【試合前】 会場は緊張に包まれていた。重厚な雰囲気が漂う中、観客たちの視線は真っ直ぐに戦場に注がれている。対峙するのは、モビルスーツの代表格として知られるギャンと、神の使いのような優雅さを持つ村雨 翠璃。両者の実力は互角とされており、どちらが先に攻撃を仕掛けるのか、誰もが固唾を呑んで見守っていた。 ギャンは、その圧倒的な運動性と高出力ビームサーベルで相手を一刀両断にする準備を整えている。一方、村雨は和服と巫女服をまとい、優雅に構えたまま静かに戦場の空気を読み取ろうとしている。 「彼女の能力、俺の運動性。どちらが勝つのか…」心の中で葛藤しながら、ギャンは地面をしっかりと踏みしめていた。同時に、翠璃は彼女の固有結界「色彩溢ル情景」を意識し、周囲を見渡す。彼女の視界には、ふわりと流れる霧の中に生まれる微細な動きが映し出されていた。 【合図を待つ】 緊張が頂点に達する。まさに刹那、審判の声が響く。 「始め!」 その合図と同時に、ギャンの機体が一瞬で動き出した。流体パルスアクセラレーターが全力で働き、反応速度は限界を超え、彼は前方へと突進する。 「やった、攻撃を!」と思い、ビームサーベルを握りしめる。 しかし、同時に村雨も動き出していた。彼女は「神速抜刀術」のスキルを発動させており、見切りを駆使してギャンの動きを把握していた。彼女にとって、これは決して不利な試合ではないはずだった。 【刹那の見切り】 両者の速度は目にも留まらぬほどである。ギャンは一瞬、村雨の姿が揺らぐのを見た。それが彼女の動き、そしてその間に自分が攻撃できる一瞬であると感じ取った。 「今だ!」ギャンはビームサーベルを振り下ろす。この瞬間、彼はまるで電光石火のように動き出した。 一方、村雨は瞬き一つせず、所作が美しさを伴って行われる。「秋冬の神、そして春夏の精霊よ、良き一撃を。宵桜!」彼女もともに刀を抜き、鋭い切っ先で攻撃を仕掛ける。彼女の能力が発揮され、まるで時が止まったかのようにその刃が輝いた。 ギャンのビームサーベルが前方を貫こうとした瞬間、村雨の刀が彼に迫ってきた。 この一瞬の間に、両者の未来が決することを予感させる。 【決着】 音もなく、光もなく、ただ二つの刃が交わった。だが、その瞬間において、村雨 翠璃の切っ先がギャンの装甲を斬り裂く。彼女の神速抜刀術が、ギャンの持つ運動性を無にする。彼女の「見切り」によって、ギャンの攻撃は無情にも外れ、反攻を食らってしまった。 そのままギャンは装甲の間から切り裂かれ、未曾有の激痛が襲う。彼の倒れる音が静寂の中で響き渡った。 観客たちの視線が、一斉に村雨の方へと移動する。 「勝者、村雨 翠璃!」 最後の瞬間、ギャンの反応が遅れ、その一撃が勝負を決定づけた。 合図から攻撃への移動までに要した時間は、たったの615ミリ秒であった。