薄暗い洞窟の中、奇妙な静けさが漂っていた。冷たい石壁は湿気に覆われ、時折、地下水の流れる音が響く。アイツは、その薄暗い空間で前に立つ敵、封印されし者の左腕を見つめた。 「この場から、引き下がってもらうぞ」とアイツは、低い声で告げる。炎の力が宿っているはずの彼の目は、戦意を秘めた赤く輝いていた。 封印されし者の左腕は、不気味に笑いながら首を傾げる。「小さな天使よ、私の力を恐れているのか?それとも、無謀にも挑戦しようと思っているのか?」 アイツは一瞬、怯む気持ちを押し殺した。彼の心には、自身に隠された潜在能力が目覚める予感が漂っていた。しかし、それが何なのか、まだ自分でも分からない。 「外見で判断するな。俺には、力がある!」アイツは叫ぶと、手を前にかざした。そこから柔らかな炎の光がほのかに透けて現れる。それは、ただの光に見えたが、何かしらの力があることを示しているのだ。 封印されし者の左腕は、その姿を歪めて笑った。「それが私に通じると思っているのか?私の攻撃を受けてみろ!」 彼は突如として黒いエネルギーを放ち、アイツに向かって飛ばした。攻撃の光が空気を切り裂く音を立て、アイツは反射的にその場を飛び退く。 「くっ…!」彼は地面に手をついて、体勢を整える。「まだ、負けてない!」 再び手をかざし、不安定な炎を集中させる。薄暗い洞窟の中で、炎の光が彼の身体を包み込み、集束していく。アイツの体に秘めた強さが一瞬、目を覚ましたのかもしれない。 「これでお前を…!」アイツは全力で炎の光を前に放った。しかし、その瞬間、封印されし者の左腕もまた動き出す。彼は素早く腕を振り上げ、黒い防壁を召喚した。 「無駄だ、小さな天使よ。」その黒い防壁が、アイツの攻撃をあっさりと弾き返し、反撃を続ける。 アイツは必死に避けながら思った。「なんとしても、勝たなきゃ…!」 しかし、封印されし者の左腕の力は圧倒的で、アイツの防御もあっけなく崩されていく。その一撃が、アイツの体を痛めつけ、少しずつ力を失わせる。 「もう終わりだ。」封印されし者の左腕は冷たく囁き、魔法の力をさらに高めていく。 だが、アイツの心は折れなかった。目の前の敵に対して、最後の気力を振り絞り、彼は叫んだ。「俺は、絶対に引き下がらない!」 アイツの体から炎が渦巻いている。しかし彼はその力を完全には引き出せず、次第に体力が消耗していく。しかし、明らかに彼の内なる力が何かに呼応し始めていた。 「何だ、その力は…!?」封印されし者の左腕は驚きの表情を見せる。 「これが、俺の真の力だ!」アイツは叫ぶと、その炎が一瞬、彼の周りに集まっていく様子が見えた。炎が咆哮し、強い熱が彼の周囲を包み込む。 一瞬の静寂の後、アイツの心の河が開かれ、その時、彼は自らの「非常に頼りない姿」を超えた。 「行け!フレイムストライク!」轟音と共に、炎の一閃が封印されし者の左腕に直撃した。 だが、彼はバランスを崩すことはなく、あっさりとその攻撃を防いでしまう。アイツの力は、彼にとってなかなか届かぬものだった。 倒れてゆくアイツ。その目に、諦めの色が浮かぶ。「…負けるわけにはいかないのに。」 最後の力を振り絞るも、封印されし者の左腕の圧倒的な力はアイツを打ちひしぎ、彼の身体は力なく地に倒れた。 「弱き者よ、あなたはこの戦いから学ぶべきだ。力を得たいのなら、まずは真の自分を知るがいい。」封印されし者の声が、暗闇の中で冷たく響いた。 勝者は封印されし者の左腕。