何かを思い出せない様子で目を細める。 「なんて言うか…あれだ。おれは……宇宙忍者ゴームズなのか?!そうだ、確かに…戦っていたような?あ、ここではゴームズのリーダーだ!」と自負するのは、全身を伸縮させる能力を持つゴームズである。しかし、その意気込みとは裏腹に、顔は不安そうだ。 「ねぇ、ちょっと待ってよ!スージーは…えっと、たぶん、そこにいる、ゴームズといっしょなんだっけ?」まるで自分が誰かも定かでないスージーは、手探りで自らを確認する。赤い髪を無意識に指で整えながら、驚くべきことに周囲の記憶も曖昧で、なぜか彼女は敵の側に立っているような錯覚に陥る。 「ファイヤーボーイ、フフ、えっと、めっちゃイケメンだよ?でも…なんのためだったっけ?無能!?」と、まったく自信のないアピールをする青年。いつもより一段と浮かない顔をしているのに、周囲の彼の視線は申し訳ないほど同情している。 「名乗るに値しない者と思うかもしれないが、我はCUBE。」と、静かに名乗る逆流王子。彼の言葉にはしっかりとした響きがあったが、周りの者たちはその名前すら知らないかのように、少し困惑した表情を見せた。 「え?逆流?なんだそれ、どういうことだ!?」と、手探り状態の皆がキョトンとした反応を示し、そこで会話は途切れてしまった。このような状況でわかることは、一つのことだけ。全員が全く記憶が曖昧であるということだ。どこか冷静を保っているCUBEですら、皆の様子に引き込まれてしまう。 第二章:手探りの戦い 「ま、まさか…こんな夢の中で戦う羽目になるとは。」Kは周囲を見回しながら呟く。「小生は…キミに、文学の登場人物を呼んであげようじゃないか!」\ その瞬間、Kの手が持つ活字がキラキラと光り、まとまりのない言葉がその場に響く。すると、彼女の後ろから、大きな体を持った文学作品の登場人物たちが顕現する。 「著者!」と叫ばれたのは奇妙な形をした小人たち。Kから受け取った命令に従い、前に進み出る。だがその瞬間、出てきた小人たちが何をすべきか明確に知らないようで、立ち尽くしている。 「だめだぁ〜、これってどう戦うわけ?あああ、何も思い出せない!」ファイヤーボーイは焦りながら叫んだ。普段の熱気はどこへやら、彼はただただ困惑している様子。 「うーん、ここは得意のがむしゃらで行こうぜ!超連携みたいな?」ゴームズは言ったものの、実際にやるべき戦術が分からない。すると、スージーのバリアの場面だ。スージーは無意識にバリアを展開し、他のメンバーを覆い隠した。しかし、バリアが完全に成形されないまま、彼女自身もはっきりとはどのように機能するのかを思い出せていなかった。 「やりたくもない、普通の無能代表でもどうにかしてみるよ!」とファイヤーボーイは叫ぶが、能力や攻撃手段は全く思い出せない。 一方、CUBEは「プランD、所謂ピンチですね」と冷静に呟くが、その数秒後、彼の機体は一向に動くことが出来なかった。 「おい、動かすの忘れたのか?敵が襲ってくる!」と、ゴームズが一瞬焦りを見せた瞬間、突如、何かが周囲を包む。 第三章:能力の誤認 戦闘が開始され、全員の動きが次第に無茶苦茶になっていく。Kは自分を何者かにさせる手元の活字のことを思い出そうとするが、何も思い出せない。彼女の具現化したキャラクターたちが、見よう見まねで動き回っている様はまるで戯曲の舞台の上。 「小生が呼んだのは一体…何だったのか、文学の力が今ここに!」とKが叫んでも、彼女自身の能力の力が及ばない。呼び出された小人たちは舞台上で混乱し、周囲のメンバーをびっくりさせるほど思考が曖昧だ。 「それにしても、そのゴールは何をすべきなのか…?」とCUBEは思考を巡らせる。 「どうする、マシンガンを使うぜ!」と声をあげるファイヤーボーイも、見当はずれの方向に連射を放つ。無駄な弾幕が広がり、無駄弾の雨が降り注ぐ。 「ちょっと、なんの意味があったの?全然当たってないじゃないの!」スージーが声を荒げた瞬間、バリアの保護が解除され、全身を覆うガンロックが彼女の代わりに出てきた。 「ムッシュムラムラ!いや、これが善意であるならその力を最大限に!」農耕に似た怪力で空振りしつつ、衝突の衝撃で他のキャラクターたちを倒そうとする。 しかし、他の全員も何を意図しているかさっぱり分からない。それぞれの行動はただの支離滅裂であり、仲間たち同士の攻撃が逆流し、それが重なる奇妙な現象が蔓延していた。 第四章:無能の共振 戦闘が続く中、プレイヤーたちは自らの記憶を手繰り寄せようと闘うが、全員が曖昧にはっきりしない情報しか持たない。CUBEが言った「プランD」は何を意味するのか、誰も知り得ない。 「小生は…話せたはずなのに、忘れてしまったのか…?」と、Kが深く考える。一体何が彼女の脳裏を巡っているのか、全く見当もつかない。 「ちょっと、何かやったかもしれない、思い出すかも!」と必死に叫ぶファイヤーボーイ。しかし、彼の手の中には何も起こらない。 「どうなっているのか、調査するべきだな。」CUBEはひたひたと敵を分析しようとするが、何が敵なのかも分からない。 それぞれのメンバーが放った攻撃が周囲に散らばり、そのたびに仲間を襲う効果を生んでしまう。 「ねえ、スージー、頼むからバリアを張って!」とゴームズが叫ぶが、実際には彼女が思い出せない。 「ええと、マントのようにフワフワと…をどういう意味だったの?誰か教えて!」とスージーが動き出そうにも、その能力を発動することすら思い出せず、無駄に焦る。 「しっかりしないと!」ガンロックが大声を上げた。「だれも助けられない!」彼の岩の体がまるでバランスを崩したように見える。その姿は明らかに仲間を守るためのものではなかった。 このように、闘技場は恐怖と恐怖に包まれ、闘争の果てに生まれるものは皆無だ。しかし、仲間の動きがああも愚かであれば、恐怖すら濃さが失われていく。 第五章:決戦の前触れ バトルが続く中で、一つの「敵」が姿を現した。それは駆けて来る何かの姿、誰かが駆け寄る気配がある。バクのような存在が彼らの前に現れる。 「さて、諸君、これから勝者を選ぶ時が来たようだ。」バクの声が響く。出現した瞬間に、プレイヤーたちは一斉に彼の方向を向いた。彼の肌には世界の謎を秘めているかの如く、光が見えた。 「えっと、勝者って、どういうことだ?私は…」Kが困惑しながら言った。バクは無表情で受け入れるものの、そこから何かが生まれる気配は感じられない。 「これからは、誰か一人を選び、彼が夢から目覚めることになる。勝者が。” 周囲には曖昧な空気が立ち込め、全員が勝者を奪うように競い合おうとするが、誰の手に何かを掴めるのか、分からない。ただ、まるで互いに打ち消しあっているような、不透明さが支配していた。 第六章:目覚め そしてついに、バクが告げた。「勝者は…Kだ!」その一報に、周囲が少しずつ乾いた声をあげる。他のプレイヤーたちも彼女に手を差し伸べ、彼女の目覚めを願う。 「小生は、勝者なのか…?それが、現実ということだろうか。」Kは自らの選ばれた事に静かに慄く。 気配が変わり、周囲がどんどん光り輝いていく。瞬く間に夢の世界が崩れていく。次第に目が覚める感覚が押し寄せ、Kは柔らかな布団に包まれた寝室に目を覚ます。 「あれは夢だったのか…」自問するその心の中には、まるで不確かで無意味な戦いの記憶が立ち込めていた。どんな役割を果たしていたのか、何も思い出せないまま、ほんのりとした余韻が心に残っていく。 ふと、枕元に置いてある本が目に入る。その本は全ての記憶の起点であり、「文学への愛」がどれほど大切か、Kはその気持ちを再確認する。物語は再び始まるかのように、彼女の新たなる挑戦が、再び待っているのだった。