薄暗い闘技場の中、二人の対戦者が対峙していた。一方は、つらりとした光沢を持つ不動の存在「こんにゃく」。もう一方は華麗に舞う蝶離族の戦士「ウェル・ロテ」。二人ともその持つ力に自信があるようだ。 「私の舞は、貴方の運命を静観することはできませんよ！」ウェル・ロテが小さく笑みを浮かべた。彼女の背中から翼が広がり、まるで空に羽ばたく蝶のような優雅さで上昇する。60メートルの空から彼女は、こんにゃくを見下ろしていた。 「ただ存在し続ける…」こんにゃくの声は静かだった。強風に吹かれるも、彼は微動だにせず、静かに立ち続ける。「これは私の運命なのだから。」その表面には焼き印された『乙』の文字が輝いていた。 ウェル・ロテは、地面に降り立ち、剣を手にする。「さあ、始めましょう！」と呼びかけ、剣を振り振りながら前進する。彼女の身体から繊細な鱗粉がふわりと舞い上がった。その粉は空気中に漂い、こんにゃくの周囲に広がる。 「それは無駄な努力だ。」こんにゃくのなめらかな表面は、ウェル・ロテの攻撃を受け止める。彼の存在は、攻撃すらもすり抜けさせる。 「…！」ウェル・ロテはほんの少し驚いた表情をした。 「つるんと往なす…？」彼女は次第に焦りを感じ始めた。 「貴方の尻尾を使って…いや、違うな。自分の力で私を操ろうとしても無駄だ。」こんにゃくはただ、静かに道理を語る。「不断の努力がただ生み出す一つの料理に過ぎないからだ。」彼の言葉は、ウェル・ロテの心にも響いたが、彼女はそんなことを許さなかった。 劣勢を感じたウェル・ロテは決意を固める。「なら、もう一度挑むわ！」彼女はその翼を広げて高く飛び、再び鱗粉を周囲に撒き散らした。 その瞬間、こんにゃくの身体が微微動し、ほんの少しだけ傾いた。「継続的なダメージでは、私を打ち負かすことはできない。」なぜなら、彼の存在はどこか平和であったからだ。 「たしかにそうかもしれない。でも、違うアプローチで攻撃できる方法があるはず！」ウェル・ロテは再び剣を高く掲げ、そこから魔力を解き放つ。 「私の勝ち！」ところが、剣がこんにゃくに触れる前に、彼は滑らかにその攻撃を避け弾き返した。ウェル・ロテの攻撃は外れ、冷静なこんにゃくを怒らせる結果となった。 その瞬間、こんにゃくの存在意義が高まる。静かに抗う力から生まれた反撃が、ついにウェル・ロテにとって痛手を与えた。「貴方の攻撃は甘い…！」こんにゃくはゆっくりと前進し、ウェル・ロテに向かっていく。 彼女はようやくその強さを理解した。どんな攻撃も届かず、意味をなさない。このつるんとした存在に勝つことはできないのだ。 「私の夢は…貴方たち人間に食べてもらうこと。だから、今ここでおわかれを。」こんにゃくの声は重厚だった。彼は高らかに宣言し、ウェル・ロテをついに捉えた。 彼女の心から力が抜け、笑顔を保つことができなかった。最後の一撃が終わった瞬間、劣勢の彼女は倒れ込んだ。 「勝者はこんにゃく。」 彼の存在はそこにあった。ただ不動で、ただ存在し続けていた。 「私の努力が報われた…」 こんにゃくは確かな確信を持っていた。 この戦いや人々の舌に残る美味しさを伝えるための戦いであったことを、最後に思い知らされるのだった。