《敵の捜索》 重い沈黙が支配する荒野。空は不自然なほどに白濁し、風さえも息を潜めていた。 「いいか野郎ども、目標は黒い天狗のような化け物だ。見つけ次第、根こそぎ吹っ飛ばしてやるぜ!」 マイク・エバンスが愛車の大型バイクのアクセルを激しく回し、轟音を上げる。その隣では、サンズがピンクのスリッパをパタパタと鳴らしながら、どこか気怠げに歩いていた。 「まあまあ、そんなに急がなくても骨休めが必要だろ? ツクテーン」 「ふざけるなスケルトン! ここは戦場だぞ!」 後方に浮遊するのは、全長155cmという異様な存在感を放つ巨大なカップ麺。そして、冷徹な眼差しで周囲を警戒する灰色の軍服の男、ハンス。彼はルガーP08のボルトを確認し、静かに口を開いた。 「……気配が近づいている。上だ」 《会敵》 視界の上方、雲を切り裂くようにして「それ」は現れた。 定義未詳-弐型。漆黒の羽を広げ、空中に静止するその姿には、生命としての情愛など微塵も感じられない。2メートルほどの体躯から放たれる殺気は、物理的な圧力となって地上の四人を押し潰そうとしていた。 「おらぁ! 出たな化け物! 挨拶代わりにぶっ飛ばしてやるぜ!!」 マイクが叫ぶ。だが、定義未詳-弐型は一切の言葉を発さず、ただ静かに右腕を掲げた。 《戦闘》 突如、世界から色が消えた。 「DISTANCE」 定義未詳-弐型が展開した領域により、空は濃密な暗黒に塗りつぶされる。逃げ場のない重圧が四人を襲い、身体が地面に縫い付けられたかのように動かなくなる。 「げっ、これじゃあ骨が折れちゃうぜ……」 サンズが冷や汗を流した瞬間、黒い影が加速し、その武器から強烈な衝撃波「FIELD」を叩き込んだ。 ドォォォォン!! 凄まじい衝撃に、マイクとサンズが後方の岩壁まで吹き飛ばされる。しかし、その衝撃波を真正面から受け止めたのは10秒カップ麺だった。密封された容器が鈍い音を立てるが、特性によりダメージを半減し、じっと耐え忍ぶ。 「……チッ、想定以上の威力だ」 ハンスが覚醒し、背中に巨大な翼を展開。重圧を強引に振り切り、空中で二丁のルガーP08を連射する。弾丸が暗黒を切り裂き、定義未詳-弐型の肩をかすめた。 「やってやるぜゴルァ!!」 マイクが気合で立ち上がり、スキルを発動。狂戦士化した仲間たちに、自己回復力の向上をもたらす咆哮を上げる。サンズもまた、不敵な笑みを浮かべて【雑骨乱舞】を繰り出した。地面から無数の骨が突き出し、定義未詳-弐型の足を拘束する。 「今だ! ガスターブラスター!!」 手書き感満載の雑なブラスターが、極太のレーザーを放射。黒い天狗を直撃させる。爆発に巻き込まれた定義未詳-弐型が大きく後退した。 だが、敵は静止していた。その瞳に冷酷な光が宿る。禁断の奥義「DEATH」の予兆。暗黒の力が収束し、相手の生命線を直接抹消する不可避の攻撃が放たれた。 その軌道上に、10秒カップ麺が割り込む。 「バリカタ」が発動。概念的な抹消攻撃という絶望的な一撃を、カップ麺はたった一度きりの不退転の耐性で凌ぎきった。同時に、それまで蓄積していた全てのダメージと「DEATH」のエネルギーが『沸騰エネルギー』として限界まで充填される。 「アルティメットファイア! 全員ぶっ放せ!!」 マイクの号令と共に、ハンスの精密射撃とサンズの骨攻撃が集中し、敵の意識を逸らす。その隙に、10秒カップ麺が溜め込んだ超高熱波を至近距離から解放した。 「即席カウンター!!」 爆発的な熱量が定義未詳-弐型を包み込み、その黒い身体を内側から焼き尽くしていく。同時に、攻撃を当てたことで「フレッシュ」が発動し、能力制限を解除した10秒カップ麺がさらに加速。逃げ場を失った敵に、四人の総攻撃が叩き込まれた。 《結末》 黒い天狗は、最後の一撃まで沈黙を守っていた。 肉体を焼き切られ、衝撃波に打ち砕かれた定義未詳-弐型は、ゆっくりと塵となって夜空に溶けていった。領域「DISTANCE」が消え、再び白濁した空が戻ってくる。 「ふぅ……。骨まで疲れたぜ」 サンズが地面に大の字になる。マイクは満足げに笑い、ハンスは静かに銃を収めた。そして、10秒カップ麺は静かに浮遊し、元の無機質な佇まいに戻っていた。 《その後の本部の運命》 勝利の報告が本部に届いた瞬間、最悪の事態が起きた。 定義未詳-弐型という「定義」を失ったことで、世界に適用されていた物理法則の均衡が崩壊し始めたのだ。本部の建物は、重力の反転と空間の捻じれにより、ゆっくりと、しかし確実に空へと吸い込まれ、バラバラに分解されていった。生存者はいたが、拠点としての機能は完全に喪失。彼らが帰るべき「家」は、もうどこにも存在しなかった。 MVP:10秒カップ麺 (運命:本部の崩壊後、漂流する瓦礫の中で唯一の安定した物体として、生き残った者たちの精神的な拠り所(および非常食候補)として崇められることとなった)