測定室の中央には、黒光りする機械――バチボコくんが鎮座していた。どんな攻撃を受けても壊れず、火力だけを厳格に測る測定器だ。高ランクを出すのは難しい、という噂に、道尾樹里は画材の入った鞄を胸元に抱えて緊張していた。 「ええと……本当に、壊れないんですよね?」 バチボコくんは、無機質な電子音で肯定した。 樹里は足元の小石をひとつ拾った。世界を滅ぼせる可能性を持つ能力――けれど、彼女はただの女子高生だ。無茶をする気はない。視界の中で小石を捉え、遠近の解釈を慎重にずらす。小石は少しずつ大きさを増し、質量も連動して増えていく。 「このくらいで……!」 彼女は変化を止め、測定用の標的へ向けて小石を放った。 衝突音が部屋を震わせる。標的は砕け、床に破片が散った。だが、隕石規模にまで拡大させたわけではない。樹里自身が能力の危険性を理解し、被害を抑えられる範囲で止めたのだ。 バチボコくんは衝撃を受けても傷ひとつなく、淡々と測定を終えた。能力の理論上の最大規模ではなく、今回実際に行われた攻撃の威力だけを評価する。測定結果が表示されると、樹里はほっと息を吐いた。 【最終測定結果】 火力ポイント:7,438P 火力ランク:C