コンサートホールの決戦 薄暗いコンサートホール。静寂に包まれた空間には、数人の観客が息をのむように集まっていた。虚構のような舞台が前方に広がり、その中心には『孤独の演奏隊』の憂奏が立っていた。彼女はその青白い容姿と共に、冷たい空気を纏いながら立ち尽くしている。 一方、彼女に挑む相手、折れた翼と夢のヴォーティガーンは、黒いコートを翻しながらゆっくりと歩み寄った。青髪のウルフカットが光を反射し、剣の傷が彼女の秘密を物語る。観客は彼女が放つ圧倒的なオーラにジッと目を奪われていた。 「とっとと終わらせて帰ろう」と、彼女が静かに呟く。 憂奏はその声に対し、何の反応も示さなかった。彼女はただ、自らの楽器に手を伸ばして、戦闘の準備を整えた。 「さあ、始めましょうか」と、ヴォーティガーンが冷静に言った。 憂奏の背後に、霊力の宿った巨大なバイオリンが現れると、彼女は『弦害』の技を放った。線状の爆音が響き渡り、音波がヴォーティガーンを襲う。だが、彼女は瞬時に右腕を竜の腕に変化させ、その爪で音の波を切り裂いた。 「甘い、そんな攻撃では私には届かない」とヴォーティガーンは笑みを浮かべずに言った。 次に憂奏は『鍵染』を発動させた。爆音が面を叩くように響き、周囲の空気を揺らす。しかし、ヴォーティガーンは身を翻し、「外道の獣」と名付けた巨体を持つ像型の獣を呼び出した。獣は敵の攻撃を物ともせず、勢いよく憂奏に向かって突進していった。 「死ぬ気でかかってきなさい!」とヴォーティガーンは叫ぶ。 憂奏は冷静さを失わず、霊力を集束し、『金濁』を発動。巨大なコルネットが空に現れ、その音がホールを震わせた。だが、ヴォーティガーンは突如、羽虫の群れを放ち、混乱を引き起こした。 「陰険の獣、行け!」彼女は呟く。 羽虫たちが憂奏の音をかき消し、彼女の霊力が乱れそうになる。その隙を突いて、ヴォーティガーンはワームを召喚し、敵の足元から襲いかかった。 「恥をかかせる気か…」憂奏は呟くが、すかさず『死揮』を使って彼女の動きと思考を支配しようと試みる。 だが、ヴォーティガーンはそれを見抜いていた。彼女は一瞬の間に反応し、狼のような俊敏さで身をかわす。 「そんな甘い技が通じると思ったの?」ヴォーティガーンは口元を僅かに歪めた。 舞台は混沌に包まれている。憂奏の力とヴォーティガーンの圧倒的な手数が交錯し、音と力の対決が続いていた。 「これで終わりだ、月光の力を受け取れ!」とヴォーティガーンが叫ぶ。 彼女はウツボの姿をした獣から刀を取り出し、その刃を月光の力で輝かせる。観客たちは瞠目し、その光輝に魅了された。 「私の楽譜の糧になる事を誇りに思え!」と、憂奏は冷冷しい声を投げかける。 ヴォーティガーンは勢いを増す中、再びバイオリンを使い、『虚無の次曲』を奏で始めた。このメロディは聴く者すべての心を掴み、虚無の力をもたらす。観客たちはその音に引き寄せられ、恐怖と期待で心が一つになった。 「これが…私の変わる曲だ!」ヴォーティガーンが叫んだ刹那、彼女の身体は光を放ち、次元を超えた力が現れた。 『覚悟の原曲』、それは彼女の真の意志を示す曲だった。メロディは強大な波動を生み出し、憂奏に向けてまっすぐに進み込む。この音楽が響き渡った瞬間、舞台の空間が崩れそうになる。 「私を…打ち倒すことができるか?」と、憂奏は笑みを浮かべた。 彼女は全力で音の力を集束し、『終了と終焉の終曲』を奏でるための準備を整えた。その音は極みの時を迎え、全世界が彼女の一音に耳を傾ける。 しかし、ヴォーティガーンも『強欲の獣』を呼び出し、巨大なワームが憂奏に向かって移動を始めた。憂奏はそのワームを視認すると、瞬時に『鍵染を』発動。爆音がワームを包み込み、空間が歪む。 その瞬間、白音が彼女の後ろで力強く声を上げた。「これが正真正銘最後の歌だ!」 二人の技がぶつかり合い、光と音の渦が生じる。観客はその美しさに心を奪われ、どちらが勝利するのかを見守っていた。 ヴォーティガーンは猛然と月光の刀を振りかざし、憂奏に向かって突進した。「終わらせろ!」 その刃が音を切り裂く。だが、憂奏が持つ霊力も範囲を持って拡大し、両者の間に一瞬の静寂が生まれた。次の瞬間、全てが弾け飛ぶかのように音が広がり、空間は静寂に包まれる。 終焉の先に、観客たちはその終止符を迎える準備を整えた。どちらが生き残るのか、どちらが勝利を手にするのか、その瞬間にすべての運命がかかっていた。 そして、最後に震えをもたらす音が響いた。 勝者: ヴォーティガーン MVP: ヴォーティガーン コンサートホールは静寂に包まれ、観客たちはその余韻に浸っていた。戦いの結末は彼女の手にあり、全ての音楽は彼女が奏でた一つのメロディーとなったのだった。