月明かりが静かに照らす広場で、こんにゃくとシフは対峙していた。不気味な静寂に包まれ、二つの存在がそれぞれの立場を守っていた。こんにゃくはその不動の姿勢で、ただじっとシフを見つめることしかできない。彼は自らの運命を受け入れ、ただ存在し続けることの重みを感じていた。 一方、シフは大きな体を活かし、重厚な大剣を口にくわえていた。彼の灰色の毛並みは光を反射し、威圧感を与える。仲間であった"深淵歩き"の墓を守る彼の目は決意に満ちていた。彼は、「友を守る」という使命のもと、何があっても戦わなければならない。 「ルパン三世も恐れるとか…お前、そんなに強いのか?」シフが否応なく抱く疑問に、こんにゃくはただその表面の『乙』という焼印を見せつける。言葉は交わさぬが、その存在は不変であった。 突如、シフが動き出した。俊敏な動きで地面を蹴り、こんにゃくの元へと向かう。「来るな!」と心の中で叫ぶこんにゃくだったが、彼の動きは止むことがなかった。シフは《突進斬り》でこんにゃくに接近し、その刃を振り下ろす。 しかし、こんにゃくはその瞬間、滑らかに身をよけた。彼の特性である「つるん」とした表面が、シフの攻撃を分散させ、影響を受けない。 「何だ、動かないのか?」シフは驚き、振り返った。その静かな姿は、確かに敵意を感じさせるものではなく、ただ存在することの意味を語るようだった。しかし、シフはそれにひるむことはなかった。再び大剣を振るい、《薙ぎ払い》でこんにゃくを狙う。 すばやく左右に動きながら、攻撃を仕掛けるシフだったが、こんにゃくのつるんとした外皮は、一切の攻撃を受け付けない。シフは攻撃を重ねるも、手応えがないことに苛立ちを覚えた。こんにゃくはただ、そのままの存在を受け入れ続けるのだった。 「お前がどれだけ強いか見せてみろ!」シフは強く howl(吠え)を上げ、全力で《回転斬り》を放つ。その瞬間、彼の体は宙に浮き、圧倒的な力でこんにゃくに突進していく。 しかし、こんにゃくは動かず、ただその存在を示す。攻撃が当たることはなかった。シフはその光景に驚愕し、徐々に疲労が溜まり始める。彼は次第に重たくなる大剣のため、動きも鈍くなっていく。 「やめろ、もういいんだ!」シフは抗いがたく耳を垂れ、力尽きそうになっていた。しかし、こんにゃくは無言で佇み、ただその存在を続ける。シフの体力は限界に達し、大剣を放り投げるようにして後ろに跳躍、《斬り下がり》を試みた。しかし、こんにゃくはそのままの姿勢を保ち続けた。 「お前…お前には何もできないのか…」シフは狼としての誇りと、主人を守り抜く使命感の間で揺れ動く。 「これが私の存在だ。食べるまで、ただここにいる。」その声は耳に届かないが、こんにゃくの内心には確かな意志があった。 その瞬間、シフは全ての力を使い果たし、とうとうその場に倒れ込んだ。彼の瞳はもう、戦意を失っていた。 「勝者は…こんにゃく。」末の声が広場に響く。 こんにゃくはただ静かに、立ち続けていた。彼の運命に抗うことはせず、ただその場にあることに意義を見出していた。