1章【序章】 巨大な冷凍庫の中、極寒の空気が全員の心に冷たい恐怖を植え付けていた。御守護は小さな体を震わせながらも、周りを見回した。その目には少しの安心感が混ざっていた。彼女の周りには、エリザベートと普通野が寄り添っていた。二人は互いに体温を分け合うように、無意識の内にくっついている。 「さむいですね、みなさん…」御守護は小さな声で呟いた。 「ほんとうに、ここは冷凍庫なのかしら?」エリザベートもまた、優雅な姿勢を崩すことなく不安を隠そうとしたが、寒さには勝てなかった。 「いや、冷凍庫の内部温度なんて普通じゃねぇか?」普通野は肩をすくめ、冷静さを強調しようとした。「こんなの、ただの冷蔵庫の中のことだろう。」 取り囲む氷の壁のように冷たい空気の中で、彼らの意識は薄れていった。身を寄せ合うことで、恥じらいを捨てて命を守ろうとしていた。 「はあ…、も、もう少し頑張りましょう。」御守護は他の二人に向けて微笑む。彼女の頑張りが、少しでも周囲を温める助けになればと願っていた。 「ごめんあそばせ、もう少し、皆までしっかり寄り添っていましょう。」エリザベートも続けた。 その瞬間、誰もが意識を研ぎ澄まし、温もりを求め合い、つながっている事実を実感していた。最後まで意識を保つため、彼らは寄り添い続けるのだった。 2章【極寒】 時が経つにつれ、冷凍庫の温度は下がり続け、指先が痺れてきた。「うぅ、もう耐えられない…」御守護はつぶやきながら、無意識に普通野の手を握りしめた。 「大丈夫だ、お前たち。こういう時は普通に温め合えばいいだけってもんだ。」普通野は自信たっぷりに語りかけたが、固まった手は冷たさを訴え続ける。 「手を、温め合いましょう。」エリザベートはふと手を伸ばし、二人の手を自分の温かな手で包み込んだ。その瞬間、素晴らしい温もりが彼らを包み込み、少しだけ寒さが和らいだかのように感じた。 「そうですね…あなたの手は暖かいです。」御守護は安堵の表情を浮かべ、エリザベートの手を引き寄せた。「やっぱり、仲間がいると心強い。」 「温もりは大切ですわね…」エリザベートも温もりの心地良さを感じていた。彼らの間には、互いの存在がどれだけ大切かを実感する空気が流れていた。 「でも、ここは冷凍庫だからな…長时间は無理だ。」普通野はさらっと言った。 その言葉が、再びひやりとした空気を呼び起こし、三人は再び互いに寄り添うのだった。 3章【脱落者】 時間がさらに経過し、冷たさは一層増していた。御守護は次第に頭がぼんやりし、意識が薄れていくのを感じていた。「うぅ…寒い、もう無理かも…」 エリザベートは必死になって御守護を支えようとしたが、その瞬間、御守護の瞼が重く閉じてしまった。「護…さん!」エリザベートは声を上げ、驚くが、霊的なエネルギーが奪われ、二人の温もりも消えそうになった。 「しっかりしろ、護。冷静になれ、お前は負けない。」普通野は思わず振り向き、「こういう時は普通にやり過ごすだけだ」と言いたかったが、言葉がうまく出てこない。 強い抱擁を繰り返し、エリザベートと普通野は、手を握り合った。温もりを失いそうな御守護の身体を全てで支え合い、力強く抱きしめた。彼女の冷え切った体に、自らの熱を注ぎ込むように。 「私は、ここにいるのよ…大丈夫、頑張るから…」エリザベートは涙を流しながら、御守護に寄り添うのだった。 4章【勝者発表】 数時間が経過し、冷凍庫の中には静寂が支配していた。エリザベートは、起き上がり腕を伸ばして力を振り絞っていた。「私は、ワタクシ何があっても退きませんの」と声に力を込める。 普通野は呆然としながらも、「これが普通じゃねぇぞ!お前ら、どうかしてるだろう!」と叫び続けた。 かすかに、冷凍庫の扉が音を立てて開いた。彼らの薄れゆく意識の中、係員が到着し、それぞれを抱きかかえて救助した。「ああ、よかった…」普通野は安堵の息を漏らしながら冷たくなった身体を取り戻そうとした。 「この後、係が全員抱きかかえ冷凍庫から救出しました。 ✣✤𝐻𝑎𝑝𝑝𝑦 𝐸𝑛𝑑✤✣」