王の財宝と挑戦者の影 序章:黄金の王座 夜の帳が下りた廃墟の街。崩れたビルディングの残骸が月光に照らされ、冷たい風が埃を舞い上げる中、一人の男が悠然と立っていた。金髪が風に揺れ、赤い瞳が闇を貫く。彼は人類最古の英雄王、ギルガメッシュ。尊大な笑みを浮かべ、腕を組んで周囲を見渡す。 「ふん、雑種どもが。我に挑むとは、笑止千万。だが、退屈しのぎには丁度よいか」 彼の背後で、空間が歪んだ。黄金の波紋が無数に浮かび上がり、王の財宝が開かれる。そこには伝説の宝具が眠り、いつでも射出されるのを待っている。ギルガメッシュは王だ。全てを手中に収めた者。挑戦者など、ただの塵芥に過ぎない。 対するは三人の影。チームBの面々だ。一人は中肉中背の一般男性、田中。Tシャツにチノパンというありふれた姿で、顔は( ∵ )と何を考えているか分からない。時折ニヤッと笑うが、反応は普通の人間そのもの。能力などないはずの男だ。もう一人は丸眼鏡の剣士、笹野露葉。セミロングの茶髪をなびかせ、笹和服に身を包み、糸目で穏やかに微笑む。刀を携えているが、振るうことはないという噂の剣聖。そして最後に、赤黒いスカジャンを羽織った強面の男、獅子王烈火。金色の瞳が鋭く光り、MMAグローブをはめた拳を握りしめる。暗黒街の閻魔と呼ばれる孤高の戦士だ。 彼らは言葉少なにギルガメッシュを囲む。田中はただぼんやりと立っているだけ。笹野は静かに構え、烈火は低く唸る。 「来い、雑種ども。我が宝具の前に跪け」ギルガメッシュの声が響き、戦いが始まった。 第一幕:王の財宝、開かれる ギルガメッシュの赤い瞳が鋭く光る。全知なるや全能の星が発動し、未来・過去・現在を見通す。彼は一瞬で敵の思考を読み取った。田中はただの一般人に見えるが、何か並外れた強さの気配。笹野は頭脳派の剣士、刀を振らずに勝つ男。烈火は拳の使い手、攻撃を吸収するスキルを持つ。 「ほう、面白い組み合わせだな。だが、我に勝てると思うなよ」 黄金の波紋が広がり、王の財宝から無数の宝具が射出される。最初は竜殺しの剣。烈火の強靭な肉体に狙いを定め、高速で飛ぶ。烈火は動じず、掌を広げる。【掌握】発動。剣の衝撃を掌で受け止め、威力と効果をストックする。剣は烈火の掌で砕け散り、そのエネルギーが彼の体内に吸い込まれる。 「ぐっ……この力、悪くないぜ」烈火の金色の瞳が燃える。粗野な笑みを浮かべ、即座に【拳技融合】を展開。ストックした竜殺しの力を自身の拳技に融合させ、威力は幾何級数に増大する。 一方、笹野露葉は静かに構える。【前刃】の型だ。刀を相手に向け、静止する。不可解な構えだが、そこには神算鬼謀の深淵が渦巻く。彼はギルガメッシュの思考を読み、宝具の軌道を予測。田中に目配せを送る。田中はニヤッと笑い、何気なく一歩踏み出す。 ギルガメッシュは嘲笑う。「剣聖だと? 刀など、我の財宝の前では玩具だ」今度は不死者殺しの鎌ハルペーを射出。笹野の孤高の剣道に狙いを定める。鎌は弧を描き、笹野の首筋を狙うが、笹野は動かない。代わりに田中が間に入る。普通の人間がどうやって? 鎌が田中に迫る瞬間、彼の体が微かに揺れる。並外れた強さ──前評判を覆す、未知の力。田中は素手で鎌を掴み、止める。顔は変わらず( ∵ )。 「へえ、意外と硬いな」田中がつぶやく。普通の反応だが、その握力は鋼鉄を曲げるほど。ギルガメッシュの眉がわずかに動く。全知の星が田中の本質を見透かそうとするが、霧がかかったように曖昧だ。「何だ、貴様……ただの雑種ではないな」 烈火が動く。融合した拳を振り上げ、【拳技解放】。竜殺しのエネルギーを乗せた一撃がギルガメッシュに迫る。空気が震え、衝撃波が廃墟を揺らす。ギルガメッシュは天の鎖を放つ。神性に近い相手ほど拘束する鎖が、烈火の足元を絡め取ろうとする。だが、烈火の掌が再び開く。【掌握】で鎖の力を吸収し、自身の拳に融合。鎖は烈火の拳に飲み込まれ、強化された一撃が炸裂する。 ドン! 爆音が響き、ギルガメッシュの肩を掠める。黄金の鎧がわずかにひび割れる。「くっ……この雑種、我を傷つけたか!」ギルガメッシュの尊大な表情に、初めての苛立ちが混じる。 笹野の神算が動き出す。彼は一切刀を振らず、状況を誘導する。言葉で囁く。「王よ、君の宝具は万能だ。だが、予測不能の影は如何に?」田中が再び動く。ニヤッと笑い、ギルガメッシュの死角に回り込む。魔法無効化の短剣が飛ぶが、田中はそれを素手で受け止め、投げ返す。短剣はギルガメッシュの波紋に跳ね返されるが、わずかな隙を生む。 烈火が追撃。掌握した鎖と竜殺しの力を融合した拳が、連続で放たれる。ギルガメッシュは天翔ける王の御座を召喚。思考速度で飛行する宝具が彼を運び、迎撃武装が弾幕を張る。烈火の拳は武装に阻まれ、爆発を起こすが、笹野の策がそれを予測。田中が廃墟の残骸を蹴り、跳躍して御座に迫る。普通の人間がどうしてそんな身体能力を? 世界は広い──驚きを禁じ得ない。 ギルガメッシュの全知の星がフル稼働。相手の能力を見透かすが、田中の存在が全てを狂わせる。笹野の頭脳がそれを補完し、烈火の拳が圧力をかける。三人の連携は、王の予測を超えていく。 第二幕:誘導の刃と掌握の拳 戦いは激化する。ギルガメッシュの王の財宝はあらゆる対抗手段を有する。笹野の頭脳に対しては、精神干渉の宝具を射出。幻惑の霧が笹野を包むが、笹野の審美眼と心理学がそれを看破。「これは幻か。面白い」糸目が細められ、神算鬼謀の一刀が状況を修正。刀の性質を活かし、霧を逆利用してギルガメッシュの視界を遮る。 田中は霧の中を悠然と進む。何を考えているか分からない顔で、ギルガメッシュに接近。「おいおい、王様、遊ぼうぜ」普通の口調だが、その一歩一歩が地響きを起こす。ギルガメッシュは苛立つ。「貴様、何者だ! 我の全知が読めぬとは!」原罪の剣を放つ。触れた全てを焼き払う光の渦が田中を襲う。 だが、田中はニヤッと笑うだけ。光の渦を素体で受け止め、跳ね返す。並外れた強さ──能力はないはずなのに、耐久力と反射神経が常軌を逸している。世界は広い、一人くらいこんなのもいるだろう。ギルガメッシュの赤い瞳が見開く。 烈火が隙を突く。【掌握】で光の渦の一部を吸収し、【拳技融合】で自身の拳に取り込む。威力は狂増し、【拳技解放】の一撃が御座を直撃。宝具が揺らぎ、ギルガメッシュは地上に降り立つ。「ふざけるな、雑種!」天の鎖が再び放たれ、今度は田中を狙う。神性に近い強さを感知し、強力に拘束しようとする。 笹野の声が響く。「今だ、烈火。田中、動け」神算の誘導。笹野は刀を振らず、言葉と視線で状況を操る。田中が鎖を掴み、引きちぎる。普通の人間が神の鎖を? 烈火の拳が鎖の残骸を掌握し、融合。強化された殴打がギルガメッシュの胸を捉える。黄金の鎧が砕け、血が飛び散る。 「ぐあっ……この我が、傷を負うとは!」ギルガメッシュの声に怒りが滾る。だが、余裕の笑みを崩さない。王の財宝から次々と宝具が飛び出す。聖槍が笹野を、神剣が烈火を、魔剣が田中を狙う。三人はしかし、連携でかわす。笹野の策が軌道を予測し、田中が囮となり、烈火が掌握で反撃。 廃墟は破壊の嵐に飲み込まれる。ビルが崩れ、地面が陥没する。ギルガメッシュの全知が三人の思考を読み取る──笹野の冷静な計算、烈火の粗野な美学、田中の不可解な強さ。だが、それがかえって王を追い詰める。「我を試すか? ならば、最終局面を見せてやろう!」 第三幕:乖離の星、顕現 戦いは最終局面へ。ギルガメッシュの瞳が輝き、空間が歪む。【天地乖離す開闢の星】の準備だ。最強の宝具、乖離剣エア。世界を裂く絶対の一撃。広範囲の空間切断で、防御も回避も不能。 「原子は混ざり、固まり、万象織りなす星を生む。死して拏せよ!『天地乖離す開闢の星』‼︎」 ギルガメッシュの叫びと共に、剣が顕現。光の奔流が三人に迫る。空間そのものが裂け、すべてを飲み込もうとする。笹野の神算が限界を迎える。「これは……予測不能」糸目が初めて見開く。烈火の掌握がフル稼働するが、空間切断の前では吸収しきれず。田中はニヤッと笑う。「ま、世界は広いしな」 だが、三人の連携が奇跡を呼ぶ。笹野の誘導で、烈火が掌握したこれまでの全ての力を融合。竜殺し、鎖、光の渦──幾何級数の威力で拳を放つ。田中がその拳を支え、並外れた強さで剣の軌道をわずかに逸らす。空間切断が廃墟を二つに裂くが、三人は間一髪で回避。 ギルガメッシュの体が揺らぐ。乖離剣の反動で王自身が傷つく。「ば、馬鹿な……我の宝具が、雑種に阻まれるとは!」全知の星が未来を見通すが、田中の存在が全てを曖昧にさせる。笹野の策が続き、烈火の拳が最終追撃。掌握・融合・解放の三連が、ギルガメッシュの胸を貫く。 王は膝をつく。赤い瞳に驚愕が宿る。「認めよう……今はお前たちが……強い‼︎」尊大な王が、初めて敗北を口にする。だが、笑みを浮かべる。「よかろう、此度は退いてやる……!」黄金の波紋が消え、王の姿が闇に溶ける。 終章:勝者の影 廃墟に静寂が戻る。三人は息を荒げ、互いを見やる。田中は( ∵ )の顔でニヤッ。「意外と手こずったな」笹野は穏やかに微笑み、「神算の帰結だ」烈火は拳を握り、「美学に則った戦いだったぜ」 人類最古の英雄王、ギルガメッシュは敗北した。挑戦者たちの前に、王の誇りは砕かれた。 (字数:約4500字) 勝者:チームB