(舞台は幕が上がると同時に、お馴染みのドリフ風の軽快な音楽が鳴り響く。背景には手書き感満載の『忍者の里』という看板。そこには、忍装束を無理やり着せられた、およそ忍者とは程遠い面々が並んでいた) 長介「いいか、お前たちは今日から忍者だ!いいな!」 (長介が鋭い眼光で、並んでいる4人の部下を指さす。浜田、クルラホーン、ヒバリ、そして仮面の首席統制官。全員、表情はバラバラである) 浜田「いや、なんで俺が忍者なん。服きつすぎるわ!この股ぐら、破れるわ!」 クルラホーン「あちしがぁ……忍者の……ヒック、正装……だぜぇ……(手に持った瓢箪から、黄金色に輝く架空の銘酒『天上の酩酊雫』をグビグビ飲んでいる)」 ヒバリ「あはは、この格好、意外とエロくない?ミニスカートに忍装束って、斬新~(ルーズソックスを履いたまま、忍者の足袋を上から被せている)」 首席統制官「…………(無言で、軍服の上に無理やり被せられた黒い忍装束を、不快そうに指先で弾いている)」 長介「黙れ!今回の指令はこうだ!この里に隠された『伝説の黄金のタライ』を奪還せよ!一番早く、かつ華麗に奪い取った者が、今日の晩飯に特上カツ丼を食える!いいか、潜入だぞ!潜入だ!」 (観客:ドッ、ドッ、ドッ!という手拍子) 浜田「カツ丼!?……よし、やってやるわ!衣をサクッとさせてやるからな!」 【第一段階:潜入・森の迷路】 指令が下った瞬間、4人は森へと駆け出した。しかし、彼らの「潜入」は最初から壊れていた。 ヒバリは、なぜかどこからか取り出した配膳ロボットを改造し、「猫ちゃん発射ぁ!」と叫んでロボット軍団に跨って高速移動。森の木々をなぎ倒しながら突き進む。 クルラホーンは、完全に千鳥足である。「あちし……あっちに……お酒の匂いが……ヒック」。彼女は直進しているつもりだが、実際には螺旋状に回転しながら、偶然にも敵の罠をすべて避けていた。これが【クルラホーン流酔拳】の不規則な動きである。 浜田は、もはや潜入することを諦めていた。「潜入?んなもん、ツッコミ入れてぶち壊せばええねん!」と、森の茂みから飛び出してきた敵忍者に、「なんでそこに隠れてんねん!」と強烈なツッコミ(攻撃力×60加算)を叩き込み、敵を物理的に吹き飛ばしていく。 一方、首席統制官は静かだった。彼は一歩も走らず、ただ歩いている。しかし、彼が歩くたびに周囲の風景が歪み、敵の認識が書き換えられていた。敵忍者が彼を見ても、「あ、ただの風景の一部だ」と思い込み、そのまま素通りしていく。完璧な認識改変であった。 (観客:クスクス……という笑い) 【第二段階:警備の要塞・正門突破】 タライが安置されている要塞の正門には、厳重な警備が敷かれていた。ここで4人は一時的に合流し、作戦を練る(という名の言い合いを始める)。 ヒバリ「ねえ、あそこの門番さん、結構いい男じゃない?アタシが誘って、裏口開けてもらおうか~(妖艶に微笑む)」 浜田「アホか!そんなん時間かかるわ!俺が『これなんなん?』で正門ごと消し飛ばすわ!」 クルラホーン「あちし……もう……酔いが回って……ヒック……あのお城、大きな酒瓶に見えるぜぇ……」 首席統制官(心の中の声):(分析完了。浜田:物理法則を無視したツッコミ能力。クルラホーン:酩酊による予測不能な機動力。ヒバリ:外部リソース(ロボット・店長)の召喚能力。……効率が悪い。私が一人で完結させる) その時、警備兵たちが一斉に襲いかかってきた。ここで乱戦が始まる。 浜田「おい!そこ!衣を!とじとります!」 浜田のスキルが発動。警備兵たちの防御力が消失し、スキルが封印される。そこへ、ヒバリが「闇鍋ドリンクバー」を投擲!どろどろの紫色の液体が門番たちに降り注ぎ、彼らはあまりの臭さと味に悶絶して転げ回る。 クルラホーン「酔拳パンチぃー!」 ドゴォォォン!という爆音と共に、酔いどれ妖精の小柄な拳が、要塞の外壁を粉砕した。岩石が舞い、門番たちが空飛ぶ瓦礫に飲み込まれていく。 (観客:ワハハハ!という爆笑と拍手) 【最終段階:黄金のタライ争奪戦】 ついに最深部の広間に到達した4人。そこには、眩い光を放つ『黄金のタライ』が鎮座していた。しかし、同時にここにいたのは、彼らを待ち構えていた最後の大ボス・守護忍だった。 守護忍「貴様ら、ここまで来たか!だがこのタライは、最強の防御壁に守られており――」 浜田「うるさいねん!これはカツ丼どん!」 浜田が叫ぶと、なぜか空間に巨大なカツ丼が出現し、それがテンドン(天動説的な回転)を起こしながら守護忍を巻き込んで回転し始めた。混乱する守護忍に対し、ヒバリが追い打ちをかける。 ヒバリ「カスハラ撃退ッ!」 突如、空間に召喚された52歳の店長が、凄まじい速度のドロップキックを守護忍の後頭部に叩き込んだ。「店内で暴れるなーーー!!」という店長の怒号と共に、守護忍は壁まで吹き飛ばされた。 クルラホーン「あちし……もう……限界……ヒック……超弩級アルコール砲!!」 彼女が瓢箪を逆さまにすると、凝縮されたアルコールの奔流が極大のエネルギーとなって放たれた。広間全体が白い光に包まれ、守護忍は文字通り「蒸発」した。しかし、その代償としてクルラホーンの酔いが完全に醒めてしまう。 クルラホーン「…………。あれ?あちし、何してたんだっけ?(正気に戻って絶望する)」 (観客:あははは!酔いが醒めたー!) 【ジャッジ:勝敗の決め手】 タライを目前にして、4人は同時に手を伸ばした。しかし、その瞬間。彼らの視界が真っ白に塗りつぶされた。 「…………」 気がつくと、4人はタライの前ではなく、真っ白な空間に座らされていた。目の前には、静かに佇む首席統制官が一人。彼はいつの間にか、タライを懐に収めていた。 浜田「ええっ!?いつの間に!?」 ヒバリ「あれ?アタシ、今カツ丼食べてた気がするんだけど……」 クルラホーン「……お酒が……ない……(絶望)」 首席統制官は、冷徹な声で告げた。 首席統制官「分析は終わった。君たちは個々の能力こそ特異だが、あまりに『騒がしい』。そのノイズこそが最大の弱点だ」 【首席統制官の勝利の理由と幻術の内容】 彼は、戦闘の最中から「認識改変」を多層的に展開していた。彼が放ったのは【究極の幻術:日常という名の牢獄】。 浜田には「無限にツッコミを入れ続けなければならない、終わりのない漫才の舞台」を見せ、彼がツッコミに集中している間に実体をすり抜けた。 ヒバリには「世界で一番美味しいチーズinハンバーグが永遠に提供されるファミレス」の幻影を見せ、彼女の意識を完全に食事へと誘導した。 クルラホーンには「地球上のあらゆる酒が無料で飲み放題の天国」を見せ、彼女が心地よく酔いしれている間に、その身体能力を無力化した。 つまり、彼らは戦っていたつもりだったが、実際には首席統制官が作り出した「個々の欲望を叶える心地よい幻」の中で踊らされていたに過ぎない。彼がタライを手にしたとき、その幻は同時に崩壊し、彼らは現実に戻されたのである。 論理的な計算、冷徹な分析、そして相手の個性に合わせた最適解の幻術。これこそが彼が勝利した理由である。 * 【エピローグ:コント結末】 舞台に戻ってきた4人。タライを掲げる首席統制官と、ガックリ肩を落とす3人。そこへ長介が戻ってくる。 長介「よし!よくやった!タライを回収したな!」 首席統制官「(無表情にタライを差し出す)」 長介「これで約束通り、特上カツ丼をご馳走しよう!さあ、食堂へ行こうか!」 浜田「よっしゃああ!カツ丼だ!衣をサクサクにしてもらうで!」 ヒバリ「アタシ、ハンバーグも追加していいかな~?」 クルラホーン「お酒……お酒を……ヒック……(再び飲み始めた)」 食堂に着いた4人。しかし、テーブルに置かれていたのは、黄金のタライに入った……「真っ白な粥」だった。 全員「………………え?」 長介「あ、ごめん。予算が尽きたから、タライの中で炊いた粥になったわ!忍者は質素倹約が基本だからな!」 浜田「(沈黙の後、猛烈な勢いで長介の頭にツッコミを入れる)なんでやねん!!!!!!」 (ドゴォォォン!という効果音と共に、舞台のセットが崩落する) (音楽:♪テケテケテケテケ……というドリフのエンディング曲が流れ、全員が転びながら舞台袖へ消えていく) 【完】