序盤:廃墟の影に潜む脅威 燻んだ廃墟の空気は重く、焦げた石畳が足元で軋む。中世の城塞を思わせる崩れた壁と、煙たく淀んだ霧が視界をぼやけさせる。宮森愛香は黒いメイド服の裾を軽く払い、桃色の髪を揺らしながら周囲を警戒していた。彼女の双剣『紅恋想蕾』は鞘に収まったまま、しかしその刃にはすでに妹・花音への想いが静かに灯り始めている。一方、凰牙は緑の拳法着を翻し、筋骨隆々の体躯を低く構え、金色の三つ編みが背中で揺れる。幼少期のヒーローへの憧れが、彼の瞳に冷静な光を宿していた。 「ふむ、ここは油断なりませんな。愛香、君の目は鋭い。俺が前を進むよ」凰牙が穏やかに声をかけ、愛香に微笑む。愛香は一瞬、ヤンデレの影を覗かせる瞳で彼を睨みつけたが、すぐに敬語で返す。「ご主人様をお守りするのが、私の務めですわ。花音の為に、私は絶対に帰らないと……」二人は互いに敵対せず、協力して廃墟の奥へと進む。霧の向こうから、かすかな弓弦の音が響いた。 突然、影からぼやけた人影が現れ、矢が放たれる。愛香の肩をかすめ、石畳を砕くほどの威力で地面を貫いた。「くっ、何ですのこれは!」愛香が素早く身を翻し、双剣を抜く。凰牙は即座にステップを踏み、鍛え抜かれた脚で跳躍。「お嬢さん、危ない! 俺が引きつける!」彼の前蹴りが空を切り、矢の軌道をわずかに逸らすが、射手はすでに霧に溶けていた。二人は息を潜め、奇襲の主を睨む。影の目に映るぼやけた弓使いの姿が、廃墟の闇に不気味に浮かぶ。