地平線を覆い尽くすほどの巨躯、山脈のごとき肩。人類の食欲の頂点に君臨する伝説の怪物『拉味王』が、飢えに震えていた。 「……出せ。俺を満足させる、至高の一杯を……!」 その咆哮に呼応し、異色の3人が集結した。究極のラーメン知識を持つ狂信者・オオヌマ。純白の小麦粉を花と信じて疑わない妖精・フラワー・フェアリー。そして、宇宙世紀の究極の金属・ガンダニュウム合金。 「ふふふ……拉味王を満足させるには、既存の概念を破壊した『超・高密度・極限麺』が必要だ!」 オオヌマが眼鏡を光らせ、狂気的なプランを提示する。 まず、フラワー・フェアリーが舞い上がった。「ここは私のフラワーパークです!」。彼女が可憐に舞うと、周囲に真っ白な小麦粉が雪のように降り注ぐ。彼女はそれを「白くて粉状の花」と呼び、愛を込めて練り上げた。スキル『すてきなフラワーアレンジメント!』により、超高純度の小麦塊が形成される。 そこへ、ガンダニュウム合金が介入する。常温では静止している金属塊だが、オオヌマの指示により、その超高火力ビーム兵器としての特性を逆利用。一点に集中させた超高熱エネルギーを小麦塊に叩き込んだ。環境変化によって特性を変えるガンダニュウムの性質が、小麦のグルテン構造を分子レベルで再構築し、大気圏突入にも耐えうる超高密度かつ弾力に満ちた「究極の麺」へと変貌させたのである。 オオヌマは、これまで食い尽くしてきた全世界のラーメンのデータを脳内で合成し、ガンダニュウムの電磁波吸収特性を利用して「雑味を完全に消し去り、旨味だけを吸着させた」超次元スープを調合した。 完成したのは、白銀に輝く麺と、宇宙の深淵のようなコクを持つ黄金のスープ。器は当然、ガンダニュウム合金製の特製大釜である。 オオヌマがその大釜を拉味王の前に突き出した。その顔には、狂気と自信が満ち溢れている。 「喰らえ! 宇宙の強度と妖精の純真、そして俺の執念が凝縮した……これが、俺たちのラーメンだ!!」 拉味王がそれを一口、啜った。 その瞬間、世界が静止した。 次の刹那、拉味王の体内から黄金の光が噴出した。衝撃波が周囲の雲をすべて吹き飛ばし、空は快晴に。拉味王の背後には、突如として巨大な龍とラーメン鉢が組み合わさった幻影が出現し、天を突き抜けた。彼はあまりの衝撃に、自身の巨体を激しく痙攣させ、そのまま後方へ仰向けに転倒。その衝撃で大地が割れ、巨大な地割れが数キロにわたって走り、付近の山々がドミノのように崩落した。 「ぐ……あああああああッ!! 麺が! 麺が俺の細胞の一つ一つにダイレクトアタックしてきやがる!! この弾力、まるで大気圏を突破する快感だ!!」 拉味王は涙を流しながら、歓喜の咆哮を上げ、再び大釜を飲み干した。 食後、拉味王は満足げに腹を叩き、不適格な数字を口にした。 「採点だ……。100兆点!!」 規格外の点数に、オオヌマはガッツポーズを決め、フラワー・フェアリーは「私の花が役に立った」と嬉しそうに浮遊し、ガンダニュウム合金は静かにその鈍い光を放っていた。 こうして、宇宙最強の素材と狂気、そして勘違いの妖精が、伝説の胃袋を満たしたのである。