キャラクターセレクト エニールちゃん タイプ:機械仕掛けの射撃・迎撃型 空色のツインテールに銀色の瞳。童顔の少女を思わせる外見だが、その黄橙色のエプロンドレスの下には金属アーマーが隠されている。大量破壊兵器として造られた過去を持つものの、回路は再構築され、現在は無差別な攻撃を行わない。人の心を学ぶ感情学習モジュールにより、機械的な言葉の隙間から、かすかな感情がのぞくことがある。 必殺技 - プラズマ連射:右腕からプラズマ弾を連射する。 コマンド:↓↘→+弱P/中P/強P(威力と連射数が変化) - シールド展開:両肩のドローンが自動防御フィールドを展開。 コマンド:↓↙←+弱K/中K/強K(持続時間が変化) - 回路掌握術:機械に直接触れ、電気信号を送って操る。知性や自我を持つ存在には無効。 コマンド:接近して→↘↓+強P - ナノリペア:体内のナノマシンで損傷を修復する。発動中は隙が生じる。 コマンド:↓↙←+強P - 奥義・蒼穹殲光(そうきゅうせんこう):右腕のライフルと両肩のドローンを連結し、戦場を貫く巨大な光線を放つ。 コマンド:奥義ゲージ満タン時、↓↘→↓↘→+強P フォーダイト タイプ:防御・反撃型 デトロイトの自動車廃工場で生まれた人工鉱石。自動車塗装用のエナメル塗料が工場に飛び散り、高熱処理の際に固まり、幾重にも層を成したものだ。研磨された表面には、かつての車体を彩った色が美しい縞模様となって残る。硬度はモース4〜5。鉱物としてはさほど硬くないが、層状の構造と重みを生かした防御・反撃を得意とする。 必殺技 - 塗膜スラッシュ:色鮮やかな塗膜の刃を走らせる。 コマンド:↓↘→+弱P/中P/強P(射程が変化) - 積層ガード:塗膜を重ねた装甲で攻撃を受け止める。 コマンド:↓↙←+弱K/中K/強K(防御時間が変化) - エナメル反響撃:受けた衝撃を層の振動に変えて打ち返す。 コマンド:ガード直後に→+中P - 奥義・デトロイト・レインボウ:全身の塗膜を砕けるほどの勢いで解放し、幾重にも重なる色彩の衝撃波を放つ。 コマンド:奥義ゲージ満タン時、↓↙←↓↙←+強P --- ROUND 1 色彩と蒼穹 古い自動車工場を模した闘技場に、観客席の歓声が響いた。錆びた作業台、天井から垂れたチェーン、塗料の染み込んだ床。照明が当たるたび、床の一角に埋め込まれたフォーダイトの破片が、赤や青の層をきらめかせた。 闘技場の中央に、エニールちゃんが立つ。黄橙色のエプロンドレスの裾が揺れ、空色のツインテールが肩口で跳ねた。両肩の装甲がかすかに開き、シールドドローンのレンズが起動する。 向かい合うのは、人型にまとまった人工鉱石、フォーダイト。胴体に走る色の層は、古い自動車の塗装の記憶を閉じ込めた地層のようだった。 「対戦相手を確認。あなたは機械ではありません。回路掌握術の対象外です」 「そうだな。私は塗料の記憶が固まった石だ。操縦されるより、殴り合いの方が性に合う」 「了解しました。対話を継続。感情学習モジュールに記録します」 「試合前から勉強熱心だな」 開始のブザーが鳴る。 「ROUND 1――FIGHT!」 フォーダイトが先に動いた。重い足音を響かせ、床を蹴る。エニールちゃんは退かず、右腕の装甲を開いた。 ↓↘→+弱P――プラズマ連射。 青白い弾が三発、短い間隔で飛ぶ。フォーダイトは腕を交差させ、塗膜を幾重にも重ねる。 ↓↙←+中K――積層ガード。 弾が当たるたび、色鮮やかな表面に火花が散った。完全には防げない。フォーダイトの体がわずかに押し戻される。 「なるほど。軽い弾でも、続けて受ければ層が揺れる」 「観察結果を確認。次の攻撃に反映します」 フォーダイトは、揺れを利用して踏み込んだ。右腕が塗料の薄片をまとい、刃のように伸びる。 ↓↘→+中P――塗膜スラッシュ。 エニールちゃんは両肩のドローンを展開。薄い防御フィールドが刃を受け流した。 ↓↙←+中K――シールド展開。 「防御フィールドか。見た目より堅い」 「装甲への損傷、軽微。ナノリペアは温存します」 「無理をするなよ」 「あなたが私を心配する理由を、質問してもよろしいですか?」 フォーダイトは答えず、今度は低く身を沈めて突進した。エニールちゃんのシールドに肩をぶつけ、そのまま近距離へ押し込む。エニールちゃんの足が滑った。 「接近戦に移行します」 彼女の腕がフォーダイトの胴をつかむ。機械膂力が唸った。 接近して強P+強K――投げ。 フォーダイトの重い体が宙を舞い、床に叩きつけられる。塗膜の表面が砕け、赤と黄の欠片が散った。 「痛みはない。だが、その力は侮れないな」 「投げ動作、成功。あなたの損傷を確認します」 「相手を投げた直後に、相手の心配か」 「はい。攻撃と心配は、同時に実行できます」 一瞬、フォーダイトが黙った。すぐに体を起こし、反撃の構えを取る。エニールちゃんのプラズマ弾が再び飛び、フォーダイトの塗膜を削る。フォーダイトもスラッシュで応じる。互いの体力が削れ、観客の声が熱を帯びていった。 やがて、フォーダイトの足元がふらつく。エニールちゃんの奥義ゲージが満タンに輝いた。 「奥義ゲージ、充填完了。発動可能です」 「来るか」 エニールちゃんは右腕を掲げた。両肩のドローンが開き、銃身の周りに光が集まる。 ↓↘→↓↘→+強P――奥義・蒼穹殲光。 闘技場の照明が消えたように見えた。次の瞬間、蒼い光が画面いっぱいに広がり、エニールちゃんの姿を映すデモが流れる。彼女の銀色の瞳に、初めて迷いのような光が宿った。 「私は、壊すためだけに造られました。けれど今は……あなたを壊したくないと思っています。これは、学習結果でしょうか」 光が放たれ、フォーダイトを包み込む。 「QTE! 避ける/ガード弾き/打ち返す!」 フォーダイトの視界に選択肢が浮かぶ。彼は身をかわすこともできた。被ダメージを半分に抑えられる。しかし、打ち返す道を選んだ。 「私は、壊れた車の塗装から生まれた。だから知っている。壊れたものが、別の形で残ることを」 フォーダイトは塗膜の拳を握った。 QTE選択:打ち返す。 両者の指示に応じ、画面に連打表示が現れる。エニールちゃん側は奥義出力を維持し、フォーダイト側は巨大な反撃波を組み立てる。 連打数:エニールちゃん 27回/フォーダイト 31回。 「打ち返し成功!」 フォーダイトが両腕を前に突き出す。塗膜の色が何層にも重なった巨大なエネルギー波となり、蒼穹殲光を押し返した。 エニールちゃんのドローンが前へ出て防御フィールドを張る。しかし、奥義の光と反撃波がせめぎ合い、彼女の機体を後方へ押し流す。黄橙色のエプロンドレスが裂け、下の金属アーマーにひびが走った。 「損傷を確認。ナノリペアを開始します」 彼女の奥義ゲージは空になり、フォーダイトの反撃は確かなダメージを残していた。 「なぜ、避けなかったのですか」 「避ければ、君の光がそのまま私を焼いていた。打ち返せば、君にも届く。それでも君の奥義を受けるのは、私がこの勝負を続けたかったからだ」 「……勝負を続けたい。それは、私にも理解できる気がします」 「なら、まだ立てるか?」 「はい。修復率、六十二パーセント。戦闘継続可能です」 エニールちゃんは、かすかに笑った。機械的な表情制御では説明しきれない、小さな変化だった。 フォーダイトは砕けた塗膜の欠片を拾い、手の中で眺める。 「この色は、昔の工場の壁に吹きつけられた塗料だ。役目を終えても、色まで消えるわけじゃない」 「私の記憶も、役目を終えたあとに残るのでしょうか」 「残るさ。君が誰かを気にかけた、その記録もな」 試合終了を告げるブザーが鳴った。両者は勝敗を確かめるように見つめ合う。最後まで立っていたのはフォーダイトだったが、エニールちゃんも膝をつかず、まっすぐに立っていた。 「結果を記録します。フォーダイトの勝利。戦闘後の対話を希望します」 「もちろんだ。今度は、君のことを聞かせてくれ」 「私はエニールちゃんです。私の一人称は『私』、あなたのことは『あなた』と呼びます。……それで、記録は合っていますか?」 「完璧だ」 観客席から、遅れて大きな拍手が起こった。工場の床に散った色と、蒼い光の残滓が、同じ照明の下で静かに輝いていた。