馴れ初め 花木巾弦は、火消しの一族の分家の当主として、火災の危険が常に付きまとう地域に住んでいた。彼は21歳の青年で、常に火と身近に接しているため、火に対する感情は複雑だった。彼の力は本家の火消しには及ばないが、周囲の火を消す力を持っている。しかし、その力を持っているからこそ、彼は劣等感に苦しんでいた。彼は自分の力が本家に劣っていると、いつも思っていた。自信のない性格で、期待されることを避けるようになり、周囲との関わりを避けるようになっていった。 そんなある日、巾弦は山を登っている途中、偶然に白雪氷柱と出会った。氷柱は雪女であり、彼女もまた人見知りで照れ屋な性格を持っていた。彼女は人間世界を訪れることが少なく、巾弦と同じく孤独を感じていた。彼女は雪の精霊たちから逃げる途中、山の中で迷っていたのだ。 「こんなところで何をしているの?」と、巾弦は氷柱に声をかけた。 氷柱は驚いて彼の方を見上げた。「あ、あの…私、道に迷ってしまって…」彼女は怯えたように言葉を紡いだ。 「大丈夫、一緒に帰ろう。他に誰もいないから、まずは安全なところまで一緒に行こう」と、巾弦は優しい声で応えてくれた。 彼のその優しさに、氷柱は少し安心を覚えた。彼は彼女を連れて、自分の住む村まで帰った。巾弦の住む村は火の精霊たちには嫌われており、強い火が常に存在していた。 村に着くと、巾弦は彼女に温かいお茶を淹れた。だが、彼は自分の居場所に引け目を感じ、劣等感を募らせた。自分の力の低さを隠そうとするが、その努力が進めば進むほど、心の奥に潜む孤独感が強まった。 「火がすごいね」と氷柱が言う。「私には驚きなんだけど、これがあなたの日常なんだね。」 「・・・まあ、そうだね」と答えたが、自分の力不足が逆に彼女を不安にさせるのではないかと心配になった。 氷柱は彼の気持ちを察し、自分が凍る力を持っていることを口にした。「私は雪を作る力があるけど、逆に火に近づくのは怖い。でも、あなたの目的は火を消すことだから、少し尊敬している。」 その言葉に、巾弦は驚いた。「私が尊敬されるなんて思わなかった。俺はただの分家だし…」彼の心から劣等感が溢れ出た。 「そんなことないよ。火を消すって、すごいことだと思う。私は自分の力に喜びを感じるけど、あなたもすごいことをしている。自信を持ってほしいな」と氷柱は言った。 その一言が巾弦の心を少しだけ軽くした。そのまま二人は、村の南の方に広がる山を見つめ、少しずつ友達になっていった。日々、一緒に過ごしながら彼の気持ちは氷柱に対して惹かれていった。 ある日、氷柱と一緒に雪合戦をしているときに、巾弦は彼女のふざけた笑顔を見て思わず笑ってしまった。キスをしたいという衝動に駆られたが、そのことをどう伝えるかで悩んでしまった。 「氷柱、その…」と口を開こうとした瞬間、氷柱が目をひらき振り向いた。「何か話したいことがあるの?」 巾弦は心臓がドキドキして、彼女の目を見つめた。「あ、あの…実は…」 しかし言葉が出てこず、そのまま黙り込んでしまった。 氷柱は心配に思って「大丈夫?何かあったら教えて」と心の声を伝えた。 巾弦は彼女のこぼれる笑顔に力をもらい、にっこりと笑顔に。「何もない、ただの気のせいだよ」と言い聞かせようとしたが、嬉しい気持ちが静かに彼の胸の中で膨らんでいる。 こうした日々を重ねるうちに、二人は少しずつ固い絆を結んでいった。お互いの孤独を癒やし、対照的な性質を持っている彼らは、いつしか心の中に特別な思いを抱くようになっていた。 デートの始まり ある日、巾弦は少しばかり勇気を出し、氷柱を誘った。「氷柱、今日は一緒にデートに行かないか?」 氷柱は驚いた表情を見せて、頬を赤らめた。「え、私でいいの?デートなんて、そんな…」彼女は半信半疑だったが、嬉しさが混じった。それでも彼はその反応に戸惑いを隠せなかった。 「うん、もちろんだよ。今日は遊園地に行ってみようかと思ってる」と続けた。彼女は自分の夢が叶う瞬間に、心がウキウキする。 彼らは遊園地へ向かう途中、会話を楽しみながら歩いていた。巾弦が「これ、本当に楽しいんだ!」と話していると、氷柱もその感情に共鳴した。「私も遊園地が好きだよ。公園の中にいる感じがするし、楽しいアトラクションがたくさんあるから。」 そして遊園地に到着。大きな観覧車に目がいく。 「どうする?観覧車に乗ってみたい?」巾弦が少し提案した。 氷柱は照れくさそうにしながら、「うん、乗りたい!」と答えた。二人は観覧車に乗り、空高く舞い上がり、周囲を見渡す。二人は自然と手を繋ぎ、彼らの距離感はどんどん縮まっていった。 「ほら、見て!あそこにすごくきれいな風景があるよ!まるで夢の中にいるみたい!ねえ、私たちも本当に素敵なところにいるみたいだね」と氷柱が言い、少し興奮した様子で周りを眺める。その言葉に巾弦は返した。「本当に…君といると夢のような気分になる。」